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この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2017~ 【ベスト100+α】

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:この装丁がすごい!  »2018年06月17日 更新

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良いコミックがお送りする年1企画、『この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2017』の発表です。好きな作品を紹介するにしてはタイトルがすさまじいなと他人事のように思いながら企画を続けて8回目、中身は大体いつも通りになっています。それでは紹介数ベスト100+α、どうぞご覧ください。

●対象:2016年12月1日から2017年12月4日に発売された作品
●画像をクリックするとamazonに飛びます。
●画像下にマークが付いている作品は、
 画像の上にポインタを乗せると別画像に切り替わります。


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【1位】 寿命を買い取ってもらった。
     一年につき、一万円で。 全3巻 / 田口囁一,三秋縋,E9L


寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。

不思議な店で寿命のほとんどを売り払ってしまい、残った余生を過ごす男と店から送られた監視員との
奇妙な共同生活を描いた、小説『三日間の幸福』コミカライズ作品。こちらは2巻。

寿命2

1巻、そして3巻。コミカライズにあたり長文にしたタイトルを、後半部分を強調する形で大小を付けて大胆に配置。加えて、英文タイトルを白(小)とシルバー(大)で2個、タイトル前半部分や巻数マークと色を合わせた三角の装飾多数、そしてコミカライズなのでクレジットのノルマも必然的に多く、総じて装飾アイテム増し増し。それらが描き込みの細かい風景込みのイラストの上に乗せられるわけで、過剰に盛っているような説明になってしまうが、実際には文字が色分けや縦書き・横書きの使い分け、そしてレイアウトによって整えられ、別のレイヤーを意識させるような形で綺麗に浮き出て、イラストと上手く調和しているように感じられた。
背表紙にJCマークを背負った新書版ジャンプ・コミックスの一つになるが、その雰囲気は同レーベルの作品郡の中でも何となく異質。理由を考えてみて、ジャンプらしさがまず前に出る傾向があるこのレーベルの中で、こちらは川谷デザインさんの川谷デザインらしさがもっと前に出ているから、と個人的に納得した。田口先生の希望があって川谷さんにオファーが届いたらしく、今後のジャンプ+作品とか、ひょっとすると三秋縋小説とか、フラグ的なものもひっくるめて田口先生グッジョブです。
出版:集英社
装丁:川谷デザイン []

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【2位】 北北西に曇と往け 1巻 / 入江亜季

北北西に曇と往けカバー全景
クルマと話ができる青年を主人公とした、アイスランドが舞台の探偵活劇。
愛車を止めて水溜りが空を映す道路に足を下ろす、バックパッカーのような出で立ちの青年。彼を取り巻く鳥や野生の動物。水平を大きく斜めに傾けて描かれたイラストは、表紙の限られた面積の中でどこまでも見通せるアイスランドの広大な地を見せている。カバーには凹凸があり手触りが良く、さらに文字部分には黒箔が押されて高級感と存在感を出している。背表紙には表紙の青空が描きかけられたようにラフにかかって青と白のコントラストを生んでいる。表紙にいるヒツジのほか、ペットボトルや方位マークなど他で使われていないアイテムなども飾られていて、背表紙単体での見栄えにも拘っている様子が伺えた。
カバー下、本体表紙はクラフト紙(画像右上)。表紙をめくった先には、質感の面白いグレーの遊び紙あり(画像右下)。イラストもデザインも加工も、ここまで全力だを出していると気持ちが良い。
出版:KADOKAWA
装丁:BALCOLONY. [/]

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【3位】 だからオタクはやめられない。 / パカチャン

だからオタクはやめられない。 カバー全景
テニミュをこよなく愛するアラサー中堅オタクの作者がアルパカの衣を身にまとって己の生態を語る、エッセイコメディ作品。
表紙は黄緑、白、黒の明確な3色構成。カバーは目で確認できる程度にデコボコしており、シンプルすぎるアルパカの白にモフモフ感を与え、その存在感を高めている。黒色部分には光沢加工があり、手に取ると整った文字が品良く浮き出る。
カバー下はオレンジ色(画像右上)。目次ページにはアルパカのシルエットを使用している。
出版:KADOKAWA
装丁:hive 金子歩未 []

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【4位】 夜回り猫 1・2巻 / 深谷 かほる

夜回り猫

涙の匂いを辿って、その猫は現れる。Twitter発8コマ漫画で、KADOKAWAより1巻を刊行した後、発表の場を講談社のモアイに移して改めて1巻から発売された。
二本の足で歩く人間くさい猫・遠藤平蔵を中心に猫たちが集まっているイラスト。本編ではディフォルメを利かせたシンプルなタッチで描かれる遠藤平蔵さんであるが、表紙では人間的な貫禄を感じさせる程度にリアルに描かれており、濃ゆくて目立つ。タイトルロゴは、すっきりしたフォルムの文字の中にささやかに星が散りばめられ、イラストを見せるべく旧版より小さくなっているが、イラストのタッチとの差も手伝って、こちらもしっかりと見やすい。とにかくイラストが強いと感じたこちらの表紙はA5判サイズで大きいこともあり、平積みで大きな存在感を放っていた。

出版:講談社
装丁:VOLARE []

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【5位】 崖際のワルツ 椎名うみ作品集 / 椎名うみ

崖際のワルツ 椎名うみ作品集カバー全景
『青野くんに会いたいから死にたい』著者・椎名うみ、初の作品集。3篇を収録。高校演劇部で強烈な個性を持った二人の新入生が15分の演劇に挑む表題作より、カバーイラストには手を握りポーズを決めた二人のイラストを使用。カバー全体()で見るとイラストは安定するが、表紙単体だと左右の情報が落ちることで、アクロバティックな見え方をして全景を気にさせるような、絶妙な位置取りが行われているように感じた。目次(画像右下)にあるように、表題作はラストに収録される。作中でタイトルの意味、そして何をイラストに持ってきたかがわかったときにニヤリとできたことも合わせ、印象に残る表紙となった。
出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【6位】 アイアムアヒーロー 22巻 / 花沢健吾

アイアムアヒーローカバー表裏
都会だった場所の真ん中で銃を構える主人公。人物部分だけを普通に着色。その他の部分にはシルバーをあてがっており、タイトル、作者名、巻数は建物の看板やディスプレイに溶け込ませている。
装丁への印象と作品内容は相互に影響を与えるもので、投げっぱなしジャーマンに対するアマゾンレビューの惨劇にしかたなさを感じながらも、最後に得られた一つの物語の収束感はとても自分好みだったこともあり、単行本初期のデザインを踏襲しつつ、極端の境地に達した最終巻カバーと合わせて良い物を読めたという気持ちはお伝えしたい。
出版:小学館
装丁:井上則人デザイン事務所 [/]

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【7位】 ルーヴルの猫 全2巻 / 松本大洋

ルーヴルの猫

ルーヴル美術館で働く人たちと美術館の屋根裏を根城にする猫たち。絵の中に消えてしまった少女をめぐる、一匹の白猫の不思議な冒険を描いた作品。
美術館に佇むオッドアイの白猫。上部の帯エリアは上巻・下巻でイラストに合わせて白と黒を振り分け、美術館の昼の顔と夜の顔を見せている。フランス語のタイトル部分は銀の箔押し。キャンバス地のような凹凸と手触りを持つ紙と合わせて絵画のように仕上げつつ、漫画作品のそれとしても違和感を感じさせない絶妙のバランスのカバーに感じられた。
作中に登場する絵画として上巻、下巻の両方にカラーで収録された『アモルの葬列』にはちょっとした仕掛けあり。
出版:小学館
装丁:孝橋淳二 []

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【8位】 潜熱 1巻 / 野田彩子

潜熱カバー全景
バイト先のコンビニに来るヤクザに恋をしてしまった女子大生の前途多難な恋模様を描いた作品。
タバコを挟んだ無骨な手でアゴを押さえられ、引き寄せられる女性の図。単体で見るとフェティシズムを感じさせるようなイラストを青色をベースにスタイリッシュにまとめた表紙。上体をそらした人物と合わせるように、斜体を使用した巻数や筆記体を使用した各種文字情報の密集地帯のレイアウトが美しい。中扉(画像右上)、目次(右下)、カバーの各部分など何らかの形で直線を盛り込んで生んだ本全体の統一感もポイントになっている。
出版:小学館
装丁:BALCOLONY. [/]

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【9位】 ゼリゐ文明の書 / タカノ綾

ゼリゐ文明の書

現代から遠い未来まで、生み出されたゼリィ生物によって繁栄した文明の足取りを追うファンタジー作品。
2人の人物が見つめ合うイラストを収めた正方形のエリア。枠外は均一にグレーが敷かれ、タイトルロゴなどの各種文字や装飾が白抜きで配置されている。
「邂逅(Encounter)」というタイトルが付いた表紙イラストは作中の1コマがベースになっているが、そのコマを引きたてる、グレーと白のシンプルな要素による「文明の書」というタイトルに合った書物的なアレンジが上手いと感じた。
出版:駒草出版
装丁:Pri graphics 川名潤 []

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【10位】 エマは星の夢を見る 1巻 / 高浜寛

エマは星の夢を見るカバー全景
元ミシュランガイド調査員の実体験を基に、知られざる彼らの日常を描いた作品。
テーブルで上品に料理を口に運ぶ女性。ミシュラン⇒フランス⇒トリコロールということで、背景には青・白・赤のパターンが敷かれ、そこにバラエティ豊かな料理を並べている。タイトルは枠に入れられ上部に配置されることで、メニュー表のような印象も受ける。食べる瞬間をイラストに収めた同時期のグルメ系作品のなかでも特に上品でありながら、トリコロールが程よく目立ち、作品の個性でもある異国性を伝えていて興味をそそられた。このトリコロールパターンはカバー全体()に広げられていて、シンプルに鮮やかさを添えている。
出版:講談社
装丁:10.柿木原政広 []

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【11位】 サザンウィンドウ・サザンドア / 石山さやか

サザンウィンドウ・サザンドアカバー全景
建て替えが進み、新旧入り混じった景色が広がるとある団地を舞台に、そこに住む人々の日常を切り取った団地オムニバス短編集。
建物のベランダを背景として全体に広げた表紙。構図としては縦横がきっちりしているが、イラスト自体はフリーハンドとざっくりとした塗り分けで適度に柔らかい印象を与えており、それを正確な四角形のタイトル枠が引き締めている。本企画で何度か紹介しているこのタイプの構図の中では、手前に人物を置くことで建物を大きく見せていることが特徴かもしれない。イラストはカバー全体()で1枚絵になっていおり、裏表紙の途中から外の景色が広がって開放感が加わる構成も良かった。
出版:祥伝社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【12位】 カニメガ大接戦! / なかま亜咲

カニメガ大接戦!カバー袖
『健全ロボ ダイミダラー』作者の初期作である4コマ漫画。
特撮映画のポスター風のダイミダラー表紙から時代を遡って、今回はレトロな日本映画ポスター風。題字風のタイトル、当時のポスターのマークや煽りなどを模擬したアイテムを散りばめてレトロ感を前面に出しつつ、文字色の統一、視認性や可読性を上げる枠使い、絵柄との調和、文字部分への独特な質感を与える加工など、しっかり元ネタを現在のデザインに落とし込んでいる。痴女レベルで露出させたヒロインの描いてはいけない部分だけをお約束的な鉄壁ガードで隠したイラストはとても際どいが、その露骨さはレトロデザインに紛れ込んで程良く中和されている。丁寧な仕事ぶりと頭の悪さを楽しめる表紙。
出版:KADOKAWA
装丁:BALCOLONY. [/]

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【13位】 累 / 松浦だるま

累10巻を前に
祝映画化。
デザイン本で紹介した時は書影を5巻まで掲載しており、「並べると壮観の一言」というコメントを添えていた。物語がクライマックスに近づくにつれて壮観ぶりに拍車がかかっており、この辺りまで並べたかったという気持ちになってくる。
出版:講談社
装丁:hive []

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【14位】 でらしねをどり 1巻 / ごうだ あぶく

でらしねをどり

戦乱の世。人とは異なる時を刻む"永命族"の少年の数奇な運命を辿る作品。
半透明カバーを用いており、カバーには人物、そして枠で囲った各種文字が印刷されている。カバー下本体には表から裏にかけて3つの時代の人の世が描かれ、ピンク⇒黄色のグラデーションで色づいている。カバーをかけると、左から右へと進む人物たちの背景に移り行く時代の景色が薄っすらと現れて、永き時を渡る者たちの行く道を暗示する。
出版:KADOKAWA
装丁:円と球 []

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【15位】 スペシャル 2巻 / 平方イコルスン

スペシャル

前回紹介した1巻は黄色で、今回紹介する2巻はピンク。そして色を充てている領域が小さくなった。ここで一番伝えたいのはそれでも十分なくらいに表紙を明るくしている蛍光ピンク部分の発色の良さなのだけれども、悲しいかな、用意した画像では伝わらないので(amazon,kindleの書影もNG)、是非とも現物をご確認ください。
出版:リイド社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【16位】 スペクトラルウィザード / 模造クリスタル

スペクトラルウィザードカバー表裏
魔術師ギルドの壊滅によって居場所を失った魔術師の1人・スペクトラルウィザードが、低いところで浮き沈みを繰り返しながら世界を救ったりもするメランコリック・ファンタジー作品。
印刷が若干白みがかるような、さらさらとした手触りの紙を使用。魔術書をイメージさせる装飾の入ったグレーの背景に、無形の剣を持つ主人公を魔術師たちが囲むファンタジー感を出した表紙。登場人物がわんさかいるようにも見えるが、ピンク色のキャラ達は分身を使える実質1人のキャラクターだったりするのが突っ込みどころであり、うまくやっていることろでもある。
話はそれるが、こちらの作品は内容がかなり好みだったのにきちんと読んだのが2018年明けでだったため、しかるべきタイミングで推せなかったのが心残りになっている。
出版:イースト・プレス
装丁:川谷デザイン []

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【17位】 甘木唯子のツノと愛 / 久野遥子

甘木唯子のツノと愛カバー表裏
『花とアリス殺人事件』ロトスコープアニメーションなどアニメーション作家としての活動も行う作者初の短編集。
イラストは、表題作に登場するツノの生えた少女の横顔、そして伸ばされた手、植物と虎。塗り重ねてできたイラストのアナログ感は均一な白色部分によって際立って見える。枠や白抜きの文字のフチは銀色。公開されているカバーイラストの制作過程を見てみると、「横顔と手」、「植物と虎」は別々に描かれており、完成した表紙と比べると、銀色の枠が、横顔以外の見せる部分を制限して、イラストを表紙らしく仕上げていることを確認できる。
画像右上は薄茶の紙にシルバーの印刷を載せた中扉。画像右下は短編のタイトルページ。右端に寄せられた文字間スペースに余裕を持って配置されたタイトルの下には初出情報が添えられている。物語の入り口や出口のシンプルな文字組みの中にも作品を引き立てる仕事が見える良い1冊だった。

参考:祝・重版決定! 久野遥子『甘木唯子のツノと愛』のカバーイラストができるまで

出版:KADOKAWA
装丁:セキネシンイチ制作室 森敬太 [/]

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【18位】 大江戸国芳よしづくし / 崗田屋 愉一

大江戸国芳よしづくし

江戸時代末期の浮世絵師・歌川国芳を主人公に、その若き日の運命を変える出会いを描いた1冊完結の時代劇作品。
歌川国芳の出世作となった『通俗水滸伝豪傑百八人之一個』シリーズの各イラストを折り重ねてグレーの枠を形成。中心には、主人公と猫(国芳は猫好きとしても知られる)を隙間から見せるように配置している。
タイトルは2行に分けたものを曲線でつなげており、こちらも枠を形成。枠として消費されるイラスト部分に何気に情報が詰まっていて、全体を眺めながらデザインが贅沢だという感想が出てきた。画像右上はカバー下。画像右下は奥付。コードデザインスタジオさんの装丁鑑賞は、奥付まで楽しんで完結する。
出版:日本文芸社
装丁:コードデザインスタジオ [/]

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【19位】 バイオレンスアクション 2巻 / 浅井蓮次,沢田新

バイオレンスアクション
簿記の専門学校に通う傍ら、派遣型殺し屋で指名No.1の座につくゆるふわ女子大生を主人公に、裏社会の人間の生き死にを過激に無機質に、かつコミカルに描くアクション作品。
1巻から4巻まで黄色の背景、ラフな格好のヒロインと拳銃、少しの血痕を散らす構成で統一。 明るさと血生臭さが混じって目を引いた一連の表紙の中で特に紹介したいのが2巻。銃をいじる行為とゴルフウェアのミスマッチ感、折りたたみ椅子とクーラーボックスによる構図の安定、背景を入れずとも伝わる場所感など、とにかく一番かっこよく感じたのが2巻だった。
裏表紙には、ピンナップに仕立てた作中カットとあらすじ(画像右上)。各話のトップには数字オンリーのページ(画像右下)。元々各話にはタイトルが振られていないが、目次ページを設けず、番号だけ伝える黒いページで各話を区切る構成が何気に大胆かもしれない。帯も大きめでよく作りこまれていた()。
ちなみに、原作者である和歌山出身在住の兼業主婦沢田さんの正体が、『秋津』『レイリ』の作者・室井大資先生だったことが明かされ、新人女性漫画家を名乗るロリエロ漫画家と同じパターンかとびっくりした(87位『もしもし、てるみです。』の話はしていない)。
出版:小学館
装丁:GENI A LOIDE 小林満 [/]

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【20位】 デザイナー 渋井直人の休日 / 渋谷直角

デザイナー 渋井直人の休日
布のようなしっとりとした手触りがちょっとしたリッチさを感じさせるカバー。主人公の顔は簡略化されてアスキーアートのように線で描写。この顔部分とタイトル、作者名が金の箔押しで構成されている。イラスト部分が記号的なので、ほぼ文字だけ使用しているシンプルな表紙に見え、その表面の質感や箔押しの存在感が際立っている。帯()は大型。カバー下(画像右上)や中扉(画像右下)も同じくアスキーアートの顔を使用している。
出版:宝島社
装丁:渋谷直角,大島依提亜
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青野くんに触りたいから死にたい青野くんに触りたいから死にたい 【21位】 青野くんに触りたいから死にたい / 椎名うみ
交際2週間で彼が死亡。触れ合うことは叶わず、それでも寄り添うふたりの青春と忍び寄る暗い影を描いた、純愛シュールホラーラブコメミステリー作品。
単体では毒を持たないイラスト、そこにぎりぎり読めてしまうほどに暴れたタイトルが合わさって、純真な狂気があふれ出すようにまとまった表紙。1・2巻で文字位置は完全固定。
出版:講談社
装丁:川谷デザイン []

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怒りのロードショー 【22位】 怒りのロードショー / マクレーン
映画バカな高校生たちが集まって、際限なく映画愛にだけあふれたムダ話を繰り広げる日常作品。
おそらく、好きな映画から合いそうなものを持ち寄って一つのド派手なアクション映画風のポスターに仕立てた、合作的パロディ表紙。最近賑わってきた映画語り漫画の中でも目に付いた表紙で、意外と中身も伝わりそうに思える。見てぱぱっと元ネタを説明できる知識、あるいは有志の元ネタ解説ページが欲しい(「ランボー 怒りの脱出」と「ケーブルガイ」が入っていることだけ確認できた)。レタッチ・カラーリングはarcoinc池田さんが行っている(前回紹介した『宇宙のガズゥ』も同じパターンで、彩色で個性を付けている)。
出版:KADOKAWA
装丁:arcoinc []

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雑草たちよ大志を抱け 【23位】 雑草たちよ大志を抱け / 池辺葵

高校に通う生徒の中でも地味で平凡な女子たちにスポットを当てた、一人1話で5話構成の青春連作集。

お花畑に立つ赤い制服の5人組。それぞれの物語を予感させる、ばらばらの目線。光の表現が美しく、夕暮れ時の空気を感じられる装画。飾り気のない黒字のタイトルは少女達に向けられているようでもあり、表紙に力強さを与えているように感じられた。

出版:祥伝社
装丁:Pri graphics 川名潤 []

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また、片想う。また、片想う。 【24位】 また、片想う。 1・2巻 / タチバナ ロク
幼なじみの三角関係に世界線的なアレが加わってそうなっていく、“少し不思議”なラブコメディ。
1・2巻共に目元から上をカットした顔が見えない系の表紙。見えないと言いつつ、口元に感情がこもっていて表情を読み取れるのがポイント。書き文字風のタイトルも手伝ってセンチメンタルな空気かもし出されている。
出版:KADOKAWA
装丁:阿閉高尚

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Levius/est 【25位】 Levius/est 4巻 / 中田 春彌

無印含めて3度目の紹介となるバンド・デシネ風左開きスチームパンク作品。
人体と機械を融合させた2人の拳闘士が向き合い、顔を近づけたイラスト。1色の線画をシンプルに載せた白地の背景をベースとして人物イラストの使い方には変化を入れているシリーズで、こちら4巻のみイラストを横置で配置。タイトルは通常通りに配置し、他の文字情報はイラストに合わせて半時計回りで90度傾けている。トリッキーなイラスト配置が見た目に面白いというのはありつつ、その効果を解釈しようとすると中々難しくて、とりあえず25位、26位に横使いを並べてみた。
出版:集英社
装丁:gift unfolding casually []

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姉なるもの 【26位】 姉なるもの 1巻 / 飯田 ぽち。
少年の願いによって「姉」という形を得た邪神。契約で結ばれた姉弟、その夏の日々を描いたクトゥルフ系ホームドラマ。
二本のツノ、尖った耳。首元から生えた無数の眼球がグロテスクな、人ならざるお姉さんのイラスト。イラスト、タイトル共に横向けで配置されているが、作者名、巻数、英語表記のタイトルなどは普通に配置されているため、横にして見るというより、あくまでイラストとタイトルが横になっていて視覚を刺激するであろう表紙。イラストはエロティックに描かれているが、横置きになっていることで知覚できる情報が変わって、おそらく正位置でイラストを眺めるよりも幾分性的なイメージが緩和されるであろう、そういうバランス取りをこの構図設定に感じた。
出版:KADOKAWA
装丁:imagejack 團夢見 [/]

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かよちゃんの荷物 新装版かよちゃんの荷物 新装版 【27位】 かよちゃんの荷物 新装版 / 雁 須磨子

阿部かよ子、通称かよちゃん(30歳)のマイペースな日常を描いた作品。元全3巻、そして上下巻で発売された新装版。
手荷物を持った人々を散りばめて街中のような賑わいを見せる表紙。チェックと言うか大きめの白枠を作る間隔で敷かれた薄めの色合いののラインが程々に主張して個性と華を加えている。
出版:竹書房
装丁:CHProduction []

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棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ 【28位】 棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ 6巻 / きゆづき さとこ

物語もいよいよ佳境。
通巻でタイトル位置を固定し、四隅に飾り枠のついた
フォーマットデザインを続けていて、
6巻でいきなり紹介したのはつまるところ、
6巻がとてもかっこよくないですか、という話。
長く続いたからこそ必然的に発生する終盤的なよさ、あると思います。

出版:芳文社
装丁:コメワークス 木緒なち []

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何モナイ君タチヘ何モナイ君タチヘ 【29位】 何モナイ君タチヘ 全2巻 / 鳩也 直

己の「渇望」によって生み出される、人の形をした『ソレ』が巻き起こす騒動を描いた作品。
太いカギカッコの中にキャラ、そしてカギカッコに収められたタイトルを収めた入れ子構造的な表紙。大胆な余白使いで、大きなカギカッコがブランク状態(何モナイ)になっている。色使いが白黒、黒白と対にしてまとめた全2巻。
出版:KADOKAWA
装丁:LIGHTNING

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あげくの果てのカノン 【30位】 あげくの果てのカノン 4巻 / 米代恭

1巻で青空、2巻・3巻と空が黄昏ていって、4巻で夜。
前回の記事で大きく紹介したので
細かく言うことはないが、とても良い。
ちなみに月刊MdN 2017年12月号の川谷さん特集で、
米代先生のインタビューも含めて
本作品のデザインが大きくピックアップされていた
(月刊MdN 2017年12月号、とてもおすすめ)。

出版:小学館
装丁:川谷デザイン []

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かたわれワルツ 【31位】 かたわれワルツ / 鈴木 翁二

漫画雑誌「ガロ」で活躍し、安部慎一、古川益三と並び〝三羽烏〟と称された作者による、1970年代発表作の多い詩情にあふれる文芸的な短編集。
「夕凪広場のだれもおぼえていないと言う」というタイトルの付けられたイラスト。白のスペースには簡潔にタイトル、作者名、出版社。表面は少し凹凸の付いたマット加工。ハードカバーなので、表紙を外さなくても本の上下からは厚みを持った本体表紙の紫色が顔を覗かせる。シンプルな構成で、今はなき景色が静かに感慨を引き起こす。

出版:而立書房
装丁:南伸坊

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ロッタレイン 【32位】 ロッタレイン 2巻 / 松本剛

すべてを失った男の前に現れたのは、14年前家族を捨てた父と、血のつながらない義妹。衝動と愛情が交錯する、ひと夏の儚い恋の物語、全3巻。バックベアード様AA略。
ベースは白黒、瞳の部分には着色あり、そして文字や巻数マークとイラストの一部分に各巻固有の1色を割り当てている。2巻の固有色は水色。この特徴のある色分けは作品の雰囲気も言語の外で伝えていて、例えば白背景でヒロインが水色の傘を持っていて構成の近い『恋は雨上がりのように』1巻と比較すると柔らかさがごっそり削られているのがわかる。
出版:小学館
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ []

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ゆるキャン△ 【33位】 ゆるキャン△ 3巻 / あfろ
JKゆるふわ本格アウトドア作品。
ロゴの右端でテントを模している△(サンカッケー)、これも正式なタイトルの一部。1巻から5巻まで作中の季節は冬、なのでどの巻もばっちり着込んだキャラが特徴になっている。5巻まで出ると、巻毎の構図とアングルへのこだわりが見えてきて、原付バイクをメインに据えて間接的にアウトドア巻を出した3巻が特に好みだった。
なお、アニメ版ではタイトルデザインが変更されているが、OPでは原作デザインの△部分が単独でアイテムとして用いられ、終盤にはサザエさんチックに躍動することで妙な存在感を出していた。
出版:芳文社
装丁:TWINTAIL 川村将 []

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舞妓さんちのまかないさん舞妓さんちのまかないさん 【34位】 舞妓さんちのまかないさん 1・2巻 / 小山 愛子
元舞妓さん候補の「まかないさん」を主人公に、日々のごはんから舞妓さんたちの素顔を描く作品。レトロな佇まいの台所(京都のゲストハウスにモデルあり)を舞台にしたイラストの左側に色つき帯を添えて鮮やかさを加えた表紙。四方がくぼんだイラストエリアは、台紙にはめた写真のよう。色合わせ、ロゴデザイン、カバーの質感など、和風テイストが程よい。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 特重甫 []

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悪魔のメムメムちゃん悪魔のメムメムちゃん 【35位】 悪魔のメムメムちゃん 2・3巻 / 四谷啓太郎
寄生と増長と諦観が得意な押しかけ女房系のポンコツ悪魔・メムメムちゃんがトラブルとエッチを引き寄せるコメディ作品。
どの巻もまともな表情をしていない主人公の絵面と、パステル調の色あわせ、シンプルな塗り分けが特徴的。こちらも1位と同様にジャンプ+連載の新書版ジャンプ・コミックスで、書店で王道な表紙と隣り合うと変化球具合が際立つ。
出版:集英社
装丁:BALCOLONY. 竹内はるか [/]

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午后のあくび 【36位】 午后のあくび / コマツシンヤ

ひとつの町を舞台に、移り行く季節の中のメルヘンな小話を集めたファンタジー作品。
あくびをイメージさせる気泡の中に、沢山の情景が納まったイラスト。『8月のソーダ水』に続く川名さんデザインで、青と白の美しいバランスは健在。今回は一つ一つのカットを泡というアイテムとして扱うことで自然に白エリアが発生。風景タイプの情報量の多さと白背景のすっきり感のいいとこどりをしている。
『8月のソーダ水』のロゴはコマツ先生作、そしてこちらのロゴは川名さん作。「コマツ先生が作りそうな感じでマネをした」とのこと。
出版:亜紀書房
装丁:川名潤 []

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麻衣の虫ぐらし 【37位】 麻衣の虫ぐらし 1巻 / 雨がっぱ少女群

職探しをする主人公・麻衣と、農家で働く友人との畑の手入れをする日々。農業と虫を題材にした田舎のガールズ・コメディ。
草むらで頬杖を突いてテントウムシを眺める主人公、それを眺める友人の構図。緑色と空色で偏らせた景色の中で、1匹のテントウムシによって挿された赤色がアクセントを加えている。
各種文字情報を一箇所に集めた家形の枠タイトルデザインが面白くて、イラストを邪魔しないながら程よく目立つことで、1枚絵のイラストをしっかりと漫画の表紙に仕上げているように思えた。
出版:竹書房
装丁:arcoinc 楠目智宏 []

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どこか遠くの話をしよう 【38位】 どこか遠くの話をしよう 上巻 / 須藤 真澄
「物」と話ができる少女の納屋に倒れていたのは異国の男。奇妙な出会いが少女にもたらすものは…。南米の緑豊かな山岳の村を舞台にしたファンタジー長編。
鮮やかな民族衣装をまとった褐色肌の少女。アルパカが放牧された平原、岩肌の露出した険しい山脈。ざらついた輪郭を持つタイトル文字は、飾るより先に、昔話を始めるように語りかけてくる。珍しい舞台の異国情緒を静かに感じられる表紙。上巻マークの装飾と同様の加工がされた各話扉の話数表示、焼けのようにほんのり色づけされた袖や幕間、奥付ページなど、主張しないながら行き届いている部分が多く、本全体の感じもよかった。
出版:KADOKAWA
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]
カバー下
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浜咲さんなら引いている 【39位】 浜咲さんなら引いている 1巻 /
             瀬戸内ワタリ、 水谷ふみ

都心にある女子高通いの浜咲さんが都内の釣り場を漁る、釣りガール作品。
青空に海と、青色をベースに、巻数マークやリボンなどちょっぴりの黄色。主人公は普段、剣道用具入れに釣具を隠していて、竹刀袋から抜刀するように釣竿を抜き出す瞬間をイラストにしている。「この商品を買った人はこんな商品も買っています」に並ぶ競合釣りガール作品合わせて4作品の表紙を比べてみると、それぞれの個性が見えてきて、こちらはというと「釣り」を入れないタイトル、糸を見せない竿、具体的な地形情報なし、など抽象的な材料で釣り感を演出して特色を出していた。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 []

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漫画として現れるであろうあらゆる恋のためのプロレゴメナ 【40位】 漫画として現れるであろうあらゆる恋のためのプロレゴメナ / 窓ハルカ
チンコグロ漫画を描く漫画家志望女子とアニメと下ネタを好む男子。アヴァンギャルドな話運びで変り者2人の純愛恋模様を描いた作品。
ヒロインの顔を右半分だけ使用し、空いたエリアにタイトル、そしてオシャレアイテムとして抽象化したタマと棒。デザイン本で紹介させそうなデザインと言うべきか、実際MdNの川谷さん特集内で見開き2ページを使って紹介されており、「グラフィカルにオブジェクトを構成する」「80年代の少女漫画的なあしらい」など必然的な真面目一辺倒の記事にシュールさを感じながら、デザインの意図がわかる丁寧な解説を堪能できた(月刊MdN 2017年12月号、再度おすすめ)。
出版:リイド社
装丁:川谷デザイン []

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勘定吟味役異聞勘定吟味役異聞 【41位】 勘定吟味役異聞 1・2巻 / かどたひろし,上田秀人
若き剣豪が狼藉者と不正な会計処理を切り裂く、時代小説のコミカライズ作品。グレー背景かつ侍の袴も同系の色でまとめ、一部を赤にしてアクセントを加えている。鞘から伸びた紐(下緒と呼ぶらしい)がイラストに動きを与え、赤色の面積を広げている。同ジャンル作品の中でもすっきりしていて、かつイラストの力強さを引き立てているデザインが気に入った。
出版:リイド社
装丁:crazy force 竹内亮輔 []

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あしあと探偵あしあと探偵 【42位】 あしあと探偵 全2巻 / 園田ゆり
「人探し」にスポットをあてた探偵ドラマ作品。奥行きを持った地面をメインにした独特の構図、地面を黄色、足跡を水色という独特の色選びで鮮やかに足跡を浮かび上がらせた1巻、青空をメインに一気に解放感を出し、黄色、水色のバランスも反転している2巻。完結2巻作品をまとめる風変わりな対のデザインアプローチを楽しめた。
出版:講談社
装丁:VOLARE 関善之,村田慧太朗 []

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片恋グルメ日記 【43位】 片恋グルメ日記 1巻 / アキヤマ 香

出版社の漫画編集部員が、憧れのダンディ営業部員との妄想にふけるため、彼の食べたものを調べて食す"食事ストーキング"にチャレンジしていく、変態リアクション系のグルメ作品。
主人公の眼鏡に写り込む、大盛の牛丼を食べる彼の姿。正面を向いた人物の眼鏡や瞳にその人物が見ている対象を写り込ませる表紙は近年たびたび目にする機会あり。中でもこちらは見ている人物だけディフォルメで描いて、眼鏡を大きくして、写り込みの面積を広げているのが特徴。1アイディアを強調するアイディアが光っていた1冊。
出版:双葉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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眼鏡橋華子の見立て 【44位】 眼鏡橋華子の見立て 1巻 / 松本救助

銀座にある眼鏡専門店で、客に最もふさわしい眼鏡を選んでいく店主・眼鏡橋華子の眼鏡愛を若き雑誌記者雑誌記者の視点で描く、眼鏡うんちくドラマ作品。

柄の派手な和服を着た眼鏡美人が眼鏡を差し出すイラスト。白抜きの文字は縦横が揃えられて、ちょうど手前の眼鏡と同じくらいの距離感で綺麗に浮きでている。巻数マークは多分、視力検査風。ちなみに、今回の記事では意識したわけでもなく眼鏡キャラが単独で表紙を飾っているものが9作品入っていた(前回は4作品)。
出版:講談社
装丁:chichols 山田知子 []

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不滅のあなたへ 【45位】 不滅のあなたへ 1巻 / 大今良時


朝焼けに染められた氷の大地を踏みしめる少年とオオカミ。切り絵作家・大橋忍さんの切り絵により制作されたタイトルロゴは、当然1色で構成され、中身をくり貫くことで装飾が与えられている。ロゴが切り絵という情報があると、パーツを繋ぐ線の意味もわかり、なるほど1枚の紙を切り抜いて成立させることができていると納得。大きさも存在感もある割りに重さがなく重ねやすい切り絵と、イラストとのコラボレーションに新鮮味を感じた表紙。

出版:講談社
装丁:hive 久持正士 []

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1518! 【46位】 1518! 4巻 / 相田 裕

高校の生徒会を舞台にした、挫折と再生の青春群像劇。

5巻まで発売されている現在、タイトルロゴの形と大きさ、文字周りのデザインは固定で、イラストは複数カットの組み合わせや一枚絵と毎回アプローチを変えている。そして、季節が初夏に移り、生徒達が夏服に衣替えしましたよと白背景が登場したのがこちら4巻。フリガナをアクセントにした数字と記号だけのタイトルロゴのデザインが面白いことを再確認できた。あとは『GUNSLINGER GIRL』初期の白タイプの表紙でジャケ買いしたことを思い出した。
出版:小学館
装丁:川谷デザイン []

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3月のライオン 【47位】 3月のライオン 13巻 / 羽海野チカ


アニメのエンディングで下から上へじりじと昇ってきそうな構図の、強キャラ達感の出た棋士大集合の表紙。男性キャラを複数出すのは何気に13巻が初。そしてここしばらく乙女チックな表紙が続いていたので、将棋っぽい表紙は約5年ぶり。最近、若き才能が脚光を浴びることのリアリティは現実世界で担保されてしまったので時流的にタイミングがいいとも言える。にしても、現実の事件が今の、そしてこれから生まれる将棋漫画にすごい影響を与えてしまうのではないだろうかとドキドキしている(装丁外の話)。
出版:白泉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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私と彼女のお泊まり映画 【48位】 私と彼女のお泊まり映画 1巻 / 安田剛助
百合漫画、食漫画、魔法少女漫画、ゾンビ漫画が新規性を獲得すべく、合体ジャンルを求めてうごめく気配を感じている今日この頃。こちらは映画が百合に吸収された。
映画紹介は1話毎に設けられたレビュー記事に任せ、本編では部屋で映画を見る2人の交流に重きを置いたこちら。表紙に特定の作品を連想させる要素(例:22位)は盛り込まず、「2人で部屋で映画を見る」シチュエーションをだけを伝えるイラストを起用。タイトルロゴは、連載元くらげバンチで見れる映画用カメラの入ったものとこちらの単行本のものを別物にしていることも合わせて、表紙では百合層に狙いを定めているように感じた。
出版:新潮社
装丁:アーテン 井川直子,内田祐乃 []

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はなまる魔法教室 【49位】 はなまる魔法教室 1巻 / 井上 知之
魔法使いを育成すべく押しかけてきた魔女先生のクラスで巻き起こる不思議な騒動と生徒達の成長を描いた学園ファンタジー作品。
夜の景色と共に箱庭的に描かれた教室の中で魔法の練習に励む生徒たち。空、というか上のレイヤーには大きなカラスのくちばしに腰掛けた魔女先生は、主線を紫に染めて存在を際立たせている。タイトル枠の中には方眼紙状の模様あり。
アプリ(マンガワン)のサムネイルが目に入った時点では気にならず、この表紙に惹かれて初めて読み始めることになった、そんなわけで大変感謝している表紙(続いて欲しかった)。
出版:小学館
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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まどからマドカちゃんまどからマドカちゃん 【50位】 まどからマドカちゃん 1・2巻 / 福田泰宏
ある時はすし屋、ある時はバーテン。お茶会、お花見、釣堀を開いたりもする4次元部屋の住人・マドカちゃんが窓からおもてなしする、窓際コミュニケーションコメディ。窓から見える部分だけ描いて無地の部分が壁の役割を果たす白系デザインの表紙。イラストは見下ろし視点で、見ていると自然と部屋を覗き込んでいるような感覚になる。ロゴの中にも「窓」入り。
出版:講談社
装丁:大日本タイポ組合 []

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サーカスの娘オルガ 【51位】 サーカスの娘オルガ 1巻 / 山本ルンルン

旅のサーカス一座に引き取られた少女・オルガ(←強キャラ)の奮闘、そして大富豪の息子へ芽生えた恋心。20世紀ロシアを舞台にした歴史恋愛ロマン。
1輪のバラを背中に隠した少年と、傘を差し出すサーカスの少女。舞台幕を枠のように配置して演劇チックにまとめた表紙で、背景にはサーカスのテントやロシア建築が小道具のように描き込まれている。文字には一部ロシア語を使用。色使いは全体的に暗めながら演劇的な華やかさを感じさせ、1枚の表紙に作品の雰囲気がよく現れている。山本先生のファンシーな絵柄にハルタコミックスの作りこみがマッチしていて、本全体の雰囲気も良かった。
出版:KADOKAWA
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 []

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芋虫少女とコミュ障男子 【52位】 芋虫少女とコミュ障男子 / 三三

「こんな私なら恋人にしてくれる?」 振った完璧な幼馴染みは大きな芋虫になって帰ってきた。人外系青春作品。
ほっそりとしたラインのタイトルを左右に分けて配置し、中心には、椅子に座る主人公と芋虫少女を椅子の裏側から後姿を見る視点で描かれたイラスト。一歩、二歩引いた目線、芋虫のフォルムを際立たせる白背景、芋虫の中に少女らしさ、人間らしさを見出させる椅子や鞄と絡めた構成など、芋虫ヒロインという個性の強いアイテムの調理の仕方に感心した。中扉はカラーで、ヒロインを人間姿に置き換えたイラストを使用している()。
出版:KADOKAWA
装丁:-
中扉
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タイニードライブ 【53位】 タイニードライブ 1巻 / 大石 まさる
しっかりものの妹、エキセントリックな姉。再婚で突然姉妹になった2人が激しい白日夢のような日々を謳歌する、SF?日常?4コマ?漫画。
イラストの状況だけ説明すれば田舎の屋根付き停留所に置かれた自販機で姉妹がジュースを買う1シーン、という普通の説明になるが、宙に浮かぶ謎キャラ、油絵タッチのうごめくような空など「奇妙」を感じさせる要素あり。そこに、認識可能なレベルぎりぎりまで崩された英字タイトルロゴが絡まり目だっている、さらさらしたカバーの質感も手伝って形成された牧歌的な雰囲気の中に程よく異質が同居いるところが好み。中身は多分、好き勝手スイッチが入った時の大石作品(好み)。
出版:少年画報社
装丁:川谷デザイン []

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百年のワルキューレ 【54位】 百年のワルキューレ 1巻 / 三月薫

強大な力をただ一人の男に授ける剣乙女(ワルキューレ)を巡る戦乱を描いたファンタジー作品。
最近目にする機会が増えた印象がある、正面を向いた2人の人物を左右に顔半分ずつ収めた構図(目が片側だけ入る)。その中で、こちらは肩の部分を重ねて表紙に入るイラストの密度を上げているのが特徴的。イラストは白目の部分などを含め全体的にオレンジがかっており、イラストに重なった大きなタイトルの白さが際立ち、綺麗に浮き出ている。肩の部分だけ見える衣装、タイトル間の装飾など、やや間接的に伝えられるファンタジー感に惹かれた。
出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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楽園の羊は泣きかたを知らない 【55位】 楽園の羊は泣きかたを知らない
                  1巻 / 奈々巻かなこ


16歳までしか生きられぬ、触れてはならぬ禁忌の少年たち。宗教に支配された島国を舞台に描かれる、アジアンファンタジー。

ウロコ状の刺青をまとい、煌びやかな金の飾りを頭に付けた少年。作者名、英字情報、巻数、タイトルにはイラストと合わせて右に傾き、巻数を中心として1つのアイテムのようになまとまりがある。「目力とエロい果物でいこう!」という担当さんのインプットがあり、アウトプットがこちら、ザクロ(っぽい果物)潰し。
出版:講談社
装丁:arcoinc 永井さやか []

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双亡亭壊すべし 【56位】 双亡亭壊すべし 6巻 / 藤田和日郎


前半のクライマックス巻。
枠+背景、大きなタイトルロゴ、詩と、
デザインを通巻で決めたルールに合わせながら、
この巻のみ生存キャラをぐっと押し込めた集合イラストを用いることで
クライマックス感を演出している
(7巻以降は再び通常の、キャラ1人表紙で進行している)。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 []

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春と盆暗 【57位】 春と盆暗 / 熊倉 献

4編の恋愛譚を収録した短編集。
[好きな子ができた。同じ職場の女の子。それも誰もが認める「いい人」キャラ。しかし僕は、彼女のとんでもない“頭の中”を知ってしまう]、これはamazonに載っていた収録作『月面と眼窩』のあらすじ。カバーイラストはそのエピソードをモチーフにしている。月面に突き刺さった大量の道路標識、その1本を掴む一人の女性。黄色い空、水色の地面。風変わりな心象風景が広がっている。表題作にファンタジーな要素はなく、読み進めていくと何を表紙にしたのか、そのなるほど感が与えられる。
出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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爆音列島 【58位】 爆音列島 1巻 / 髙橋 ツトム

1980年代。不良達の青春群像劇。元『アフタヌーン』掲載の完結作品で、現在『ヤングキング』でリバイバル連載中。
背景は黒一色、イラストは闇に溶け込ませるようにグレーの着色。文字も1色で1巻は黄色。タイトルロゴのデザインは旧版のものを踏襲しているが、小さくなり、着色、装飾、全てシンプルになって静かになったが、そのギラつきは変わっていない。
単行本は愛蔵版的位置づけになるのか、通常の2冊分程度の厚さあり。背表紙には4文字のタイトルをどでかく大胆に配置していた。
出版:少年画報社
装丁:LOGGIA 川瀬豊 [/]

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地球のおわりは恋のはじまり 【59位】 地球のおわりは恋のはじまり 4巻 / タアモ

かわいい双子の妹と比較され「じゃない方」扱いを受けてきた主人公に高校入学早々、謎のイケメン里見蒼が急接近。ネガ少女と×押せ押せイケメン学園ラブコメ。
名和田さんが手がける白背景タイプの表紙という点は前作『たいようのいえ』と共通。本作では4行に分割されたタイトルの位置と星型の巻数マークの位置は通巻で完全に固定。巻毎の個性は主にイラスト配置にクセを持たせることでを作りあげていて、4巻では、1人がもう1人の背中を見つめるイラストが傾きを持って左上に配置され、右下に広い空きスペースがある状態が新鮮で目を引かれた。
出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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たとえとどかぬ糸だとしても 【60位】 たとえとどかぬ糸だとしても 1巻 / tMnR
兄が結婚したその時、義理の姉への恋心を自覚した少女。3人暮らしの中で強まる想いへの葛藤を描いた百合作品。
夕日が差し込む部屋で1人座り込む少女。その表情は笑顔のまま、髪に隠れた瞳からは一筋の涙が落ちる。タイトルは1文字1文字を小さく、スペースに余裕を持って等間隔に配置され、同じく白抜きで「糸」を散らしている。イラストは裏表紙まで続いており、広げてみるとより切なくなる印象を受けた。また、背表紙部分にちょうど窓枠が入り、白抜きのタイトルを見やすくする枠として機能しており、どこまで狙ってこうなっているのか気になった。
カラーページの恩恵を受けた目次ページがシンプルかつ美しい()。
出版:一迅社
装丁:川谷デザイン []
目次
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斑丸ケイオス斑丸ケイオス 【61位】 斑丸ケイオス 1・2巻 / 大野ツトム
人々が森で神と共存する時代、神殺しから始まる大和ファンタジーサバイバルバトル。斑丸の読みは「ぶちまる」。
タイトル、巻数等の各種文字は通巻で固定。背景は黒。タイトルは1巻が赤、2巻が紫。その他文字部分は白。色味を抑えたキャライラストを引き立たせ、見づらくない程度に暗がりのかっこよさを演出できていると思えた。
出版:白泉社
装丁:NARTI;S 浜崎正隆 []

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とんがり帽子のアトリエとんがり帽子のアトリエ 【62位】 とんがり帽子のアトリエ 1・2巻 / 白浜 鴎
描いて魔法を発現させる魔法の世界を描いたファンタジー作品。一風変わった菱形枠を使った表紙で、タイトル枠はもちろん菱形。四隅に三角の枠を設け、イラストエリアをはみ出した菱形のように見せ、枠外は装飾で埋めている。枠や文字、装飾など一部分には金色が使われ鈍く光る。数巻まとめてみるとフォーマットの個性がよくわかる。
出版:講談社
装丁:SAVA DESIGN [/]

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親愛なるA嬢へのミステリー親愛なるA嬢へのミステリー 【63位】 親愛なるA嬢への
ミステリー 1・2巻 / モリエサトシ

断筆中の小説家探偵が、本好き少女と共に身に降りかかった事件を解決していくミステリー作品。
枠+イラスト型。1巻は紫+赤紫、2巻は青+オレンジと、イラストの特定箇所(主に背景)とタイトル「A嬢」部分を2色のグラデーションで塗り分け、その他黒部分を薄くする、個性的な色分け方法が美しさを生んでいる。
出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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ひとりぼっちの○○生活 【64位】 ひとりぼっちの○○生活 3巻 / カツヲ

卒業までにクラス全員と友達にならないと幼馴染みと絶交!?超絶人見知り少女の友達作り奮闘コメディ。
中身は1ページを4コマ×2に分割していて、だいたい4コマ目にふわっとオチが付く広義の4コマ作品であり、表紙には4コマ漫画をアイテムとして使用している。縦長になる4コマエリアとその他のイラストエリアを分断せず、デッドスペースになりがちな4コマの隙間などを最大限に利用することで、4コマ漫画と大きなキャライラストを共存させているのが特徴。

出版:KADOKAWA
装丁:沢田雅子

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新・血潜り林檎と金魚鉢男 【65位】 新・血潜り林檎と金魚鉢男 2巻 / 阿部洋一

1巻を紹介したのいつだったかと遡ってみると2011年の記事。『電撃コミック ジャパン』から『コミック アース・スター』に移り、3冊の新装版に続き2巻が加えられ堂々たる完結を向かえた本作。気が付けば、阿部先生の作品は本企画でだいたい並べており、今回は水中を金魚と、金魚すくいと共に沈んでいく表紙を今年の"水どぼーん"枠として紹介することにした。
おそらく次に単行本化されるであろう『それはただの先輩のチンコ』(通称:それたち)も凝った装丁になりそうというか、太田出版さん、よろしくお願い致します。

出版:泰文堂
装丁:枡田祐起

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おたく漫画家がみんなとご飯食べるよ! 【66位】 おたく漫画家が
        みんなとご飯食べるよ! / 袴田めら


袴田めら先生ご自身の食エピソードが語られる、漫画家生活エッセイ寄りの食マンガ。

横長のワイドなコマ割りで4コマ漫画を展開して、作品のノリを視覚的に説明している。4コマ目の料理部分以外はパーツごとにベタで色を塗り分けており、ベースの黄色が鮮やか。こちらは4コマ作品ではなく、上の作品のように中身チラ見せの意図を持たせず、視覚効果として4コマを利用しているのがポイント。
出版:芳文社
装丁:Double Trigger 田中秀幸 []

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熱海の宇宙人 【67位】 熱海の宇宙人 / 原百合子

SF成分多めの短編集。

表題作は、熱海にて不時着した宇宙船から現れた宇宙人と小説家との一期一会を描いたもの。快晴の熱海を背にした、人間の形を保った宇宙人のイラスト。癖のある欧文フォントを添えた白抜きのタイトルロゴには黒い輪郭によって重みが与えられ、ロゴと絡まった人物部分を浮かせて引き立てている。カバー下や袖にもタイトルロゴが部分的に使われていて結構な存在感があり、ロゴの装飾アイテム的な存在感に気付いた。
出版:KADOKAWA
装丁:川名潤 []

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バケガミ―化神― 【68位】 バケガミ―化神― 1巻 /
             藤異 秀明, 岸本 みゆき

ヤマトタケルの魂を宿す伝説の神剣「クサナギの剣」を手に入れた少年が襲いくる怪物やバケガミたちと激闘を繰り広げる、異能バトル作品。『読売KODOMO新聞』発で、レーベルは『てんとう虫コミックススペシャル』となっている。
勇ましい表情をうかべ、クサナギの剣を構えるハチマキがトレードマークの少年。漢字、英字を挟み込んで1つにまとめた4文字のタイトルロゴは少年の体に乗せられ、ロゴの一部分には剣が重なることで、豪華なフォルムの剣の存在が際立っている。赤い背景には印章やかすれた装飾枠が敷かれ、トータルで古代とファンタジーが交じり合ったデザインに仕上がっている。
出版:小学館
装丁:arcoinc []

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BLUE GIANT SUPREMEBLUE GIANT SUPREME 【69位】 BLUE GIANT SUPREME 2・3巻 / 石塚真一

舞台を海外に移し、「SUPREME」(最上位の、最高位の)として新たに1巻から再スタートさせたこちら。巻ごとにデザインを変えてく無印版のスタイルは踏襲されたので、今回は触れ幅の大きい2巻(遠景イラスト使用)と3巻(キャラの右半身を文字情報で構成)を並べてみた。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 新井隼也 []

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非合法アンダーランド 【70位】 非合法アンダーランド / 西塚 em
少女が足を踏み入れたのは、大きすぎる生物がうごめく、生物研究園。漫画とイラストで一つの物語を形作ったオールカラーのコミック&イラスト集。
脳みそに腰掛ける少女と巨大な芋虫。品の良いラベルのようなタイトル枠。イラストは動脈、静脈をイメージさせる赤青のチューブによる曲線的な枠で囲まれ、枠外には薄くパターンが敷かれている。色々描き込まれているが、やはり目に入ってくるが芋虫、キアゲハの幼虫。作中で山ほど登場する芋虫イラストにも言えるが、図鑑で見ると鳥肌が立つ造型の虫たちが見慣れるというか、リアルに描かれていてもおそらく写真よりはディフォルメされているからか、美しく見えてきて、なんだか新しい趣向を開拓させられた気分になった。
出版:実業之日本社
装丁:NARTI;S []
カバー下
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人形の国 【71位】 人形の国 1巻 / 弐瓶 勉
『BLAME!』『シドニアの騎士』作者新作。奇病のよって人形と化した人類が徘徊する極寒の地を舞台にした、設定・用語満載のくダーク・アドベンチャー・ファンタジー。主人公は「正規人形」と呼ばれる存在に生まれ変わり、作中で「パーツの細かいアダルトな仮面ライダー」のような姿に変形する。そして表紙で赤く染まっているのは強力な射出能力を持ったその変形後の腕。白背景に黒タイトルに、白の防寒服を着込んだ人物と、全体的には色味を抑えつつ、巻数、片腕、そして片方の瞳にピンポイントの赤色。まず作中の描写が世界設定に合わせてとても白くなっているので、この白基調のカバーは必然的にそうなったとも言えるかもしれない。
出版:講談社
装丁:ASOBISYSTEM 2BOY []

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常盤さんと井上くんの妄信 【72位】 常盤さんと井上くんの妄信 1巻 / 杜若わか

両片思いをテーマにした、アンジャッシュコント的な勘違いループ4コマ作品。背中合わせの男女を基準に背景を薄いグリーンとピンクに色分け。男子にはハトの入った吹き出し女子には魚の入った吹き出しを付けていて、これは「常盤さんはハトが好き」「井上くんは魚が好き」という双方の勘違いをイラスト化したもの。背景部分にも妄信を表すような吹き出しが散らばっているが、これらは部分的なPP加工により色味を変えてできたものであり、ぷっくりと浮き出て程よく表紙を賑やかしている。PP加工は文字部分にもあてられて立体感あり。こういった作品を手に取ると、単行本は3次元であることを改めて実感させられる。
出版:KADOKAWA
装丁:-

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魔王の秘書 【73位】 魔王の秘書 1巻 / 鴨鍋かもつ

さらってきた秘書の働きぶりが人類の平和と魔物達の平穏を脅かす、魔王軍の内側系コメディ。
敏腕秘書のバストアップイラスト+枠+吹き出し。枠と文字周りの色使いを黒と黄色に統一。吹き出しの中も黄色で満たして、作品の内容を一言で理解させる台詞を強く強調している。
魔王と秘書をドットに起こし、ファミコンチックに仕上げた目次ページ()や(デザイン的にも)手の込んだカバー下など、要所の作りこみも目立った1冊。

出版:泰文堂
装丁:コメワークス 高橋忠彦 []
目次
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ヒャッケンマワリ 【74位】 ヒャッケンマワリ / 竹田昼
明治22年生まれの作家、随筆家である内田百間をめぐる文芸エッセイ作品。
カバーにはさらさらした、わら色の紙を使用。中心に黒色のタイトル枠を置き、周りに内田百間の人物絵、そして鉄道、船、プロペラ機、ビールにお膳、ゲラなどエピソードにちなんだ大小様々なアイテムを箔押しで並べている。ムラのあるわら色の地の上で箔によって浮き出たアイテムは銀色でありながらフリーハンド的な荒さがあって柔らかい印象あり。タイトル枠に入った「楽園コミックス」の文字はおそらく必須でないし、和のテイストでまとめた表紙の下に入った英字についても「printed in Japan」が字数を増やしていて、こういうところがバランスなのだろうと思った。
出版:白泉社
装丁:simazima 平谷美佐子 [/]

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おとなとこども、あなたとわたし。おとなとこども、あなたとわたし。 【75位】 おとなとこども、あなたとわたし。 1・2巻 / 糸なつみ

3組の"歳の差"から生まれたオムニバスストーリーを追っていく全3巻の作品。主要人物、情報、本編モノローグなどを配置し、オシャレな構成で内容をイメージさせる、趣向を凝らした漫画のコマ風表紙。本編の最後にはエピソード毎の次回予告漫画が入る構成とデザインが作品を盛り上げていた。
出版:KADOKAWA
装丁:コードデザインスタジオ [/]

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スタンドバイミー・ラブレター 【76位】 スタンドバイミー・ラブレター / 増田 里穂


「ごめんなさい」から始まる恋模様を描いた1冊完結の青春作品。

上部にタイトル配置用の白い帯エリア、残りがイラストエリアという構成は近年よく見かける印象があるが、鮮やかすぎす絶景すぎず程よく爽やかな海辺のイラストに粗く角ついたロゴが合わさったこちらはトータルで見るとレトロな品の良さを出し、懐かしさを感じさせるように思った。

出版:集英社
装丁:川谷デザイン []

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血の轍 【77位】 血の轍 1巻 / 押見 修造

これを「毒親」とカテゴライズすべきか、猛毒と言える異常性を持った母を持つ少年が、日々の平穏を失ってく物語。
幼子を抱きかかえた母親。写実的なタッチと塗りで古い写真のような雰囲気の出したイラスト(カバーを広げると写真であることがわかる)、それ単体は平穏そのもの。そこに意味深なタイトルと作者名が赤字で載せられることで、約束された不幸感がまとわり付く。装丁は押見先生とのタッグにお馴染み感の出てきたhiveさん。13位『累』のタイトルロゴと合わせて観察してみると、その不吉デザインアプローチの方法が見えてくる。
出版:小学館
装丁:hive []

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ストレンジ・ファニー・ラブ 【78位】 ストレンジ・ファニー・ラブ / チョーヒカル

ほんの少しだけ現実とズレた世界で、その世界の不思議と交わる恋のはなしを描いたオムニバスSF恋愛作品。
正面を真っ直ぐ見据える女性、その顔の一部はひび割れ、空いた穴から宇宙が顔を覗かせている。背景は鈍く光る銀色。顔の右下には作者名と共に読む用のタイトルを入れつつ、イラストには顔の部分を避けながら直線的でくせのあるタイトルロゴを大きく重ねて視覚に訴える。
ちなみにグロテスクささえ感じる装画に対して作中のタッチは軽く、基本的に収録されているエピソードはどれも明るい。
出版:祥伝社
装丁:円と球 []

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ここは今から倫理です。 【79位】 ここは今から倫理です。 1巻 / 雨瀬シオリ

倫理教師が生徒たちの抱える問題と独自のスタンスで向かい合う、現代の教師物語。
倫理の教科書を手に、教卓に立つ1人の教師。イラストは表紙から裏表紙まで配置され、そこを黒枠が囲んでいるため、表紙単体で見たときに右が抜けた枠になっている。右側に寄せた人物に対し、不思議な語感が印象的な口語調のタイトルは、大きく左側に配置。タイトルロゴというか、このかしこまった文字列は、強い意志を秘めた教師の台詞のように感じられた。

出版:集英社
装丁:VOLARE 関善之 []

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カラスのいとし京都めし 【80位】 カラスのいとし京都めし 1巻 / 魚田 南

食通の長生きガラスが人の姿を得て京都めしとバイトに精を出す、京都上手い店めぐり系のグルメ作品。
地べたで竹かごの弁当箱を抱え込んで、いなり寿司と巻き寿司をほお張るカラスの青年。ラフな主線やざっくりした色あてに味わいがあるイラストにあわせるように、背景の枠線は部分的にかすれ、各種文字用の枠線も定規を使ってペンで書かれたように幅にムラがある。手描きで整えたような文字も合わさって、アナログの味わいを感じられる表紙にまとまっている。
余白を大きく取ってシンプルにまとめた飲食店情報のページも見所()。
出版:祥伝社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]
飲食店情報ページ
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INGRESS:TOKYO ANOMALYINGRESS:TOKYO ANOMALY 【81位】 INGRESS:TOKYO ANOMALY 全2巻 /
  木村 太熊, Niantic,Inc.


スマホ向けオンライン位置情報ゲーム『Ingress』の公式コミック。1巻の緑、2巻の青はゲーム内陣営のカラーに由来。白抜きのタイトルとは別に、暗くしたイラストの一部エリアを明るくしてキャラと背景色を見せる、そのエリアもタイトルロゴを形成している。
出版:KADOKAWA
装丁:朔田フトシ []

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私の百合はお仕事です!私の百合はお仕事です! 【82位】 私の百合はお仕事
です! 1・2巻 / 未幡

お嬢様学校の生徒を演じるコンセプトカフェを舞台に、虚構と現実、二つの百合を折り重ねたキマシタワ作品。ウロコの目立つ上品な文字を菱形の入った縦線と上下の飾りでまとめたタイトルがクラシカルでイラストをとてもよく引き立てていると思った表紙。そして4行固定のデザインと思い込んでいたため、2巻で違和感なく2行に変形していて驚いた。
出版:一迅社
装丁:I.S.W DESIGNING 柊椋 [/]

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すこしふしぎな小松さん 【83位】 すこしふしぎな小松さん / 大井昌和
SF小説をこよなく愛するすこしふしぎ系女子・小松さんを観察しながら、そのディープな世界を垣間見る、読書コメディ。ど根性ガエルの娘の旦那さんの作品。
実写で書店のSF小説コーナーを背景にして、キャライラスト、タイトル・作者名用の枠を兼ねた、丸みを帯びたピンク色の星を散りばめている。タイトルの文字も角が丸みを帯びているものを使用し、一部を星に加工している。ヒロインはふわっと浮くように描かれており、その浮遊感が実写背景との組み合わせで際立って、「ふしぎさ」が強調されている。ロケーションは三省堂書店(神保町本店)、撮影は中庭愉生さん。
出版:白泉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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映画大好きポンポさん 【84位】 映画大好きポンポさん
              / 杉谷庄吾【人間プラモ】

若き敏腕映画プロデューサー・ポンポさん、そして彼女に集う才能たちが1本の映画を作り上げる道のりを描いた作品。
光が差し込む機材置き場で、カチンコ(映画の撮影にカチンと鳴らすアレ)を携え折りたたみ椅子に優雅に座るポンポさん。緻密な背景描写、安定した構図、3行構成がかみ合い見やすく目立つタイトル。本編で活躍する、その小さい人物の貫禄が上手く出ていると感じた表紙。中では、登場人物の好きな映画3本を紹介するコラムが充実、そして好きな映画3本を添えたスタッフロール風スタッフ紹介ページを締めに持ってくる構成と作者の『アイカツ!』3点推しが見所。
出版:KADOKAWA
装丁:有馬トモユキ []

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こうふく画報 【85位】 こうふく画報 / 長田佳奈

大正時代の日本。当時の人々の幸せな日々の暮らしぶりをやんわりと食に絡めて描いたオムニバス形式の作品。
表紙を飾るのは、和菓子屋主人の世話を焼くお手伝いさん。気の台の上に鋳物コンロと、今ではない台所の景色を収めたイラストを飾り枠で囲み、丸みを帯びた枠にはタイトルなどを収めてラベルのようにまとめている。イラスト、装飾エリアなど全対的に薄い茶色、薄い緑でまとまったその色合いが、温かみのある過去のイメージを伝えている。

出版:ぶんか社
装丁:井上則人デザイン事務所 安藤公美 [/]

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ランウェイで笑ってランウェイで笑って 【86位】 ランウェイで笑って
     1・2巻 / 猪ノ谷 言葉

「パリ・コレ」モデルを目指す158cm少女と、ファッションデザイナーになりたい貧乏少年。夢を追って走る二人の物語。
切り取り線のように、糸のように、点線を活用した表紙。背景色薄めで人物重視のイラストを枠に収めつつ、周囲にはモノクロでファッションを連想させるアイテムを散りばめている。華やかさの中に落ち着きを感じた表紙。
出版:講談社
装丁:hive []

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もしもし、てるみです。 【87位】 もしもし、てるみです。 1巻 / 水沢 悦子

通話機能だけを持った電話を扱う会社"もしもし堂"、そこで働くネット嫌いのてるみさん。週刊ビッグコミックスピリッツの巻末掲載の2ページショートショートをまとめたフルカラー単行本。
過去の遺物となった黒電話を抱えて電話をしているてるみさん。イラストを引き立て、文字配置エリアも兼ねる帯は、上側はピンク地に白文字、下側は白地にピンク文字と対照的。やわらかなフォルムの文字が横書きで上下に振られたタイトルロゴからは、句読点の付いた口語調のタイトルの電話越しの雰囲気が視覚的に伝わってくる。
出版:小学館
装丁:川名潤 []

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血と灰の女王 【88位】 血と灰の女王 2巻 / バコハジメ
噴火した富士山の灰を浴びてヴァンパイア化した者たちが、世界を支配する王の座を賭けて夜な夜な殺し合いを繰り広げるバトル作品。
ヴァンパイアへの変身の途中の主人公イラストを用いた2巻表紙。正義感溢れる本作の主人公は、仲間中一番人間を喰いそうな面構えの異形に変身し、その姿に見慣れるまで多少の時間を必要とする(※個人の感想です)。その点を人間の顔を半分残して上手く解決したと感じたのがこちら。ちなみにこの作品は一時期打ち切りのSOSを発していて、毎週火曜日の楽しみ消滅の危機に声を上げるべく紹介を決めたが、更新が遅れに遅れて今現在、敵幹部が1話で全滅する心配がなくなるくらい人気が出て、主人公のフォームも変わった。
出版:小学館
装丁:RedRooster 下山隆,長谷川佳代 []

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おくることば 【89位】 おくることば 1巻 / 町田とし子

何故俺を殺したのか。幼なじみの手によって「事故死」させられた男子高校生の視点から事件の真実を見せていく青春ミステリー。

暮れなずむ町で夕日に照れた少女、その瞳に映るのは少年の後姿。ひらがなで構成されたタイトルは引きちぎられそうな形で歪んでおり、少女の笑顔、そしてタイトルの意味に含みを持たせている。ミステリアスな雰囲気をまとったドアップ系の表紙。

出版:講談社
装丁:SPICE 柳川価津夫,大野祐介

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月曜から金曜の男子高校生月曜から金曜の男子高校生 【90位】 月曜から金曜の男子高校生 1・2巻 / 森つぶみ
至って普通な4人組の高校生活をコミカルに描いた日常作品。仲良し4人組が楽しげに集まる様子を淡い色彩で描いたイラスト。物体的な区切りでスムーズに形成した白エリアが際立たせる4行のタイトルは、明朝体をベースにしつつ、個々のパーツがイラストに置き換わっておりコミカル。遊び紙を使った扉ページの奥行き演出も紙で見て欲しいところ。
出版:日販アイ・ピー・エス
装丁:coil 世古口敦志 []

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甘々と稲妻甘々と稲妻 【91位】 甘々と稲妻
      8・9巻 / 雨隠ギド


クリーム色の背景に父と子を収める定期観測作品。既刊の表紙は大体伸長差が強調される引きの絵タイプ、子を大きく描いて親がはみ出る高密度タイプに分けられ、8巻後者。9巻では新たに遠近法を用いて二人の全身を納めるというタイプが登場。変化の付け方に毎回感心する。
出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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カメントツの漫画ならず道カメントツの漫画ならず道 【92位】 カメントツの漫画
ならず道 全2巻 / カメントツ


大物漫画家インタビュー、印刷所や製本所への取材、自信が受けたストーカー被害の紅白、等など。漫画界のあれやこれやに挑んだ漫画ルポ漫画。
2巻共に主線を含む4色構成。コミカルかつくせのある作者キャラと独特な色選び、うねった背景模様が合わさって味と圧が出ている。
出版:小学館
装丁:AYOND 佐々木俊 [/]

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四天王-1 【93位】 四天王-1 / 咲竹 ちひろ

「我々四天王、その中でも奴は最強だった…。」 残された四天王3人の奮闘を描いた、魔王軍の内側系コメディ作品。

コミカルなファンタジー世界のキャラ達がワチャワチャとしてテンションの高さを感じられた表紙で、どこに惹かれたかというと多分、胸の大きい顔穴少女のインパクトが8割。遺影も表紙アイテムとして優秀かもしれない(大体、本人が本人の遺影を持っているパターンが多い)。

出版:KADOKAWA
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ,久保夏生 []

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高倉くんには難しい 【94位】 高倉くんには難しい
        1巻 / 一條マサヒデ,サブリック


登校、着席、食事、部活、テスト、トイレ…。日常あらゆる事象から「どうしてこうなった」を発生させる・高倉健(たかくらたける)の殺人的な不器用を描いたギャグコメディ。
表紙イラストは、不器用なため教室をチョークまみれにしてしまった自己紹介シーンをモチーフに描かれており、タイトルロゴはチョークで塗ったような色むらをつけてシーンに合わせている。巻数には禁止をイメージさせるマークを付けており、こちらのマークを盛り込んだ目次ページも小道具が良く作りこまれていた()。
出版:秋田書店
装丁:NARTI;S []
目次
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今日も女の子を攻略した。今日も女の子を攻略した。 【95位】 今日も女の子を攻略した。 1・2巻 / むく
イケメン少女が、パーソナルスペースの狭さで無自覚に女の子たちの好意を獲得していく日常系作品。主人公を飾るように、その周囲に縦書き・横書きを駆使して配置されたタイトルが個性的。略の文字にも入ったチェックマークが本全体で活用されていて、没タイトル『イケメン女子は自分がわからない。』だったら別物になっていたと考えると面白い。
出版:KADOKAWA
装丁:島田成彬 [/]

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死にあるき 【96位】 死にあるき 1巻 / 了子
あの子が歩くと人が死ぬ。とある少女の周囲で起きる不審な死の連鎖の謎に迫るサスペンスホラー、よく揃うビンゴ付き。
スカートの裾をつまみ、生足で血だまりを歩く少女。血しぶきを枠にした巻数マーク、透けた骨、「死」の文字を大きく強調したタイトルなど、不吉な要素を詰め込みつつ、白背景の明るい配色でまとめ、暗さを使わない怖い雰囲気作りを行っている。青色の塗り分けで描かれた上半身に対し、血のついた左足だけ肌色があてがわれ、この部分だけが妙に生生しい。中扉()には、人物の顔まで見える表紙イラストの全体像が掲載されており、「怖い表紙」として、イラストの大きさや角度をどのように調節しているのか考察できて面白い。
出版:小学館
装丁:Beeworks 木内さほり []
中扉
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俺を好きなのはお前だけかよ 【97位】 俺を好きなのはお前だけかよ
             1巻 / 伊島ユウ,ブリキ,‎駱駝


「鈍感ラブコメ主人公」を装う腹黒な男子高校生を主人公にして、彼の身に降りかかる騒動を描いた学園作品で、同名ライトノベルのコミカライズ。

装丁は原作と同じく伸童舎が担当し、タイトルの「お前」に矢印を付けて、ヒロインを強調した構成を踏襲している。地味(を装った)ヒロインは原作1巻の表紙では一番前に出ていたが、矢印で強調されることを加味すると、後ろにひっこめてサブヒロインに前を譲ったのは良いアレンジと思えた。
出版:集英社
装丁:伸童舎 []

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とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話 【98位】 とある新人漫画家に、
         本当に起こったコワイ話 / 佐倉色


新人作家を襲った信じられない出来事(『桜色フレンズ』騒動)の顛末一部始終を作者自ら赤裸々に描き綴った、マンガ業界暴露エッセイ。
ピンク色の背景で、白抜きの長文タイトルが、Gペンを装備して身構える作者を取り囲み、辺りには原稿が宙を舞っている。雑な縁取りと絶妙な手書きらしさの加減でタイトルそのものはコミカルに見えるが、作者と一緒に敷き詰められることで圧迫感もあり、切実な状況を暗くならずに伝えられている表紙になっていると感じた。
出版:飛鳥新社
装丁:G×complex 久藤敦司 []

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マイホームヒーロー 【99位】 マイホームヒーロー / 山川直輝,朝基まさし

金銭目当てで娘に近づいた半グレを手にかけた父親が、家族を守るため罪を葬る、その奮闘を描いたクライムサスペンス。
表紙に描かれているのは妻と娘を持つ営業職の平凡な会社員で、作中ではお風呂で人体をバラしはするが、雨に打たれて泣き叫んだりはしていない、そういう意味で主人公に降りかかる過酷な試練のイメージを表紙イラストにしたことになる。小さめの赤字タイトルタイトルと、血しぶきのついた巻数マークが控えめにスリリングさを加え、激動のドラマを予感させる表紙。表紙の雰囲気のわりに描写はコミカルで読みやすかったりもする。
出版:講談社
装丁:スラッシュ 福村理恵

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ポプテピピック 【100位】 ポプテピピック 2巻 / 大川ぶくぶ

中指を突きたてたリアルな手の描き込みはそのままに、赤ちゃん衣装を着せて手とキャラのミスマッチ感をアップさせ、よりロックな表紙になった2巻。ベースカラーもピンクと可愛らしく、作品が怨敵と定める"サブカルクソ女"層にも訴求力がありそうなデザインとしてまとまっている。巻頭のカラーページには、『星色ガールドロップ』が収録されている。
放送されたアニメの中ではこちらのタイトルロゴが有効活用されていているのが原作のデザインを尊重しているようで少し嬉しかった。

出版:竹書房
装丁:deconeco 小石川ふに [/]

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ランキング発表(本編)はここまで。

最後に、カバー下や特殊加工など別なところに注目した作品を別枠で20作品紹介していきます(本番)。



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【裏表紙賞】 好奇心は女子高生を殺す 1巻 / 高橋 聖一

好奇心は女子高生を殺す

デコボコJKコンビの頭脳と元気が襲い来る不思議を迎え撃つ、1話完結タイプのすこし(どころではない)ふしぎ作品。
薄いピンクの色を持つ紙に濃いピンクと黒を乗せた、ピンク統一カバー。表紙で、とびきり賑やかなイラストを限定的な色選びでまとめたその効果を考えてみるのも面白そうだが、今回は裏表紙に着目してみた。
そこには何があるかというと3コマ漫画があり、バーコードを含めた書籍情報がある。そして3コマ漫画は横長に大きく枠を取っているため、1コマ目は必然的に書籍情報に陣取られる形になる。しかし、ここでは書籍情報はコマの中に「もの」として扱っており、右から走ってきた主人公がぶつかり2コマ目で盛大に飛散、そして襲ってきたロボットに降り注いでロボットは退散、めでたしめでたし?と書籍情報をアイテムとして組み込んだ漫画を形成している。
バーコードをシール化した講談社作品や、帯にバーコードを付けるなど一部の特殊な作品を除き、そのほとんどに存在するこの裏表紙の邪魔者問題に上手く対応している作品の中でも、こちらは漫画という媒体にぴったりな方法で素敵に迎え撃っている。

好奇心は2

カバー袖+奥付。
カバーの袖には4コマや間違い探しと、ここにも整った小ネタあり。また何気なく、間違い探し、裏表紙3コマ、奥付とおまけ部分に連続性を持たせている。

出版:小学館
装丁:Wel 吉村英仁

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【カバーレイアウト賞】 いに怪することなく、
              獣じつしたひび 2巻 / 野良しごと


いに怪することなく、獣じつしたひび

昨年紹介した1巻は昼+ガメラ。そして完結巻となる2巻は夕方+ゴジラ。力強さだったり、猛々しさだったり、そういった言葉が似合う巨大な存在が、使い方次第でエモーショナルなアイテムになるんだなと感じ、開いたカバーを見てほしくなった。

いに怪2

シン・ゴジラを添えた袖と、作中のコマを抜粋して2コマ漫画っぽく加工したカバー下表裏。連載開始後にタイミングよくシン・ゴジラが上映されたこともあって、シン・ゴジラを観に行くエピソードを最終話に入れえることができ、表紙をゴジラで締める流れにも繋がった。

いに怪することなく、獣じつしたひび

改めて1巻。裏表紙に描かれた別の教室も昼と夕方で変化が付けられている。


出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【中表紙賞】 先生! 休ませてください! 1巻 / 吉辺あくろ

先生! 休ませてください!

保健室おさぼりコメディ4コマ作品。
フレーム構図と呼べばいいのか、ベッドの上で主人公がサボっている様子をカーテンという必然性を持ったアイテムでチラ見せするイラストを採用した表紙。大きく取ったカーテンの無地エリアには口語調に合わせた、くだけたデザインのタイトルと緑十字(安全と衛生の象徴)の巻数マーク。カーテンで情報を抑えつつ、保健室というシチュエーションがはっきり伝わる、これが画像左の表紙説明になる。
そして画像右、こちらがカラーの中扉。ページをめくることでカーテンもめくられ、保健室の全景と共に、漫画にストックや各種おかしが見えて本腰を入れサボリ具合もわかる仕掛けになっている。さらに、表紙と中扉で人物の表情にも変化を加えることにより、時間の流れを作って保健室に入っていくような臨場感も与えている。

先生!2

目次ページ(画像左)は中表紙の続きとなるサボリ確定カット。裏表紙(画像右)は表紙同様のチラ見せ構図。

出版:KADOKAWA
装丁:LIGHTNING

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【特殊装丁賞】 銃座のウルナ 4巻 / 伊図透

銃座のウルナ

作中で舞台が豪雪地帯から切り替わった4巻から、カバーのフォーマットも一新。3巻までは黒い帯に挟まれる形で横長に設けられていたイラストエリアが全面に広げられて解放感が生まれた。今回はカバーに半透明の紙を使用しており、主人公や風景などは本体に印刷されている。カバーには文字と共に木葉が配置されている他、カバーには透過度が高い部分があり、これが本体と合わせた時に木陰となる。このようにカバーと本体を合わせて擬似的な奥行きを生んでいる。

ウルナ4裏

イラストは表紙から裏表紙へと続く。

ウルナ4見返し

見返し、中扉も青色。

ウルナ4奥付

奥付。
目次や奥付、各話タイトルページなど、黒ベタ+白抜きで構成されていたページは
基本的に黒ベタをやめて本全体が明るくなっている。
カバーの路線変更が丁寧に中身にも反映されている、さすがのBEAM力を感じさせる1冊。


出版:KADOKAWA
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【特殊装丁賞】 CL 1 / 菜園モノクローム / 水谷フーカ

CL 1 / 菜園モノクローム

漫画雑誌「1月と7月」連載中、5億人に1人という確率で黄緑色の髪を持つ少年とその親友の何気ない日常を描いた[Cl」に短編「菜園モノクローム」を併録した1冊。こちも半透明カバーを使用しており、イラストのみ印刷されたグレーの本体に黄緑のタイトル枠が重なって表紙が完成する。

CL12.jpg

こちらは表紙。背表紙には併録された2タイトルが載っているが、それぞれの表紙は表、裏に分かれている。
そしてここからが本題。

CL13.jpg

こちらは「Cl」1話の冒頭2ページ。その「黄緑症」の少年の髪は、そして瞳は黄緑色に印刷されている。あとがきより「2色刷りやりたい」という気持で生まれた冊子(同人誌)第1話がきっかけで雑誌連載がはじまり、こうしてところどころに黄緑色が入り込む1冊にまとまった。黄緑色が当てられるのは大半が少年で、LINEの吹き出しや目立たせたい看板などその他の部分が少し。当たり前の説明になるが、白黒のページにおいて黄緑色は少し入っただけでも目立ち、作中でその少年とすれ違った人が振り返り目で追ってしまうその感覚を読者は直感的に共有することになる。2色刷りの表現に可能性を感じさせる1冊だった。

出版:1月と7月
装丁:pajama design 多治見武昭,高田麻理 []

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【特殊装丁賞】 ふたりモノローグ 1巻 / ツナミノ ユウ

ふたりモノローグ

ネクラオタクとギャル。10年ぶりの再会を喜び距離を縮めたい2人が、勘違いとすれ違いを重ねて悶え苦しむシチュエーション・コメディ作品。
キャラの思考を覗く作品なので、タイトルにも心の中タイプの吹き出しを組み込んでいる。イラストは目線を合わせた二人横並びでおかしいところは見当たらないが、ここに仕掛けがある。

ふたりモノローグ2

左のキャラは紅潮とよだれ、右のキャラは縦線と涙目の光沢加工。無色なので光に当たるとこれらが現れる。顔に汗を一つ加えると困り顔になるように漫画記号は非常に便利で、隠された加工が見えるとその表情は大きく変化する、このような遊びにも応用できる。
白地の背景部分、こちらには2人のモノローグがびっしり。一見さっぱり、そして手に取ると情念が渦巻く、そんな落差が楽しいカバーになっている。

出版:講談社
装丁:BALCOLONY. 騎馬啓人 [/]

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【特装版賞】 宝石の国 7巻 / 市川春子

宝石の国

自著の装丁を手がけるし、小説のイラストも描くし、限定版のグッズデザインもするし、ポケモンデザインの原案をまかされる漫画家、というのは前回の紹介文。そして現在、アニメ化の実績解除も加わった市川先生。本企画で名前を出すのも4度目になるが、今回はこちらの作品ではじめて特装版に手を出したのでその付属品の方を紹介してみる。

宝石の国イラストブック

7巻に付いてきたのは、こちらイラストレーションブック。サイズはコミックと一緒に本棚に収まるB6サイズ。なんですぐに割れてしまうんでお馴染み、砕けて破片を散らす主人公のイラスト。主に断片化して細かく塗り分けられた部分にツルツルした光沢加工がほどこされていている。イラストの一部や主線はゴールド。文字はローマ字を斜体用いて、薄いカラーのイラスト全面にかかるよう大きく配している。漫画が右開きなのに対し、カバーは外せて本の作りは漫画本体と一緒でありつつも、ホログラム加工で安定した本体とは違った宝石らしさの演出を堪能できた。
中には、6巻までの単行本表紙イラスト全景にカバー下イラストやアフタヌーンの表紙イラストなどを収録。「ロゴの位置に顔がきてはいけないという呪いが発生します」という1巻表紙へのコメントが何気に収穫で、どこかで見かけたデザイナーさんの「イラストを毎回○○にしなくてはいけないデザインにしてごめんなさい」的な冗談交じりのコメントを思い出した。結果的に縛りが発生するのは、よくある話なのかもしれない。

宝石の国8
カバー全景

ついでに8巻。とても好き。

出版:講談社
装丁:市川春子

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【ホラー賞】 ジンメン 1~5巻 / カトウタカヒロ

ジンメン1ジンメン2ジンメン3ジンメン4ジンメン5

突如発生した人間の顔を持つ動物「ジンメン」が町を蹂躙する恐怖を描いたサバイバル・ホラー(サンドスターは関係ない)。
スペースを空けて大きく置かれたタイトルの真ん中らへんにジンメンの顔がくる、とにかく顔・顔・顔が主張する表紙。ホラー作品の表紙として特徴的なのが、その明るさ。怖いものと闇は相性が良く、ホラー系の表紙は暗かったり黒かったりするものが必然的に多くなるが、こちらはその真逆。昼夜を問わず活動するジンメン達がひっきりなしに登場するため出し惜しみする必要もなく、1・2巻の青空背景をスタートとして明るい場所で恐怖の対象をはっきり見せている。はっきり見せずに恐怖を煽る表紙の場合、いざ作中に本体が出てきて拍子抜けする可能性も出てくるが、その点ジンメンは表紙でも作中でも十二分に気持ち悪い点もポイントが高い。パワー系ホラーデザイン。

出版:小学館
装丁:志村泰央 [/]

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【ホラー大賞】 報いは報い、罰は罰 上下巻 / 森泉岳土

報いは報い、罰は罰

行方不明となった妹の身を案じて女性が訪れたのは妹の嫁ぎ先となる古い洋館。森に囲まれたその場所で巻き起こる血塗られた惨劇を描いた、ゴシックホラー作品。
イラストと言うべきか模様と言うべきか、カバーには破かれた紙を貼り絵のように重ねたものが全体に広がっており、作中のカットを含みながら、パーツの大部分は黒なので、とにかく暗いモノクロの表紙。タイトルや作者名など白抜きの文字部分は鋭利な刃物で分断されて歪んだようにデザインされている。特筆すべきはその手触り。すべすべしていながら、指を滑らせたときに引っかかりを覚えるようなマットな質感の手触りが、表紙のデザインと相まって、本に不気味な質量を与えている。

報い全

上巻、カバー全景。

報い見返し

そしてカバー袖。袖の横幅が広く、見返し部分に大きく重なり、本体を包み込こむカバーの存在感が増している。見て怖い、触ってより怖い、語感で味わえるホラー装丁を堪能した。

出版:KADOKAWA
装丁:白い立体 吉田昌平 []

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【通巻賞】 古見さんは、コミュ症です。 1~6巻 / オダトモヒト

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極度のコミュ症をわずらった口下手美人の古見さんが、友達の輪を広げていく友達作りコメディ作品。
古見さんがその一歩を踏み出す黒板を使った会話シーンをモチーフとしてタイトルデザインはチョーク絵風になり、イラストは教室からスタート。以降、横書きタイトル真ん中置き固定で、各巻の大きなイベントを中心にエピソードをチョイスして表紙イラストにしている。
最近ライトノベルの表紙を調べていて、男性キャラを入れつつその優先順位を下げる方法として、奥に引っ込める、見切れさせる、ちびキャラ化させるなどいくつかパターンの目星を付けた。そういた観点で見ると、こちらもで主人公の只野くんをそれとわかるように盛り込みながら、後ろ向きにする、見切れさせる(この後第8巻の話)の他、男性をのっぺらぼう化させるなど露骨な方法が意外と違和感がなく、風景込みイラストを用いながら女性キャラ優先タイプの表紙を自然に組み立てているように感じた。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 石沢将人 []

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【完結賞】 エリア51 / 久正人

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祝完結。企画での紹介もこれで6回目。
ラストは、単行本の発売日で換算すると2011年6月から
2017年9月までの約6年間、15冊の軌跡を並べてみる。
お疲れ様でした。

出版:新潮社
装丁:crazy force 竹内亮輔 []

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【全2巻賞】 NKJK 2巻 / 吉沢緑時

NKJK

表紙。

NKJK裏

そして裏表紙と背表紙。
他所で既にオススメ漫画として紹介しているものの、装丁と絡めて解説を入れようとすると余計なことを言ってしまう気がしないでもないので、吉沢先生が「この表紙で攻めたいというワガママを汲んで下さった担当さんに、改めて感謝しております」とツイートした表紙をただ並べておく。

出版:双葉社
装丁:アルティザン 倉地悠介 []

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【パロディ賞】 うちのクラスの女子がヤバい 3巻 / 衿沢世衣子

うちのクラスの女子がヤバい

前回1巻、2巻を名画パロディであると説明をつけて紹介した後、パロディは元ネタと一緒に並べたいと思った。そしてミュシャ展が開かれていたあたりでミュシャパロディ特集を組むため絵画のパブリックドメインについて調べてみると、こちらの該当作品も並べて紹介する分には問題なさそうだということで、1巻、2巻もあわせて手っ取り早く並べてみた(比較のためのトリミングあり)。
3巻:『ラス・メニーナス』(スペイン語で「女官たち」の意)、1656年、ディエゴ・ベラスケス作。

うちのクラス1

1巻:『民衆を導く自由の女神』 1830年、ウジェーヌ・ドラクロワ作。

うちのクラス2

2巻:『ヴィーナスの誕生』 1483年頃、サンドロ・ボッティチェッリ作。

こちらの作品は一目で名画のパロディになっていることに気付いたが、以前この企画で紹介した『やみのさんしまい』が洋楽ジャケットのパロディになっていることは紹介後に指摘されてわかり、最近では『ゴールデンカムイ』の作中のコマに唐突に登場した名画パロディも説明を見て理解したりと、案外パロディは気付いていないだけで思っているよりも沢山ひそんでいるのかもしれない。

出版:講談社
装丁:BALCOLONY. [/]

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【スピンオフ賞】 金田一少年の事件簿外伝
             犯人たちの事件簿 1巻 / 船津紳平


金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿

難事件解決の裏に存在する真犯人達の涙ぐましい敗北への道を描いた、『金田一少年の事件簿』スピンオフ作品。金田一少年はかなり好きな漫画に入るが、その好きという資産もこのブログでは中々使う機会がないな~と思っていたところ(『僕だけがいない街』の推理記事ではちょっとだけ活用できた)、格好の餌がやってきた。
イラストは本家(画像右)を踏襲しつつ、堂々と3事件分の真犯人を加えるという歴史がありすぎる作品だからできる芸当を披露。デザインもできる限り再現し、過去に少年マガジンコミックスの背表紙を飾っていたマスコットキャラ・ピモピモはパロディではなくそのものを使用。2巻の第2刷以降で修正されたため1巻にだけ残されたローマ数字の巻数もトレースしている。

犯人たち全体

袖の作者コメント、裏表紙のあらすじの入れ方など、カバー全体で見てもそっくりに仕上げている。裏表紙で、怪人のトレードマークや凶器などキーアイテムが置いておどろおどろしさを演出する場所に金田一の顔を置いているのがポイント。

カバー下比較

カバー下のテンプレートパターンも再現しつつ、裏表紙側で犯人達にメタな突っ込みさせながら
パロディになっていることをさりげなく説明している。

おまけパロ

読者が、担当編集の存在やさとう先生の性別、ふくろう趣味などの情報を得られた楽屋裏漫画のパロディ。主要キャラのコスプレカットが真犯人のコスプレカットになるという、やはり今だからできる芸当。

既刊案内比較

再現部分としてさりげなく力が入っているのが、巻末のコミックス既刊案内ページ。
ただ1作残った『はじめの一歩』が時の流れの速さを伝える。


出版:講談社
装丁:banjo 坂上和也

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【合体賞】 総合タワーリシチ 上下巻 / あらた伊里

総合タワーリシチ

JK×JK。つぼみwebコミック発で元 まんがタイムKRコミックス。そして少年画報社から完全版として発売され、YKレーベルとなった百合作品。上下巻同時発売であることを活用した合体表紙。タイトルデザインを小さくして可能な限りイラストを見せる顔アップ系の表紙でもあり単巻でも目を引きつつ、並べたときの二人の密着感は、一枚絵で収めたときよりも強い(気がする)。

総合タワー2

中扉と背表紙。
YKマークを挟む上下の二本線は黒が多いが、二色分けもしてよいらしい。
(他の作品はどうだったか確認していると『善悪の屑』も二本線を弄っているのを見つけた)

出版:少年画報社
装丁:1LDK []

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【愛蔵版賞】 少年は荒野をめざす
           愛蔵版BOXセット 全3巻 / 吉野 朔実


少年は荒野をめざす 愛蔵版BOXセット

1985年から1987年にかけて少女漫画誌「ぶ〜け」に連載されていた全6巻作品を3巻にまとめた愛蔵版BOXセットで、サイズはA5判。

少年は荒野を2

各巻の表紙。等間隔配置して縦線でまとめたタイトル、色つき巻数。イラストエリアも各種文字も小さめ。各巻の背表紙にはイラストなし。本のサイズが大きいため、イラスト部分の小ささは感じさせないが、それでも余白は広く、普通のコミックの2巻分の厚みもあるため、全体的に白さが際立っている。

天、地、小口も真っ白。ページの端まで印刷があるとそこが黒くなるので、大体の作品はその部分は黒が混じってマダラになる(4コマ作品などは白くなりやすい)が、こちらはページの端に余白を入れることで完璧な白い側面を作り上げている。ここまで徹底しているとそれだけで気持ちが良い。

出版:本の雑誌社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【完全版賞】 暗黒神話 完全版 / 諸星 大二郎

暗黒神話 完全版

父の死の謎を追う少年が、日本全土をめぐる旅の中で自らの宿命と対峙する伝奇アクション。1976年に週刊少年ジャンプで連載された作品で、画楽.mag(ホーム社)で2014年から2015年にかけて連載された完全版をベースに加筆や描き下ろしを加えた愛蔵版。本体はハードカバーで、スリーブ付き。最初の画像は本体をスリーブに収めた状態の表、そしてスリーブの裏。スリーブは黒とメタリックで構成されており、主人公イラスト、タイトル、作者名が印刷されている他に、謎の文様が切り抜かれており、文様部分からは本体が断片的に見えている。

暗黒神話2

スリーブ単体と本体。スリーブの内側は赤いため、本を抜くことで文様部分が赤く浮き出る。本体は、一部に布が貼られており、そこに箔押しのタイトル、作者名。イラストはヤマトタケルのレリーフと、本体だけで見ると漫画らしうからぬ書籍感が出ている。
本編についても一部に銀のインクをあてがうなど凝った仕掛けが随所に見られ、要約すると「祖父江さんらしい」に落ち着く。装丁の解説は、公式情報で確認可能。

参考:暗黒神話 完全版 商品紹介ページ / 諸星大二郎特集・前編 (集英社コミックシンク)

出版:集英社
装丁:コズフィッシュ

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【良いコミック賞】 ハード・コア 平成地獄ブラザーズ 全4巻
                 / 狩撫麻礼,いましろたかし


ハード・コア 平成地獄ブラザーズ

男2人とロボット1体。埋蔵金発掘のバイトで日銭を稼ぐアウトロー達の哀愁を描いたストーリー作品。
カバーに使われている紙は元々色付きで色ムラあり。印刷は黒、巻数マーク用の白、そして枠内の背景部分に各巻固有の1色。各種文字は等幅のものを使い、絵的な装飾のないシンプルなものを上部に集めて配置し、巻数のみ癖のあるフォルムのものをイラストに重ねあわせて目立たせている。いましろ先生の絵柄は渋くて愛嬌があるが、このカバーを手にして感じたものはかっこよさだった。

ハードコア色々

こちらは3巻のカバー下、中表紙、目次。
他に見返し等を合わせて、3巻固有の黄緑色を各所に使用している。

元はグランドチャンピオンで1993年まで連載していた作品で、ビームコミックスとしては2000年に上下巻で刊行されており、今回は実写映画化に先駆けて改めて刊行された。描かれたのは20年も前という話で、描写にも時代を感じさせる部分はあるが、読んだときにはそれが特に引っかからなかったが、それはカバーが嘘を盛らずに作品の魅力を伝えていたからかもしれない。

出版:KADOKAWA
装丁:セキネシンイチ制作室 [/]

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【良いコミック賞】 星明かりグラフィクス 1巻 / 山本和音

星明かりグラフィクス

デザインのとびきり上手い問題児と、美大をコネを作る場所と豪語し問題児の世話を焼く親友。打算と情熱の美大青春グラフィティー。
表紙単体で見るとL字、全体で見ると凹型のグレー枠にイラストを収めた構成。ハルタレーベルかつBALCOLONY.さんデザインという共通項を持つ第2位と見比べると分かりやすいが、こちらは表紙に入れるルールがないエンターブレインマークやISBNコード、2個並べた同型同色の巻数マークなど、文字というアイテムを多めに盛り込んでいる。これらとクリックできそうな左上「ほし」「あかり」マーク、イラスト外のグレー配色、裏表紙で「選択された画像」っぽく加工されてポインタも添えられたバーコードエリアなどを合わせて眺めると、そのデザインの方向性が見えてくる。

袖

袖には電源を押すイラスト。そして見返しにはシルバーとオレンジの印刷で開いたノートパソコンを構成している。ちなみに、電子書籍版では表紙の次にこのカバーを外した状態の見返し部分が収録されていて、逆に上で紹介している『報いは報い、罰は罰』は見返しではなく広い袖の部分を収録していた。

カバー下

カバー下は林檎を梨にしたMacBookライクなノートPCの筐体風。見返しと合わせて、本体はノートPCに見立てたデザインになっている。おそらく見返し単体がそれを見た時点で全体を推察できるようになっており、カバーを外すと予想通りのものが出てきて満足した。

星明かりタイトル

中表紙は見開きでタイトルロゴを配置している。ノートPCを模した見返しの裏側にあたる右ページには同じようにシルバーとオレンジを使用し、編集パネルのイラストや基準線を加えることでイラストの編集画面に仕立て、デザインの過程(右ページ)とそのアウトプット(左ページ)を見せている。

目次

目次ページも見開き。「○○と××」形式の各話タイトルは、形式が一目で伝わるようにレイアウトされている。

袖2

奥付は中扉のデザインを踏襲、加えて最後の袖には電源を消すイラストと、締めの部分が導入部分と対照的にデザインされている。「デザインしているところ」系デザインの中でも作りこみが面白くて見ごたえがある1冊だった。

出版:KADOKAWA
装丁:BALCOLONY. [/]

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【良いコミック大賞】 《完全版》サイコ工場 Α / 谷口トモオ

《完全版》サイコ工場 Α

1997年に刊行されたホラー短編集『サイコ工場』、その完全版。『イルザ ナチ女収容所 悪魔の生体実験』という映画のポスターを元ネタにしており、若干色の付いたほぼ白色の紙に、黒と赤が印刷されている。表紙に使われているイラストはだいたい作中のコマが元になっているのを確認できて、作品の古びにくいタッチ、デザインの力、その両方が作用していると思われるが、20年前のパーツを用いて今のものに仕上げられているところが興味深い。ちなみに作品のレーベルはリイドカフェコミックスになるが、復刊に尽力を尽くした劇画狼さんの特殊出版レーベル「おおかみ書房」のマークも背表紙に入っている。

サイコ工場カバー下

書物のようなデザインが入ったカバー下。

サイコ工場導入

本編の前には、「序にかえて」と小説の一節などが挟まれている。

サイコ工場最後

作品の後には、谷口先生の全仕事データがページをしっかり使ってレイアウト的にも丁寧にまとめられている。この後には、製造記録と題した復刊の経緯まで収録されていた。

サイコ工場小口

小口には仕掛けが施されており、小口を左に広げると「Psycho」、右に広げると「Α(+Ω)」というように広げる方向により異なる文字が出現する。読んでいるいるときはこれが本編を挟むように左右にくっきり現れて、中々かっこいい。上に載せた全仕事のページの左右を見ると、ページの左端と右端に、小口に文字を出現させるための印刷スペースが設けられていることが確認できる。

対となる『《完全版》サイコ工場 Ω』と合わせて、著者自らの大幅修正&加筆も入り、デジタルリマスターで蘇ったというその1ページ1ページの印刷は20年前の作品であることを感じさせないくらい鮮明で、そういったところにも《完全版》の価値があるが、その価値を届けようという全力の意気込みを装丁や構成から感じることができる1冊だった。

出版:リイド社
装丁:(Ya)matic studio

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『この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2017』はここまで。電子書籍の本格的な普及に伴い、紙の出版物を巡る状況が刻々と変化し続けている現状でも、好きなデザインに引かれて新しいデザイナーさんの名前を覚える機会も決して少なくはなくて、楽しい漫画装丁の世界はきっと、いまなお広がっています(主観)。自分も負けていられないぞと、2018年版は2019年の年明け早々にアップできるように今からがんばります(フラグ)。

次回の特集でまた逢いましょう。


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2018年06月17日 | この装丁がすごい! | コメント 4件 | トラックバック 0件 | TOP

この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2016 【ベスト100+α】

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:この装丁がすごい!  »2017年05月15日 更新

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良いコミックがお送りする年1企画、『この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2016』の発表です。今回で通算7回目となる本企画、いつもの通り「すごい!」とか「大賞」とかガワだけはとにかく大げさに、中身は「すごーい!」「たーのしー!」ぐらいの気持ちで好きな作品を紹介していきます(軽い企画なので、うっかり作家さんに「ランクインしましたよ!」等とリプライを飛ばすと激しい「お、おう」時空が発生する恐れがあります)。

それでは紹介数ベスト100+α、どうぞご覧ください。

●対象:2015年12月1日から2016年11月30日に発売された作品
●画像をクリックするとamazonに飛びます。
●画像下にマークが付いている作品は、
 画像の上にポインタを乗せると別画像に切り替わります。

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【1位】 宇宙のガズゥ / 横内 なおき

宇宙のガズゥカバー全景
宇宙船に乗り込み、警備員として雇われた巨漢『カズゥ』を主人公に、船内で起こるドッタンバッタンの大騒動を描いたスペースオペラ作品。
作者の描くディフォルメの利いたコミカルなキャラ達が、『サイボーグクロちゃん』新装版の表紙では、シンプルな塗りわけが似合うことを見せてくれたが、本作でのアプローチはその真逆。キャラ達の丸みを帯びた可愛らしさはそのままに、大胆な陰影、細やかな塗りわけ、金属部分のメタリック感強調、グラデーション効果の多用などゴージャスな加工要素がてんこもり(装丁と共に、レタッチ、カラーリングにもデザイナーさんのクレジットあり)。「劇場版」と付けたくなるようなスケールを感じさせる表紙に仕上がっているが、本編を読むとそのスケール感が何ら間違っていないことがわかることはお伝えしておきたい。

出版:講談社
装丁:arcoinc 楠目智宏,池田悠 []

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【2位】 107号室通信 / カシワイ

107号室通信中扉をめくる
とりとめのない空想的な世界を詩的に紡いだ、18編のフルカラー作品集。
各エピソードは「植物」、「収集」「記憶」「宇宙」の4分類でカテゴリー分けされており、本編では「絵本のような…」という感想も出てくる幻想空間が展開されるが、表題作には部屋をイメージさせるものをピックアップして、表紙はドアと少女のイラストを用いたもので静かにまとめている。この余白の広いイラスト+文字+赤線のシンプルさが、縦縞の入ったカバーの手触りの良さと合わさってとても気持ち良い。見返しや開始1ページ(書影右上)には緑のページが挿入され、次のページに中表紙が出てくるが(書影右下)、中表紙は薄紙になっていて、改めて出現する扉()を透かしている。他にも裏表紙、目次、奥付など、基本は扉がつき、中の幻想空間へと誘うデザインとなっている。

出版:リイド社
装丁:クラフト・エヴィング商會

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【3位】 あげくの果てのカノン / 米代恭

あげくの果てのカノンカバー全景
高校時代から8年、片思いの先輩が既婚者になってもその姿を追い続けるメンヘラ・ウエイトレスを主人公とした恋愛作品+SF。
雨上がりの空の下、崩壊したビル街を背景に佇む、ウエイトレスの制服に雨具を羽織ったヒロイン。灰色の多い背景に彩を添えるような赤ピンクのタイトルが、変則的な配置でヒロインを取り囲み、さらにタイトルエリアに重なるように英字タイトル、作者名などの白字が配置されている。

あげくの果てのカノンカバー全景
こちらは2巻。カバー下(書影右上)に収録されたシンプルな英字タイトル+表紙背景の構成と比較すると、表紙における文字の賑やかさがわかりやすい。
過去の本企画に対して「紹介している作品の半分以上、文字が読みづらい」的な感想を見たことがって、その時にはそういう視点も大事だよな~と目からウロコが落ちた気もしたが、ウロコというものは再生してしまうもので、読ませるより先に目に飛び込んでくるようなステ振りの尖がったデザインの魅力には、やはり抗えなかった。

出版:小学館
装丁:川谷デザイン []

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【4位】 スペシャル 1巻 / 平方イコルスン

スペシャル裏表紙
田舎に引っ越してきた転校生の視点で、怪力ヘルメット女子を筆頭に、クセの強いクラスメイトの生活を眺める日常作品。
イラストはヘルメット女子を中心に据えた授業中らしき教室の1シーンになっていて、白地をベースに印刷はシルバーと黄色のみ。書影右上は本編の1ページで、作品の絵柄は線がしっかりしていて黒ベタが多く、トーンを用いずカケアミを多用しており、全体的に重たい印象を受けるが、表紙では黒部分がシルバーに置き換わることで軽くなり、そこに黄色をヘルメット、教科書1冊、文字を囲む円と的を絞って加えて、バランス良く明るさを取り入れている。絵柄の重さというか密度感は、作品としては味にあたる部分で、そこを表紙では抑えつつ、しっかり作者の絵柄をアピールしているカバーになっていると感じた。

出版:リイド社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【5位】 寝台鳩舎 / 鳩山郁子

寝台鳩舎裏表紙
戦時下の空に、機密を運ぶ任務を担いながら、無数に散っていった軍鳩(ぐんきゅう)。寝台列車を舞台に、少年と軍鳩達との不思議な出会いを描いた幻想作品。
擬人化と言うべきか、通信管を足に結わえて優雅に空を舞う奇妙な制服姿の軍鳩達。細やかな線の描き込みによって陰影を与えたイラストを青と銀で塗り分けたそれは、銅版画のような趣を備えている。
カバー下は味わいのある古書の佇い(書影右上)。本編の前後には黒いページ+銀の羽が挟まれる(書影右下)。また、本編の一部に空色を差し込むなど、構成的な見所も多い、芸術という言葉が似合う1冊。
出版:太田出版
装丁:note 芥陽子 []

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【6位】 さらば、佳き日 2巻 / 茜田千

さらば、佳き日裏表紙
とある地方都市に“新婚夫婦”として引っ越してきた「兄」と「妹」の生活を描いた、オムニバス・ストーリー作品。
夕暮れ時、雪が残った海沿いの道を歩き振り返る「兄」。今回紹介している作品の中でも特にイラストに目を奪われた1冊。白抜きのタイトルは小さくて目立つことはしないまでも無視はできない大きさで、「さよなら、」よりも強い「さらば、」そして改行して1行ほどの空白を挟んで「佳き日」。切なさが語りかけてくる。

出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
装丁:ウチカワデザイン 内川たくや []

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【7位】 ミッドナイトブルー / 須藤佑実

ミッドナイトブルー裏表紙
7編の物語を収録した短編集。
プラットホームに佇む少女のイラストを、タイトルと合わせた青系をメインとした退色的ににも見える色合いでまとめていて、リリカルな空気を感じさせる。タイトル、作者名など文字要素は概ね「そのまま」と「箱入り」で2回使われていて、さらにタイトルの語源解説が箱入りで添えられている。
書影右下は中表紙で、本編の印刷色もタイトルのように青系。書影右上、ボール紙のような質感のカバー下は各エピソードにまつわる小物が箱に収まったおまけイラスト。
裏表紙()の右端には各エピソードの1コマが並んでいて、さらに各話タイトルはコマに紐付ける形で袖に配置されている。何気にこれらのコマには時系列的に物語の後の様子が描かれていて、手に取って購入の参考にする時点でネタバレになるレベルの情報を持たせていないながらも、一通り読み終わった後ではかなりささやかなエピローグとして機能する。

出版:祥伝社
装丁:コードデザインスタジオ [/]

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【8位】 BLACK‐BOX / 高橋ツトム

BLACK‐BOX裏表紙
父親は殺人罪で服役中、兄も殺人で捕まったという“殺人一家”の次男がボクシングのプロテストに挑むボクシング漫画。
レトロを感じさせる麦わら色を下地に、黒+1色(1巻:赤、2巻:青)の3色構成。さらさらとしたカバーの質感がデザインとマッチして、ビンテージ感の出たボクシングポスターの雰囲気が上手く出ている。1巻表紙の元ネタはおそらく、モハメド・アリのポスター

出版:講談社
装丁:LOGGIA 川瀬豊

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【9位】 なんてことないふつうの夜に / 嶽まいこ

なんてことないふつうの夜に

「ふつう」の夜をテーマにした、12の連作短編集。
紺色の背景に白い点を散りばめた夜空のような背景に、枕やぬいぐるみ、本やスマホを持ってそれぞれの夜を迎えるキャラクター達。タイトル、作者名を入れた枠は枕の形。カバーの紙は裏面がまだらな薄茶色。このまだら具合と紙の質感が表面にも出ていて、白部分もちょっぴりムラがあり暗く、さらっとした線とシンプルな色分けのイラストにアナログな風味を加えている。

出版:祥伝社
装丁:Pri graphics 川名潤 []

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【10位】 彼女の季節 -少女アラカルト- / にいち

彼女の季節 -少女アラカルト-カバー全景
恋する少女達、11人のオムニバス。
春の夕暮れ時、風が吹き込んで桜の花びらが舞い込んだ教室で、少女は意を決して手紙を差し出す、というシチュエーションがわかりやすいイラスト。タイトル、作者名は白抜き。その他レーベルやローマ字の装飾が銀色で散りばめられており、ささやかに高級感を出している。これは偶然の産物か、銀色の部分を確かめるべく光にかざすと、レンズで捉えたかのように光状(もしくはグレア)を付けた夕日の白色部分がリアルにまぶしく感じられるよう目が錯覚するのがお気に入り。
フルカラーの単行本であるが、桜の花びらが添えられた開始ページ(書影右上)や目次ページ(書影右下)など、所々に入る白地の多いページの処理が丁寧で、全体がよくまとまっている。

出版:KADOKAWA
装丁:BALCOLONY. [/]

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【11位】 服を着るならこんなふうに 1巻 / 縞野やえ、 MB

服を着るならこんなふうに裏表紙
着るものに無頓着だった主人公が、妹の手ほどきを受けてオシャレの楽しさを学んでいく、ファッションストーリー作品。作中ではユニクロが実名で登場するが、このいかにもユニクロと言えるカラーバリエーションを揃えた商品の陳列棚は、とても表紙映えすることがわかった。タイトル、作者名、巻数等使える文字は一箇所に集められて、商品のタグ風にデザインされており、この本のISBNまで載せてタグらしさを演出しているのがポイント。裏表紙()は表紙のキャラなしバージョンになっていて、こちらでもバーコードエリアはタグ風。背表紙はボタンのマークをあしらったモノトーン構成で、いつもは金色の角川マークもここでは黒色。表紙の主人公のアイテムを紹介する中扉(書影右上)、チェックのパターン背景に文字エリアをラベルのように配置した目次ページ(書影右下)など、全体が品物のようにまとまっていて、清潔感が気持ちよい装丁になっている。

出版:KADOKAWA / 角川書店
装丁:D式Graphics 沼利光 []

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【12位】 ファイアパンチ 1・2巻 / 藤本タツキ

ファイアパンチ

雪と飢餓と狂気に覆われた世界で、再生能力を持つ少年がその身を焼かれ続けながら、炎を与えた男に復讐すべく旅をするファンタジー?作品(1巻時点)。
少年ジャンプ+というWEBアプリで配信され1話から話題になった作品として、そういう作品はカバーデザインも仕掛けてくるというか、面白いことが多いの期待していた。そして結果がこちら、一般的なジャンプコミックスのサイズを選びつつ、特大バストアップイラストに、顔への被りを気にしない特大タイトル、巻数が眉間に被る作者名+巻数の中心線縦配置のインパクト勝負。背表紙のタイトルと比べてみると、表紙の上では端の部分を切りつつもみっちりと治まるように大きく配置してパンチを利かせていることがわかる。
その後ちょっと驚いたのが2巻で、燃えたぎる炎を全面に出した1巻から一転して、こちらは冷たさを感じさせるような青ベースの表紙に。なるほど、タイトルに「ファイア」と明確に熱さの属性を持った言葉を入れつつも、文字の造型自体には炎らしい加工を加えていないし、背表紙のタイトルも白抜きにしているので、表紙で色を変えるのもアリなんだなと感心した。4巻からはまた少しパターンが変わるが、絵柄とタイトルのベースが好みなので今後面白いものが出てきそうな気がしている。

出版:集英社
装丁:稲妻温泉 岡下陽平

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【13位】 ぼくと姉とオバケたち 完全版 / 押切蓮介

ぼくと姉とオバケたち 完全版裏表紙
曰く付きの物件に引っ越したオバケが怖くない姉・麗子と怖がりの弟・とぼけたお化けたちで送る、にぎやかな共同生活。押切先生の好調あってか各社で数年前の作品の完全版が出されまくる流れの中、2巻分が1冊にまとまって刊行された4コマ漫画の完全版。
縁側でオバケたちに取り囲まれながら水遊びをする姉弟のイラスト。キャラがわんさかいて、塗りにムラのあるいつもの感じで着色すると濃ゆい雰囲気になりそうなものだが、今回は薄い色味のものをエリアごとに均一に塗り分けられていて、これが散りばめられた文字と交じり合って主張しすぎず、賑やかと同時に軽さを持ったバランスでまとまっている。
出版:竹書房

装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【14位】 ゴーガイ!岩手チャグチャグ新聞社 明日へ/ベストセレクション / 飛鳥あると

ゴーガイ!岩手チャグチャグ新聞社裏表紙
地方新聞社を舞台にした地域振興漫画、その新作として震災から5年、被災地の今を描いたものが『明日へ!』、既刊3巻から人気エピソード5編を選んで刊行されたものが『ベストセレクション』。
主人公の取材風景をイラストにしており、人物に焦点を当てた様に見える背景のぼかし、白枠など、イラストが写真のようにまとまっている。そこに大きなタイトルが加わって、そこにストレートな力強さを感じた。
裏表紙()は、重ねられた作中のコマの隙間に収録エピソードの解説を入れる構成になって、バーコードはなし。講談社の単行本は、バーコードが消えてなんとなく寂しいと感じることがあったが、要は慣れの問題で、きっちり設計されている場合はバーコードがない方がまとまる、とこちらの裏表紙を見て思った。
出版:講談社

装丁:arcoinc 楠目智宏 []

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【15位】 憂鬱くんとサキュバスさん 1巻 / さかめがね

憂鬱くんとサキュバスさん裏表紙
「鬱」状態の青年と、彼をターゲットに定めたサキュバスの居候生活を描いた、エッチで純粋な1ページ完結型の日常作品。
WEB媒体『となりのヤングジャンプ』で連載しており、紹介ページに行くと
・カバーは柔らかな手触りにこだわった特殊用紙使用。
・本文用紙は白味度を抑え、目に優しい読み味に。
・「ジョジョリオン」などを手がける気鋭デザイナー・成見紀子氏による、女性も手にとりやすい優しいデザイン。

と単行本の装丁をアピールしている。書影右、「無い袖は振れない」のエピソードをピンク色に染めて背景にしているが、並べてみると、下端の2コマの上のスペースを広げてキャラの腰掛けるスペースを作るという細やかな調節が確認できる。さらに、本編を丸々使用しながら、ピンクと水色の組み合わせが、黒のベタ部分が重く、個性的な作者イラストのクセの強さを和らげつつ、本編の優しい読み味を伝えられているように思える。「女性も手にとりやすい優しいデザイン」、なるほど。

出版:集英社
装丁:成見紀子

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【16位】 魔女の箱庭と魔女の蟲籠 -鈴木小波短編集 / 鈴木 小波

魔女の箱庭と魔女の蟲籠 -鈴木小波短編集+裏表紙
魔女の作った奇妙な姉弟を描いた連作短編メインの作品集。
水の中を落ちていくような逆さまの姉弟。底には朽ち果てた骸の山。ドクロ単体で見てみると結構リアルに描かれていて、背景は塗りの質感的に怖い、薄気味悪い成分を多分に含んでいるが、人物の周りに文字の蛍光イエロー、水の波紋や水泡の白色など明るい色が散りばめられることで、薄気味悪さが中和されて幻想的な空気感のみが強調される。蛍光イエローの色味が絶妙で、手に取ったときに印象が大きく変わった(上の書影より蛍光色部分が明るく際立っている)ので、現物で確認してほしいタイプの1冊。

出版:一迅社
装丁:imagejack 團夢見

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【17位】 ガイコツ書店員 本田さん 1巻 / 本田

ガイコツ書店員 本田さん0

作者であり、コミック担当の書店員を主人公に、外国のお客さん対応エピソード、営業さんとのやりとり、接客研修など漫画売りのあれこれを描いた実録エッセイ系の作品。ガイコツ、紙袋、ガスマスクと、この作品では書店員にエキセントリックな風貌をあたえており、かつ外国人エピソードが多く、表紙に描かれているのはそんな方々。キャラの説明を兼ねるタイトルは枠に入れて矢印で当人を指し、他のキャラにも枠と矢印で愛称を添えている。作者の絵柄には独特の濃さがあって、デザイン的にはこれをポップにまとめている。イラストのメインが書店員姿のガイコツということでまずインパクトがある表紙。ガイコツに書店員という属性が付くと、怖さが消えて弱々しさや哀愁が出てくるところが面白い。
出版:KADOKAWA/メディアファクトリー
装丁:arcoinc []

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【18位】 総天然色 バカ姉弟 1巻 / 安達哲

総天然色 バカ姉弟カバー全景
ご近所のみんなに愛されて暮らす、推定3歳の姉弟のほのぼのした日常を描いた『バカ姉弟』全5巻の完全新作。
メインのイラストの下の部分を上、上の部分を下に配置した、流れるフィルムのコマのように、止め絵の中に時間を感じさせる3段構成。タイトルは既刊のロゴを踏襲しているが、これにカラフルな「総天然色」の文字が加わりつつ作者名、巻数と共に白枠に収まって、アイテムとして洗練された印象を持った。
クラフト紙のような色合いのカバー下(書影右上)や遊び紙、姉弟の顔を散りばめた余裕のある各話タイトルページ(書影右下)など、ちょっとしたところが感じの良いフルカラーの1冊。

出版:講談社
装丁:-

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【19位】 宝石の国 6巻 / 市川春子

宝石の国カバー全景
灰色・白のグラデーション背景に、合金の結晶と雪が散らされ、冬の訪れを感じさせる第6巻。いつも通りに宝石ホログラムが美しい、安定の作者自装作品。

普段、誰が単行本のカバーデザインをしているか気にしていない場合は、この記事を見て、その大半がデザイナーによるものだとお分かりいただけると思うが、次に、漫画家自身がカバーをデザインする事はあるかと疑問が出るもしれない。なので、この作品はちょくちょく紹介しつつ、自著の装丁を手がけるし、小説のイラストも描くし、限定版のグッズデザインもするし、ポケモンデザインの原案をまかされる漫画家もいるという情報は入れておきたい。

出版:講談社
装丁:市川春子

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【20位】 想幻の都 1・2巻 / 梶谷 志乃

想幻の都

22世紀のフランス。死人のパーツを使った人造人間が普及し、体の代替品として、家族として、労働力として活用される街で繰り広げられる愛蔵劇を描いた作品。

街や墓地を生やしたドクロをイラストとして用いた表紙。全2巻で、背景色を黒/白、タイトル色を金/銀と対にしている。ハグルマの組み込まれたタイトル、見栄えを意識して添えられたような振り仮名、ローマ数字の巻数、散りばめられたフランス語など、装飾的な要素が強い文字使い、蛇のウロコの様な凹凸の付いたカバー表面などと合わさることで、ドクロは不気味さよりも幻想的な雰囲気をまとっている。ハルタというかフェローズ。

出版:KADOKAWA
装丁:BALCOLONY. [/]

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【21位】 Levius/est 1巻 / 中田 春彌

Levius/est裏表紙
IKKI(小学館)から、ウルトラジャンプ(集英社)へ移籍したスチームパンク作品。出版社が変わりつつも、そのデザインは引き続きgift unfolding casuallyさんが担当。
「エスト」として巻数を仕切り直すと共に、デザインも小学館版(書影左)の下地1色、線画部分1色の2色構成から一新。今回は白背景、上位レイヤーのメインイラスト(多色)、下位レイヤーのサブイラスト(単色)の3段構成で進めていく模様。緻密なタッチと濃淡の細やかなイラストが背景と溶け合って、白色部分にも質量を感じさせる白背景タイプとなっている。

出版:集英社
装丁:gift unfolding casually []

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【22位】 かなたかける 1~3巻 / 高橋 しん

かなたかける3巻を前
東京からきた転校生・かなたが箱根の町を駆けながら仲間と共に成長していく、青春駅伝作品。
青空+人+白い文字情報。地面を描かずに開放感を与えるタイプの表紙に分類できるが、そこにマラソンの要素が入ると見えない地面がはっきりと意識できて、爽やかかつ、とても力強い。ちなみに背景の雲は各巻で同じものをベースにしながら、幅方向で載せる範囲を変えており、ちょっとした調節と絵柄の置き方で見え方が変わっているのがポイント。

出版:小学館
装丁:VOLARE 関善之 []

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【23位】 アイアムアヒーロー 21巻 / 花沢健吾

アイアムアヒーローカバー全景
前回紹介した18巻はタイトルが読みづらかったが、今回はさらにエスカレートしてしまった。これは読めないと言うべきなのか、日本語のタイトルも英語の表記部分もカバー全体に大きく配置しているため、表紙だけ見るとアイ「アム」アヒーロ「ー」、I a「m a」 HEROとタイトルの一部しか写っていない。そもそもカバー全体で見ても一部の文字にはバーコードエリアが被ってしまっていて、21巻ということさえわかれば、後は読ませる気はないが見ればわかるだろうというデザインになっていると言える。そんな表紙のやりすぎ具合が貴重な本作も次巻で完結。最後はどんな表紙で作品を締めくくるのか、とても楽しみにしている(まだ見ていない体)。

出版:小学館
装丁:井上則人デザイン事務所 [/]

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【24位】 堕天作戦 1巻 / 山本 章一

堕天作戦
長い月日の中に感情を落としてしまった不死者を主人公として、魔人と旧人類との戦いを描いた架空戦記作品。
表紙は黒、灰色、金色のほぼ3色構成(+レーベル表記の白文字)で、不死者の再生過程をイメージさせるドクロ部分が煌びやかに光を反射する。このドクロ部分、一面の金の箔押し部分は鏡のように自分の顔を映すほど滑らかに加工されており、マットな質感の黒・灰色部分との差でとにかく浮き出て見える。スキャナー泣かせの箔押し表紙なので、全部黒く写った画像を見たときにはどうしたものか悩んだが、こうやって見せれば何を推しているのかはわかってもらえると思う。

出版:小学館
装丁:Beeworks 近藤雅己

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【25位】 いい百鬼夜行 / 川西ノブヒロ

いい百鬼夜行裏表紙
なまはげ、ねこまた、河童、座敷童に女子高生幽霊。優しい妖怪たちが棲む小さな町の出来事を描いた、ほんわか妖怪群像漫画。
人と妖怪、みんなで集まって同じ方向を歩くイラスト。人のマフラー姿や妖怪の足跡があって、白い背景は雪のように映る。さらにカバーには小さい星の混じったホログラムが仕込まれ、優しい雰囲気でまとまっている。
カバーイラストは三種のデザインの中からツイッターの投票によって決められており、2番目に票の多かった案は中表紙(書影右上)に使用された。フルカラー作品で、あとがき、奥付までひっくるめて丁寧に作りこまれた良い1冊。

出版:講談社
装丁:welle design []

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【26位】 デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 5巻 / 浅野 いにお

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクションカバー全景
2年ぶりの紹介。紹介していない年に、「この作品みたいな装丁が紹介されていると思ったのに」というコメントを見ることもあれば、6つ上の作品に「毎回紹介しなくてもいいのに」と言った方もいて、矛で刺されたからといって盾で殴られないとは限らないんだな~、というのはどうでもいい話で、タイトルロゴが透明なため、角度によってはほとんど顔だけに見えるこちらの作品だが、5巻ではキャラが長髪の上、少ない背景エリアが紫で暗く、一層顔だけ感が強くてインパクトがあった。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香,佐藤千恵 []

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【27位】 ツインドルの箱庭 / 稚野まちこ

ツインドルの箱庭WEB掲載時との比較
双子の魔法使いのジルとジゼル。同じ杖を持ち、ものに命を吹き込む魔法を持った二人の数奇な運命に迫るダークファンタジー作品。全編フルカラー。
お立ち台の上に背中合わせで立つ弟と姉。飾り枠、金の幕を開けて舞台を見せるような構成になっており、イラストが金の箔押しで飾り立てられてとても煌びやか。
こちらの作品はWEB媒体『となりのヤングジャンプ』連載しており、本と体裁を揃えて2ページを一まとめで表示させていて、並んだページの間には装飾線が挟まれる。これをそのまま本にすると装飾線が見えづらくなってしまうので、単行本化の際には装飾線が左右に加わっている(真ん中にも線は残っていているがっほとんど綴じ代化している)。

出版:集英社
装丁:中川ユウヰチ

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【28位】 木陰くんは魔女 / 小森羊仔

木陰くんは魔女
ワガママの女子高生・夢子と団地の管理人兼魔女の木陰くん。ボロい団地を舞台に巻き起こる不思議な出来事と二人の恋を描いたファンタジー系少女漫画。
座り込むッ人物を中心に添えたファンシーな1枚絵の上に各種文字を重ねる構成で、イラストの彩度は抑えながら、絵的な装飾のない黒々しい文字との差により明るく見え、ポップな少女漫画らしさと落ち着きを両立しているように思えた。

出版:集英社
装丁:川谷デザイン []

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【29位】 スモーキン’パレヱド 1巻 / 片岡人生,近藤一馬

スモーキン’パレヱド裏表紙
家族と手足を失った少年が戦闘用義肢の力で、異形になった元生体移植者「スパイダー」に立ち向かっていく、バトルアクション作品。グロ中尉。
向き合う少年と一本角の男。グレーの背景、モアレのような縞の入った白いタイトル。角、兵器のような義肢と、非日常要素を少し出しつつシンプルな要素で飾り立てたスタイリッシュでシリアスな表紙。『交響詩篇エウレカセブン』、『デッドマン・ワンダーランド』に続く、草野さんデザイン。草野さんが関わるこの系の単行本は、目次(書影右下)や幕間などがいちいちカッコよくてコストパフォーマンスが高い。

出版:KADOKAWA/角川書店
装丁:草野剛デザイン事務所 草野剛 [/]

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【30位】 かつて魔法少女と悪は敵対していた。 3巻 / 藤原 ここあ

かつて魔法少女と悪は敵対していた。裏表紙
最終巻。
作者の不在を感じさせない仕上がりの美しさに、少し複雑な気持ちになる。

出版:スクウェア・エニックス
装丁:コードデザインスタジオ [/]

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スティーブズ 【31位】 スティーブズ 4巻 / うめ(小沢高広・妹尾朝子)、 松永肇一

偶数巻の背景が白、奇数巻の背景が黒なので本巻は黒。そしてスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック二人の革命の物語であるが、表紙を飾るのは単独ビル・ゲイツ。2度目の黒背景ということで、1度目は二人のスティーブに白いスーツを着せて白さを際立たせていたが、2度目は黒背景+黒スーツで黒ずくし。足を組んで椅子に座る様はキャラによっては「厨二」と切り捨てられそうなほどカッコつけているが、「ビル・ゲイツ」なので納得してしまった。

出版:小学館
装丁:VOLARE []

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新装版 ウッディケーン新装版 ウッディケーン 【32位】 新装版 ウッディケーン 上・下巻 / 横内 なおき
樹木の力と木目調の体を手にした新米教師のヒーロー譚。『コミックボンボン』の連載作、上・下巻の新装版。 キャラは白黒で背景1色、文字用で1色で計4色。地面や舞台のイラストは黒ベタで、同じく黒ベタで陰影を強調したキャラと同化している。先に紹介している『宇宙のガズゥ』との塗り方は対極的。双方作品の内包する真面目な部分を上手く見せていると思う。
出版:講談社
装丁:BALCOLONY. [/]

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辺境で 伊図透作品集 【33位】 辺境で 伊図透作品集 / 伊図透

雑誌掲載作、自費出版本で出された既刊『おんさのひびき』のエピソード、未発表作等を集めた作者初の初短篇集。
レールも靴も作品で頻出し、この短編集を象徴するに相応しいイラストになっているが、中身の情報を抜きにしても、精彩に描かれたほぼ無機物のそれが、人物を普通に入れたときと同じか、それ以上に漫画として期待させる情報量を持っているとも思える。英字部分が暗い赤色で、その他はほぼ白黒に見えるが、レール部分を灰色、シルバーで色分けしていたり、枕木(レールの下に敷かれている木)の線を焦げ茶色にしているなど色使いが絶妙。
出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:新井さおり

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ぼくらのじかん。 【34位】 ぼくらのじかん。 1巻 / にしださとこ
少年少女の心が揺れ動く様をオムニバス形式で描いた、comico発のオールカラー作品。
高所の葉っぱを右下に入れて見下ろし視点を強調したイラスト。人物部分を避けて子供が落書きしたように道路に同化させたタイトル1、黒字タイトル2とタイトルを2箇所に使っていて、タイトル1が遊んでいる分タイトル2は真面目に読ませる役割を担っていると言えるが、タイトルを挟むカッコ、○で囲んだ巻数、大きめのローマ字表記など、タイトル2周りの整理された文字の集合が、暖かいイラストの雰囲気を損ねずに浮き出て、イラストを正しく漫画の表紙として完成させている。
出版:KADOKAWA
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 []

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ヤコとポコ 【35位】 ヤコとポコ 3巻 / 水沢 悦子

3巻まで出ると、デザインのパターンが確立されて、どういうお約束になっているか説明できるようになり、この作品の場合は背景は白固定でタイトル位置、キャラ位置固定で「ヤコと」の下にヤコ、ポコの下にポコが来るのがお約束。そして「ポコ」の文字色はポコの色グレーで固定、「ヤコと」の色はヤコの服や持ち物の持つアクセントカラーと合わせられている。3巻の、黄緑+グレーの組み合わせが大変好みだった。色使い、色の構成は誰がどの段階で決めているのだろうか。うさくん?

出版:秋田書店
装丁:Pri graphics []

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つまさきおとしと私 【36位】 つまさきおとしと私 2巻 / ツナミノ ユウ



風変わりな色選びで個性を放っていた表紙で、
1巻から灰色、黒、黄色の色使いはそのままに、
紫が赤に変わったことにより一転して毒気が抜け、
愛が通じたと言って良いのかとてもハッピーな表紙になった。

祝完結。
出版:講談社
装丁:GENI A LOIDE [/]

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でぶせんでぶせん 【37位】 でぶせん 7・8巻 / 安童夕馬, 朝基まさし
『サイコメトラー』に登場した福島満が瓜二つの女性に成りすましてニセ教師として活躍するスピンオフ作品。
元々漫画形式の表紙でメタな自虐ネタを展開していたので、ドラマ化決定の際には、この美味しいネタを見逃すはずもなく、宣伝と自虐ネタを両立させるというこのフォーマットならではの遊びを見せてくれた。
出版:講談社
装丁:スラッシュ 福村理恵

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あの子と遊んじゃいけません 【38位】 あの子と遊んじゃいけません / どろり

WEBメディア「オモコロ」発。Twitterやはてブで拡散された更新情報から新作を読んで気付くと過去作も読み進めちゃってる系、人類には早すぎるディストピアギャグ短編を集めた初作品集。
白背景で、人物の配色は水色、みどり、黄色を使い分けている。表紙で「愛と平和」の象徴的にも使われる一列手つなぎをどこか違和感を持ったキャラ達にやらせつつ、タイトルの思想は差別的。ポップな見た目の中に悪意が入っている素敵な表紙。

出版:小学館
装丁:OFFICE ASK 米川裕也

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町田くんの世界町田くんの世界 【39位】 町田くんの世界 3・4巻 / 安藤 ゆき

タイトルが一度落ち着いた3巻、再び攻めた4巻。「の」の字が下端から上端にまたがったこちらの4巻や、同事務所デザインの小説『階段島』シリーズなど、「確実に読めるタイトルを添える」よりもゆるく、「ふりがな的な要素としてひらがなタイトルを添える」だけでも多少大胆なタイトルデザインは許可されるのかもしれない、とルールを想像してみると面白い。
出版:集英社
装丁:川谷デザイン []

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東京喰種:re 【40位】 東京喰種:re 5巻 / 石田 スイ



過去アップした記事を見て確認したのは、この作品を紹介していたり、紹介したくなるのは主人公が描かれているダークな表紙。「:re」で佐々木琲世という新しい主人公が登場して妙に明るい表紙になってしまったときには物足りなさを感じたが、中身は引き続き人喰いの漫画だったので表紙はすぐにダークな路線に戻り、5巻で表紙に主人公・金木研が戻ってきた。やっぱり金木研は良い。

出版:集英社
装丁:L.S.D. シマダヒデアキ []

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ニュクスの角灯ニュクスの角灯 【41位】 ニュクスの角灯 1・2巻 / 高浜寛
明治初期の長崎、異国の品々が並ぶ道具店で働く少女の物語。ニュクスの角灯(ランタン)。手描き感の出ている飾り枠にイラストを収めた、レトロな広告をイメージさせる表紙。手触りも良くアンティークのような品の良さを持っているので実物を推したいが、電子でもいいから読んで欲しいという気持ちもある。
出版:リイド社
装丁:井上則人デザイン事務所
    坂根舞 [/]


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AIの遺電子 【42位】 AIの遺電子 1巻 / 山田胡瓜

人間の領域にまで到達した機械「ヒューマノイド」達の人生を、彼らの「病」を治療する新医者の視点で描いたSF医療作品。
人とは違った頭内の構造をレントゲンのように透かして見せた女性のイラストに被せる形で、表紙3分の1ほどの透過型の縦帯を配置し、中心に「AI(アイ)」を大きくしたタイトルを載せている。続く2巻からはタイトルエリアが右に寄ってキャラが前を向く構成で定着し、少年漫画としての正当なキャッチーさを増している。それはそれで良いことだし、おそらく手探りの過程となったこの表紙はもちろん良い。

出版:秋田書店
装丁:土方芳枝

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ディザインズ 【43位】 ディザインズ 1巻 / 五十嵐大介

自然界を超越した異形の生物──HA(ヒューマナイズド・アニマル)。カスタマイズされた生物達が繰り広げるハードSF。

種別を超えた動物達が大行進するイラスト、その中心には、女の顔を持つヒョウ、そしてカエルの足を持つ裸体の女。イラストを最大限に見せるべく、文字情報は左上に集められ、英字のタイトルロゴを下に敷いてまとめられている。表紙から裏表紙の袖まで続く動物達のイラストは圧巻。カバーの質感も雰囲気を底上げしている。
出版:講談社
装丁:アーテン 福躍惠 []

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かくしごとかくしごと 【44位】 かくしごと 1・2巻 / 久米田康治

娘に仕事がばれることを恐れる漫画家が、アシスタントや編集者を巻き込んで二重生活を送るコメディ作品。「隠し事」で「描く仕事」。
父娘が腰を下ろして並ぶ風景イラストに白枠、ペン書き風のタイトルと、ピンナップ写真のような表紙。『絶望先生』『せかどろ』から続く、お馴染みのhiveさんデザイン。
出版:講談社
装丁:hive 久持正士,土橋聖子 []

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亜人 【45位】 亜人 9巻 / 桜井 画門


明るい赤紫の鮮やかな背景色が、その人のような何のがありえない口の開きを鮮明に浮かび上がらせて、それが決して人ではありえないことを認識させる9巻。大きく開いた口の隙間は「亜人」の2文字タイトルが入るくらいには空いており、暗い灰色部分に重ねるよりも読みやすくなると思われるが、そうはせずにタイトルは一歩引いた形でイラストに溶け込んでいる。このシルエットで「亜人」を
認識してくれと言わんばかりに力強い。

出版:講談社
装丁:アルティザン []

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サタニスター 完全版 【46位】 サタニスター 完全版 1巻 / 三家本 礼
両拳に嵌めたナックルで殺人鬼を狩る悪魔寄りのシスター「サタニスター」の活躍を描いたスプラッターアクションバトル漫画。元ぶんか社コミックスで、『血まみれスケバンチェーンソー』映画化を記念してビームコミックスレーベルで復刻した完全版。
イラスト横使い+通常方向の文字使い。表紙の下半分でタイトル、英字タイトル、ローマ字作者名。作者名の4段を目立たせる、作者イラストに切れ目を入れず大きく配置する、この二つをイラストの横使いで実現している。全4巻でそれぞれイラストの方向が異なり、巻数の方向だけイラストの方向と合わせている模様。
出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:HONAGRAPHICS 椿山喜昭

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新装版 ミュージアム 完本新装版 ミュージアム 完本 【47位】 新装版 ミュージアム 完本 上・下巻 / 巴亮介
映画版の公開に先がけて、新エピソード付きで完本として発売された新装版。上巻はカエル男と共に建物や標識他多数のアイテムを敷き詰められ、殺人者の潜む不穏な街を構築。下巻は雨の日のカエル男で、部分的に見える素顔と共にマスクの下に潜む悪意をさらけ出している。黒+金、黒+銀とちょっとリッチな佇まいになって帰ってきた上下巻。
出版:講談社
装丁:RAZZO 稲富健

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私の少年 【48位】 私の少年 1巻 / 高野 ひと深

30歳OLと12歳小学生。この感情は母性? それとも――。『このショタが尊い!2017』大賞作品。
寝そべる少年と傍らで少年を見つめる女性。淡い色合いのイラスト、白背景、特大4文字タイトルに絶妙なまとまりを感じた表紙。2016年、名和田さんはコミティアのトークショーで「名和田さんの表紙がわかる」という意見に「自分らしさ(個性)が出てしまうのもちょっと…」的なお話をしていたが、それはそれ、これはこれ。この表紙から溢れ出ているような名和田さん感が好物な人も少なくないのではないかな、と踏んでいる。
出版:双葉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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HUMANITAS 【49位】 HUMANITAS / 山本亜季


盲目の剣士、チェス選手、イギリス人貴族。今とは違う世界で抗い続けた者たちを描いた戦士列伝。

表紙を飾るのは15世紀中央アメリカを生きた盲目の剣士。剣を片手で持ちつつ手を前に突き出した独特のポージングが目を引く。剣の全体像が見えないイラストのトリミング具合は大胆で、古めかしい異国の情緒を感じさせるタイトルロゴと合わさって、とても力強い。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ []

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はじまりの竜とおわりの龍 【50位】 はじまりの竜とおわりの龍 / 海人井 槙

龍と人が交わり紡がれた歴史の一端を4篇のオムニパスから覗き込む、ファンタジー叙事詩。
タイトルの中で使い分けられている作品の核、「竜」と「龍」の文字が暗い赤色で強調され、他は全て白黒で構成された表紙(背表紙や袖には銀色の印刷あり)。タイトルの一部を色付けして埋もれないようにしつつ、大きさは小さくしていて、とにかくその白黒イラストを見せるようにしている。「竜」や「龍」の存在を示唆しつつ、一般的にイメージされるそれが描かれていないのもポイントで、想像力を刺激する、という側面も持っているかもしれない。
出版:小学館
装丁:twintails 川村将

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エリア51 【51位】 エリア51 13巻 / 久正人

黄緑背景の上で、影のような黒色と
キャラのダイナミックなポージングで逆三角形を構成した、
スタイリッシュかつ力強い表紙。
回を重ねるごとに表紙が洗練されてきた
印象持っているこちらの作品は、
15巻で完結してしまう模様。
物語と装丁、どちらのラストにも期待が高まる。

出版:新潮社
装丁:crazy force []

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バトルスタディーズ 【52位】 バトルスタディーズ 8巻 / なきぼくろ

元PL学園野球部員である作者が、同校をモデルにした「DL学園」を舞台にして人生のすべてを懸ける高校球児たちを描く野球漫画。
白髪の主人公を本編の何割り増しというレベルでリアルタッチで描き、毎巻顔芸と言えるほどさまざまな表情を作っている表紙。その中でも、人物のタッチとリアルな水滴描写がかみ合った水浴びの瞬間を収めたような絵が面白いと思ったのが8巻。デザイン的には、通巻でシーム(ボールの縫い目)を装飾に用いているのが良い。

出版:講談社
装丁:田中秀幸

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さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ 【53位】 さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ / 永田カビ

「行きました」部分3割、「行くことになった作者のこれまで」7割、実録エッセイ作品。ピンクと薄茶という限定的な2色を斜線、ドットパターン等を駆使して塗り分けた表紙。乳房まで描き込まれたイラストで"性"を全面的に出しつつ、卑わいさをそれほど感じさせないオシャレピンクデザイン。
同作者の新作『一人交換日記』()は小学館から刊行されたが、こちらの作品の事実上の「つづき」でもあるということで、イースト・プレスのお許しの上で川谷さんに続きのような装丁にしてもらったとのこと。
出版:イースト・プレス
装丁:川谷デザイン 川谷康久 []
一人交換日記
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恋と呼ぶには気持ち悪い 【54位】 恋と呼ぶには気持ち悪い 1巻 / もぐす

変態エリート社会人×普通なオタク女子高生。ストーカーまがいの猛アタックに罵倒で応戦する一方通行ラブコメ。

白領域が広く、一見シンプルですっきりして見えるが、手に取って間近で見てみると白領域には特殊加工で浮き出た「気持ち悪い・・・・・・」の文字がびっしり。ヒロインの心の叫びが見た目からも手触りからも伝わってくるずっしり重たい表紙に仕上がっている。

出版:一迅社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]
拡大
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とつくにの少女とつくにの少女 【55位】 とつくにの少女 1・2巻 / ながべ

黒い山羊のような姿を持つ「せんせい」と少女。人の住まわぬ地で静かに暮らす二人の物語。黒ずくめの「せんせい」白い少女、ほぼ無彩色で描かれた森の景色。文字やタイトル周りの装飾、枠にはイラストの静謐な空気を壊さない程度に表紙を目立たせる鈍い金色。異国の物悲しい童話を収めた絵本のような表紙。
出版:マッグガーデン
装丁:アルティザン 倉地悠介 []

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中学聖日記 【56位】 中学聖日記 1巻 / かわかみじゅんこ


中学生男子×担任女教師、11歳差の純情年の差ラブストーリー。

制服をラフに着た中学生主人公のイラスト+白背景+小さな紫色で1行にまとめたタイトル、巻数、作者名。水彩画タッチの淡いイラストには透明感があって、なにもない白色部分にも光が存在するかのような有の明るさを感じられる。シンプルイズベストな表紙。

出版:祥伝社
装丁:note 芥陽子 []

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山と食欲と私山と食欲と私 【57位】 山と食欲と私 2・3巻 / 信濃川 日出雄
自称単独登山女子が山と飯ライフを満喫していく作品。
最新巻の3巻までタイトル、巻数マーク等の文字位置、大自然背景、大股で鍋を挟み両手に食べ物・飲み物を持った主人公のポーズ、大量に広げた食材という構図を統一。自然で食べると飯が美味しくなる感覚に訴えかけ、ストレートに食欲を刺激してきた良い表紙。
出版:新潮社
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ []

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レイリレイリ 【58位】 レイリ 1・2巻 / 室井大資,岩明均
岩明均先生が原作、室井大資先生が作画を担当する戦国漫画。刀を持った少女の物々しさを強調した、戦国モノとしては異色感のある白い背景。カタカナで、払いの部分にだけ毛筆感を出し、落ち着きと勢いを備えたタイトルが目を引く。『秋津』が売れないこの世界の片隅で「岩明均」の名前が輝いて、いい加減人気が出るのではないかと期待できる表紙。
出版:秋田書店
装丁:HONAGRAPHICS 椿山喜昭

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ソウルリキッドチェインバーズ 【59位】 ソウルリキッドチェインバーズ 1巻 / 環望

荒廃し、ゾンビとヒャッハーに蹂躙された世界を鉄まみれの少女が切り開く、サイバーゴシックホラーアクション。
金髪+ガスマスク+水着+義足+義手+片腕+チェーンソー+返り血というショッキングな要素満載の少女がゾンビの頭部を足蹴にするイラスト+ピンク背景。タイトルは絵の具をカラフルに重ねたようなエリアに巻数と共に配置されており、ガスマスクになっている「O」の文字に目が行く。鮮やかなピンク色がイラストのパンク具合を際立たせつつ、ピンク色の鮮やかさ、それ自体が大変目立つ。
出版:少年画報社
装丁:1LDK

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わかばのテーブル 【60位】 わかばのテーブル / 芝生かや

傷心のデザイナーと健気な幼稚園児。食を通して育まれる年の差の友情を描いた作品。
木漏れ日に満ちた森の中でテーブルを囲む大人と子供達。文字は白抜きで、イラストの中心をピックアップするように弧を描く筆記体タイトルによって枠が構成されている。食べる男子を見るマンガ『食男』掲載作で、「誰のため」や「誰と」に重きを置いているという意味で『甘々と稲妻』系といった作品であり、「暖かな食卓」をファンシーな味付けでデザインした表紙になっている。

出版:ふゅーじょんぷろだくと
装丁:野本理香

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タヌキとキツネ 【61位】 タヌキとキツネ / アタモト

ちょっぴりぬけてるタヌキと、ちょっぴりいじわるなキツネ。3コマ前後の1ページ漫画で仲良しな二匹のほのぼのとしたやりとりを眺める、twitter発のフルカラーコミック。
元々1コマ1コマに描かれているタヌキとキツネがとても絵になっているカラー作品なので、本編のノリをそのまま表紙に持ち込んでもそれだけで絵になり、かつどんなノリの作品かが一目でわかる、という表紙。3コマの漫画と、「と」を葉っぱで区切ってキャラの色を当てたタイトルのバランスも良い。

出版:フロンティアワークス
装丁:コガモデザイン chiaki-k

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兎が二匹兎が二匹 【62位】 兎が二匹 全2巻 / 山うた

死を望む不死身の女398歳、彼女と暮らす青年。永遠の絶望と希望を描いた作品。1巻は前に、2巻は後ろにと、人物にブランコを漕がせたイラスト。背景は乳白色。花弁を散らしてイラストをドラマティックに、そして動きのあるものにしている。全2巻作品として収まりの良い表紙。
出版:新潮社
装丁:SUNPLANT

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NKJK 【63位】 NKJK 1巻 / 吉沢 緑時

難病に侵された親友の自己免疫力を高めるべくお嬢様学校に通う真面目な女子高生が古今東西の「笑い」に挑む、シリアスなコメディ作品。

検査衣の少女と制服少女。横並びの二人に重なるのは、Natural Killer Joshi Kouseiの頭文字をとった英字4文字タイトル。具体性のある情報は少なめで、すっきりまとまった白背景の表紙でありつつ、明確なギャグアイテムである馬のマスクが目立って内容が気になった。中身については、「それどこ」に寄稿したマンガオススメ記事にて紹介中(宣伝)
出版:双葉社
装丁:アルティザン 倉地悠介 []
2巻
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猫のお寺の知恩さん 【64位】 猫のお寺の知恩さん 1巻 / オジロマコト

高校に進学した主人公が、親戚のお寺で同居することになった3つ年上のお姉さんの無防備さにどぎまぎさせられる、お寺と猫と尻漫画。
縁側の傍で転寝する知恩(ちおん)さんと猫たち。細かく描き込まれた作者イラストを堪能できるタイプの表紙であるが、文字と共に添えられた肉球や点線などの付加的な装飾が本の顔としての表紙らしさを地味に底上げしている。装丁は『富士山さんは思春期』からの黒木さん続投で、今作では奥付のオマケ漫画はないものの、作りこまれた次回予告や作品独自の奥付ページは、奥付をいじりやすい前作アクションKCの良さを引き継いでいると言えるかもしれない。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 []

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うちのクラスの女子がヤバいうちのクラスの女子がヤバい 【65位】 うちのクラスの女子がヤバい 1・2巻 / 衿沢世衣子

女子全員が役立たずの超能力を持ったクラスで起こる出来事を描いた、コミカルな青春作品。1巻はウジェーヌ・ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』、2巻はサンドロ・ボッティチェッリ『ヴィーナスの誕生』。クラスで作り上げている感が楽しい、テンションの高い名画パロディ。
出版:講談社
装丁:BALCOLONY.
    竹内はるか [/]


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双亡亭壊すべし双亡亭壊すべし 【66位】 双亡亭壊すべし 1・2巻 / 藤田和日郎

VS不幸を生む無敵の幽霊屋敷「双亡亭」。ホラーアクション作品。
枠+背景タイプで、人物以外を黒+白+主要色で塗り分けている。背景の隙間には屋敷の主人が詠んだ詩が差し込まれており、内容は巻ごとに更新されていく模様。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 []

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ガーリッシュ ナンバー 【67位】 ガーリッシュ ナンバー 1巻 / 堂本 裕貴、 渡航
アイドル声優お仕事ストーリー作品。
左手をはみ出させて自撮りのポーズを決めているかのようなヒロインのイラスト。上着のボーダーと、タイトルロゴの挿し色、全体に散りばめられている模様のカラーをピンク、黄色、水色で揃えて各要素に一体感を出している(袖や裏表紙も含む)。
初期からメディアミックス作品として展開しており、アニメ版のロゴ、小説版の装丁などもBALCOLONY.が担当。関連作品のデザインが同じ方を向いているのが明確なのは良いことだと思う。
出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
装丁:BALCOLONY. [/]

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クロコーチ 【68位】 クロコーチ 15巻 / リチャード・ウー、 コウノコウジ


12巻から表紙がほぼ黒になって、15巻は黒+黄緑色。
悪い笑みを浮かべて、懐から札束をチラつかせる主人公。
ダーティー&ハードボイルドな雰囲気が出ていて、
諭吉を表紙アイテムとして使用した最近の作品の中で
特に印象に残った。

出版:日本文芸社
装丁:ベイブリッジ・スタジオ []

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ショートケーキケーキ 【69位】 ショートケーキケーキ 1巻 / 森下 suu

モブ顔の親友に手を引かれて下宿生活を始めたヒロインと男子達の出会い、そして恋模様を描いた青春作品。

赤ピンクの背景の上に、少し角度を付けた横向きの姿勢で正面に目線を向けた配置が特徴的なヒロインイラスト。イラストの上には細い英字タイトルが被せられる。黒枠にはタイトルと作者名。この黒枠はリボンの端のような形をしており、凹み部分に巻数を配置している。枠周りのデザインが気に入った1冊。

出版:集英社
装丁:川谷デザイン 川谷康久 []

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アビス 【70位】 アビス 6巻 / 長田龍伯


5巻までは背景色が黒か赤で、怪物の輪郭を美しく浮き彫りにしていたデザインが多かったが、6巻は異質で、水色の部屋を舞台にして、死体の詰まった冷蔵庫からクギバットを持った怪物が出てくる様を描いている。グロテスクでホラーな表紙であることには間違いないが、クラシックなオシャレ部屋感も負けていなくて、それを行儀よく収まった怪物が邪魔していないので、一風変わったポップでホラーな表紙として新鮮味を感じた。

出版:講談社
装丁:RedRooster 福永真未 []

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能面女子の花子さん 【71位】 能面女子の花子さん 1巻 / 織田涼

家庭の事情で能面をつけて生活する女子高生・花子さんのマイペースな生き方と、彼女に翻弄される人達のあれこれをコミカルに描いた青春コメディ。

白背景で人物が際立ち、タイトルデザインに可愛げがあるほど、その背中が女子高生らしさをかもし出すほどに、めくれそうなスカートさえも空気と化し、その「能面」に目が釘付けになってしまう。表紙の中で重要なポイントがどこにあるのかが非常に分かりやすい一例。

出版:講談社
装丁:川谷デザイン 川谷康久 []

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それでもめる子 【72位】 それでもめる子 / 縁山

昨年紹介した『める子』シリーズ第2巻。
奥行きのある空間でキャラの位置でキャラごとの重み付けを変える表紙の中でも、一番目立つ手前の主人公がにょきっと横から割り込んでいるので、奥の二人はいるべきところにいる感がある、という解釈はあっているかわからないが、トリッキーな構図の中に人物配置のバランスの良さを感じた表紙。タイトルは、前作と差異となる「それども」部分を吹き出しに入れ、変わった作者名には吹き出しに読みをいれ、タイトルと作者名のアクセントに統一感を持たせているのもポイント。
出版:ワニマガジン社
装丁:アルティザン []

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櫻井超エネルギー 【73位】 櫻井超エネルギー / 櫻井エネルギー

昨年の紹介順と逆になるが、出版社的にも発売日的にも立ち位置的にも「よく一緒に購入されている商品」的にもなんとなく『める子』とセットで紹介しておきたい作品。こちらも素直に「2巻」と入れない第2巻で、タイトルの「大」が「超」にパワーアップした。表紙の仕上がりもタイトルに泣けず劣らずエネルギッシュで、露出度の高い獣耳キャラ(満月を見て変身してしまう短編主人公)にタイトルの強調ポイント「超」を持って目立たせており、最高にテンションが高い。去年と被りそうなので今年は控えめに紹介しているけれども、はっちゃけ度の上がったカバー全体も外して確認して欲しい1冊。
出版:ワニマガジン社
装丁:VOLARE []

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片翼シャトル 【74位】 片翼シャトル 1巻 / 栗田 あぐり

天才×初心者。新たな出会いが失っていた情熱を取り戻させる、、バドミントン作品。

真横視点で、ジャンプの有無で位置をずらした二名。白、赤のラインが入った黒のユニフォームのバランスと歩調を合わせるように文字は黒、一部赤。前傾姿勢のキャラと斜めの文字組みとがかっちり嵌った、熱さ優先タイプが多いスポーツ物の中で珍しさを感じたスタイリッシュな表紙。

出版:小学館
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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中間管理録トネガワ 【75位】 中間管理録トネガワ 3巻 / 萩原天晴、 福本伸行

福本伸行の作品『賭博黙示録カイジ』の登場人物の1人・利根川幸雄を主人公としたスピンオフ作品。
元の作品とそっくりな絵柄のコメディ作品として『北斗の拳 イチゴ味』の表紙と比較すると、あちらはサウザーに世界観的にあり得ない格好や行動をさせて笑いを誘っているのに対し、こちらは颯爽と走らせるだけで面白いのはずるいというか非常にコストパフォーマンスが高いと言えるかもしれない。

出版:講談社
装丁:KAKEGAWA FUJIO

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WHITE NOTE PAD 【76位】 WHITE NOTE PAD 1巻 / ヤマシタトモコ

中年男・自動車工(38)「私たち…」 女子高生(17)「入れ替わってる~!?」入れ替わって1年、女と男の人格逆転ドラマ(重い)。

白い背景には、丸めた紙を伸ばして出来るシワがイラストにもかかる形で全体に広がっている。タイトルは銀の箔押し、巻数マークは赤。手に取ったときに白多めの表紙の上で光を反射するタイトルの存在感が強く、またピンポイントに入った赤の鮮やかさが目を引く。

出版:祥伝社
装丁:GENI A LOIDE 小林満 [/]

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星野、目をつぶって。星野、目をつぶって。 【77位】 星野、目をつぶって。 1・2巻 / 永椎晃平
化粧後:1巻、化粧前:2巻という秘密を持つ人気者と、彼女のメイク係となった美術部員、その二人が紡ぐ"ボーイ・ミーツ・ガール"、と並べると内容を伝えやすい1・2巻。週刊少年マガジンに名和田さん、その1。文字の装飾は控えめで、イラストの色使いも薄い茶、赤系多めで落ち着いているが、白背景と適度に散りばめられた煌く粒のような装飾で明るく爽やかにまとまっている。
出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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てのひらの熱を 【78位】 てのひらの熱を 1巻 / 北野詠一

中学空手道部作品。週刊少年マガジンに名和田さん、その2。

背景は白、タイトルは黒。
イラストを真っ赤に染め上げて、
人物からタイトル通りの「熱」を感じさせる3色構成。
タイトルを人物に被せつつ、突き出した拳だけ上にして
奥行きを作っているのがポイント。

出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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サムデイ・ネバー・カムズ 【79位】 サムデイ・ネバー・カムズ / イトイ 圭

作者が心を病んでしまった日々を独特な目線で描いた、ノンフィクションコミック。
真っ黒な紙に銀の印刷。タイトル、作者名など文字は小さく、広大な宇宙には、脱出ポットに収まった主人公がぽつんと浮かぶ。登場人物はキングジョーにメトロン星人、岩、黒塗りで自身は3頭身と、奇怪な人物描写で鬱々とした日々を綴っており、そういった作品として、寂しさ、孤独、ディスコミュニケーション、闇、もろもろの負を内包した宇宙を表紙に広げている。

出版:宝島社
装丁:セプテンバーカウボーイ 吉岡秀典

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いに怪することなく 獣じつしたひび 【80位】 いに怪することなく 獣じつしたひび 1巻 / 野良しごと

怪獣好きとオトコ好き、相容れないはずがなんとなく近くにいるクラスメイト二人のちょっとした日常を描いた作品。
タイトルは、いに「かい」することなく、「じゅう」じつしたひび、で「かいじゅう」。外から窓越しに教室の中を見る視点で、人物と共に反射した空を収めた構図のイラスト。実在の映画の怪獣をお話に絡める作品であり、少女の空想を見せるように、校舎にはガメラがそこにいるように大きな影を作っている。窓の中だけ細かく描き込み、枠や壁の部分は白で簡略化。要素にメリハリが利いてる。
出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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渡英2年うめだまのイギリス自由帳 【81位】 渡英2年うめだまのイギリス自由帳 / うめだ まりこ
元はゲームのデザイナーをしていた作者がイギリスに留学&就職してカルチャーギャップ、料理、旅行、デザイン等、様々な事を綴ったオールカラーのエッセイ漫画。
舞台の上に主人公(作者)を立たせたイラストになっていて、タイトルは看板、作者名はプレート的に配置。イギリスに関係したアイテムが細かく描き込まれていて賑やか。裏表紙()には、表紙を裏から見た視点のイラストが描かれていて、建物がハリボテだったり、舞台の上の作者は人形で、下から作者が操っている、というネタが仕込まれている。
出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:arcoinc 楠目智宏,永井さやか []
裏表紙
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出会って5秒でバトル 【82位】 出会って5秒でバトル 1巻 / はらわたさいぞう、 みやこかしわ

実験モニターと称し、一人一つの能力を与えられた者たちが殺し合いを強いられる能力バトル漫画。同名web漫画のリメイク。
能力者全員に付けられる手枷を強調すべく、大胆なパースで何かを発動しそうなポーズ少年の手を大きく描き、そこにタイトルの「5秒」を重ねる形で配置している。背景にシルバーで数式が敷き詰められており、こちらは表紙のキャラの特性に合わせて変えていく模様。

出版:小学館
装丁:アーテン 井川直子 []

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はじめましてさようなら 【83位】 はじめましてさようなら 1巻 / 六多いくみ
「亡くなった人と“はじめまして”って 出会ってすぐに“さようなら”。限られた時間の中で最高の“さようなら”をしてあげることがお葬儀の仕事なんだ。」片思いの相手の実家である葬儀屋に押しかけて働きだしたヒロインを通して描かれる、葬儀のドラマ。
灰色の背景に人物のバストアップ。白い枠にはピンクの花弁。人物は灰色の背景によって厳かな雰囲気を与えられている一方で、枠が太いため、枠の柄(花弁)が大きできて、色使い的にも枠が華やかという異質な構成が目を引く表紙。巻数マークを加えることでちょうど12文字、3文字改行で“はじめまして”と“さようなら”が自然に区切られるタイトルの文字配置も気持ちが良い。
出版:講談社
装丁:コードデザインスタジオ [/]

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今日からゾンビ! 【84位】 今日からゾンビ! 1巻 / 石川優吾,荒木宰

ゾンビに噛まれてゾンビ化してしまった女子高生アイドルを主人公に、ゾンビ村での楽しい生活を描いた作品。
長編化しやすいシリアスゾンビ物が話にオチを付けるより早くジャンル化した感のあるゾンビの日常/コメディ系作品の1つということで、怖さはないけれども不気味要素を取り入れた表紙で、水着姿の主人公の眉間には一筋の血。ホラー装飾の定番、「手跡」を水着、タイトルエリアと同じ水色でカジュアルに消費しているのがポイント。

出版:小学館
装丁:SALIDAS []

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僕と君の大切な話 【85位】 僕と君の大切な話 1巻 / ろびこ

天然ストーカー体質の女子と理屈系眼鏡男子の会話劇ラブコメ。

駅のプラットホームに並ぶ二人。地面、柱、椅子、屋根など背景に描かれているものが水平、垂直と整っていて、とてもすっきりした印象を与える。タイトルの文字は大きく全体に広がりながら隙間が多く軽めの印象を与えイラストの邪魔をせず、かつ整った背景の上で見やすく浮き出ている。白背景タイプの『となりの怪物くん』から一転、今回は背景タイプということで、前作とは違った通巻デザインの展開に期待している。
出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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誓約のフロントライン誓約のフロントライン 【86位】 誓約のフロントライン 1・2巻 / 鈴木鈴(GoRA)、 佐藤ミト
人類抹殺ロボットの制御装置を手にしてしまった少年が、人類の存亡をかけた戦いに挑むロボットアクション。上端には黒いブロックを複数配置して白抜きでタイトルや作者名、スタッフ名を記述。下部には、二つ目のタイトルを、1文字以上はみ出る大きさで配置。最近、特大第2タイトル配置をちょくちょく見かける。
出版:講談社
装丁:草野剛デザイン事務所 [/]

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少女不十分 【87位】 少女不十分 2巻 / 西尾維新、 はっとりみつる

大学生時代に小学4年生の少女に拉致監禁された小説家が語る、その奇妙な1週間の監禁生活の行方。西尾維新による同名小説のコミカライズ作品。

過去の本企画を見返してみると、海、プール、水槽等など毎回大体1作品以上で誰かが"水にどぼーん"をしていて、そして今回もやはり選んでしまう。そんな水中系の中でも人物が完全に逆さで沈み込んでいくような暗さと冷たさが特徴的。

出版:講談社
装丁:G×complex

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DEAD TubeDEAD Tube 【88位】 DEAD Tube 5・6巻 / 北河トウタ、 山口ミコト

デスゲーム×YouTube作品。4・5巻は「孤島編」ということで、表紙に登場しているのは、ロックリバー島にお住まいの殺人鬼、クレイジーラスカルさん。ストレートに見せる4巻、パンツ女と対面させる形で、ドアの向こうでタイトルを挟んでちょい見せさせている5巻。どちらも良い絵面。
出版:秋田書店
装丁:芦田デザイン事務所 []

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ゆせそま。 【89位】 ゆせそま。 1巻 / kashmir

日曜朝にTV放送される番組撮影のために魔法の国に騙されて魔法少女になっていた少女が、再び続編の撮影に巻き込まれていく、メタ魔法少女作品。
ジャンルとして定着した感のある「捻じれた魔法少女もの」の表紙の一つとしてこの作品が選んだのは、「魔法のステッキを折る」という選択。タイトルは中央でイラストに重ねられながら、意図を読ませないひらがなタイトル+半透明着色で一歩引いており、イラストで内容を想像させる表紙になっている。ちなみにタイトルの由来は、あとがきより「4人組の別の話用だったんですが、改変してくうちにあまり関係なくなってしまいました」とのこと。
出版:KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
装丁:里見英樹

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ローカルワンダーランドローカルワンダーランド 【90位】 ローカルワンダーランド 1・2巻 / 福島 聡
『少年少女』、『6番目の世界』、『鵺の砦』に続く、福島聡の読切シリーズ最新作。
横方向にエリアを6分割し、各々のエピソードを詰め込んでいる。見せている部分は一部ながら、横長なイラストには空間的な広がりを感じられて、たくさんの世界が入っていることが伝わる短編集デザイン。
出版:KADOKAWA / エンターブレイン
装丁:井上則人デザイン事務所 井上則人 [/]

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恋するシロクマ恋するシロクマ 【91位】 恋するシロクマ 1・2巻 / ころも
シロクマ(♂)「きみがオスでも、僕は構わない」アザラシ(♂)「僕は構う」 。恋をしたアザラシの一方通行なアプローチを面白おかしく描いた北極ラブコメディ。
キャラの純白さを際立たせる単色背景+白の水玉+ハートでピンクのアクセント。怯えるアザラシの"ブルブル"が吹き出し型の巻数マークに伝わっているユニークな表紙。
出版:KADOKAWA / メディアファクトリー
装丁:arcoinc []

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おにでか!おにでか! 【92位】 おにでか! 1・2巻 / 矢寺圭太
異星人との接触により、ときめきで巨大化してしまうことになった女子高生が悪と戦う、巨大アクション。1巻が女子高生と渋谷、2巻が秋葉原とメイド。実在の場所をベースにしたディテールの細かい風景にキャラを置いてサイズ感を明らかに。さらに上端のタイトルにキャラの頭を被せて巨大感を強調している。
出版:小学館クリエイティブ
装丁:BALCOLONY.
    荒木恵里加 [/]


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はるかリフレイン 【93位】 はるかリフレイン / 伊藤 伸平

進研ゼミ(ベネッセ)『高一Challenge』連載、1998年に白泉社のJETSCOMICSで発売、そして復刊ドットコムにて19年越しに復刊。同じ時間を繰り返すループ系作品。
描き下ろしイラスト、白背景、切断されたように切れ込みが入って所々がずれたタイトル、所々にぼかしを使って奥行きを強調したアイテム散りばめなど今風のデザインになっているが、固定電話や旧型の携帯などが目立ってどこか時代を感じさせる。当たり前だが、本が黄ばんでいないことに感動した。

出版:復刊ドットコム
装丁:柴海美里

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家族が片付けられない 【94位】 家族が片付けられない / 井上能理子

ゴミ屋敷と化した実家を目の当たりにした作者が行った片付けをきっかけに、片付けという行為自体を見つめなおしていくエッセイ作品。

ファンタジーな間取りを用いて、リアルに描写すると悲惨なことになりかねない「汚部屋」をオシャレ、とまでいかなくともディフォルメを効かせてコミカルに分かりやすく表現した表紙。3行に分かれたタイトルの中、一番目立つ位置にある「片」の文字が傾き、「できない感」がよく現れている。

出版:イースト・プレス
装丁:小沼宏之

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宇宙戦艦ティラミス 【95位】 宇宙戦艦ティラミス 1巻 / 宮川 サトシ、 伊藤 亰

宇宙規模で繰り広げられる抗争の中で、個々の生活スタイルの違いや細かい拘りによって生じる困難を描いたコメディ作品。
コックピットを舞台として、地球やタイトルを背負うように主人公が配置された構図。その無重力空間には串カツや携帯ゲーム機、ボックスティッシュなど生活感を漂わせる小物が散乱する。サムネイルレベルではとてもシリアスな表紙。
ちなみに原作者は『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』作者、あるいは情熱大陸へ執拗な情熱を傾けている漫画家、宮川サトシ先生。
出版:新潮社
装丁:crazy force []

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告白びより 【96位】 告白びより / 中村ひなた

想いが届く前のキラキラな恋模様4編を収めた短編集。

イラストは白シャツに水色のストライプが入った制服リボンを着けた少女のバストアップ。タイトルはピンク色で、大きめながらほっそりしていて重さを感じさせず適度に存在感を主張。作者名は黒で下部に横書きで配置。さらに白でさりげなく手描きの星座が散りばめられている。絵柄の綺麗さを引き立たせる素直なデザインの表紙。

出版:講談社
装丁:大澤貞子

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奈落の羊奈落の羊 【97位】 奈落の羊 1・2巻 / きづきあきら、 サトウナンキ
【生配信】が趣味の自堕落な生活を送る大学生がネカフェ住まいの援交女性と出会い、ゲスな企画を企てたことから始まるドラマを描いた作品。イラスト、散りばめられたタイトル合わせて走査線(横縞)が入りブレのようなイラスト加工、ニコニコ動画風のコメント装飾と合わせて「配信」をデザインした表紙。今までで~♪一番~♪ハレンチハレンチ~♪
出版:双葉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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本日の四ノ宮家 【98位】 本日の四ノ宮家 / 山田 果苗

一つ屋根5人兄弟の下に突然現れた若いお母さんが、みんなに家族として受け入れられるために奮闘するホームドラマ作品。
主人公となる若いお母さんを中心に、玄関の前に家族が集合しているイラスト。イラストの周囲は、黄緑の水玉パターンが敷かれた枠で囲まれている。作者名の文字を囲む四角やタイトルには。黄色とピンクを互い違いに使用。全体的に淡い色使いでまとまてるが、上部の作者名、レーベル、英字タイトル周辺が整っていて、枠がない状態をイメージしてみると、これがイラストを引き立てており、ほどよく目を引く表紙に仕上げていると思えた。
出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:林健一

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上野さんは不器用 【99位】 上野さんは不器用 / tugeneko

ドS発明少女が意中の男子に毎回辱めを受けて撃沈する片思いサイエンスコメディ。「このマン」で推したが特に賛同者が見当たらなかった『彼とカレット』から3年、今回はちょっと来てるんちゃう?という感触と淡い期待と共に1票を投じたものの結果は…ということで別途紹介したくなった。しかし、あらすじ等を交えて真面目に勧める場合、「尿を飲ませようとする」「脱いだタイツの匂いを嗅がせる」等の情報を入れるのを避けられず、手に取ってもらう以前に白い目で見られることになりかねない。なので、「キャラのオレンジの髪色と制服がビビッドな黄色背景の上で映え、ちょっとオシャレで手に取りやすそうな表紙」として推す。
出版:白泉社
装丁:30A 柴田昌房 []

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おしりマカロン 【100位】 おしりマカロン 1巻 / 青空明


お尻4割、シスコン3割、百合2割、つのだじろう1割の4コマ漫画作品。

主人公のお尻への執着具合が分かるコマを数点配置し、その上に実写で赤ちゃんのお尻がばっちり写った下半身を載せている。お尻には、羽と英字タイトルを入れたお尻マークを付けて強調。いやらしさを出さずにインパクだけを出す赤ちゃんの尻実写という采配が光った。

出版:講談社
装丁:アーテン 山上陽一 []

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ここまでがランキング発表。

最後に、カバー下や特殊加工など別なところに注目した作品を別枠で24作品紹介していきます。


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【カバー下賞】 動物たち / panpanya

動物たち

日記付き短編集。表紙イラストは「空き物件を占領する狸の群れ」(袖に説明文あり)。『蟹に誘われて』、『枕魚』から続く『楽園』レーベルの作者自装の作品。3冊目ということでシリーズ化もあり、カバー下の凝った加工ももはやお馴染み。今回のカバー下には、丸いくぼみのついた地面が広がっている(真空コンクリート舗装というらしい)。地面のくぼみ以外のエリアはざらつき、絵的にくぼんで見えるところには実際にほんの少しくぼみがリアルな質感を生んでいる。

動物たち2

裏側。『枕魚』で排水口があったあたりに、今回はマンホールが配置されている。

出版:白泉社
装丁:panpanya []

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【カバー下大賞】 微熱空間 1巻 / 蒼樹うめ

微熱空間

再婚夫婦の連れ子で、突然姉弟になってしまった同い年3日違いの二人によるほのぼのラブコメ作品。
表紙は、キャラ+枠+タイトル枠で構成され、キャラ部分とタイトル部分に光沢があるすっきりした仕上がり。カバー下大賞ということで、ここからカバーを外してしまう前に、今回はまず表紙をめくる必要がある。

微熱空間2-1

表紙をめくるとチェックの模様が入った見返し、そして風呂上りのヒロインが描かれたカラーの中表紙、ここでカバーを外すと…。

微熱空間2-2

カバー下には風呂あがりの姿を見られて恥ずかしがるヒロイン。中表紙の続き絵になっていて、タイトルロゴなど文字も寸分たがわぬ位置に配置している。カバーを外されることを見越して「見るな!」的なイラストを仕込んでおく、おまけの王道であるが、これの何が特徴かというと、中表紙の次に目に入ることを想定しているところ。カバー下におまけイラストを仕込むとき、表紙のイラストと関連付けられる場合が多いが、今回関連付けられているのは中表紙。多分こちらのほうが例は少ないと思われるが、これが思いのほか自然。というのも、おまけ等を期待して単行本のカバーを外すとき、まず表紙をある程度めくらなくてはならないので、次のページ(今回の場合は中表紙)が目に入り、めくったカバーから離れたカバー下の本体表紙が次のページに重なる形で目に入る。なので、今回のような仕掛けをいれておくと、カバーを外したときに突然2ページのパラパラ真漫画がはじまり、これまでにない「見るな!感」を味わう結果となった。巻頭にもカバー下にも当然のようにカラーを使える楽園コミックスなのでやりやすいというのはあるが、目からウロコの構成だった。

微熱空間裏

裏表紙と、そのカバー下。こちらは素直な絵柄変化形。

出版:白泉社
装丁:simazima 平谷美佐子

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【カバー裏賞】 ハイスコアガール 6巻 / 押切蓮介

ハイスコアガール

5巻の発売が2013年12月。そして、紆余曲折を経て復活を果たした本作。既刊5冊分にはタイトルに『CONTINUE』が付けられ、6巻と共に新たなデザインフォーマットで刊行された。
復活にあたり、かなり多くの修正が入っていることもあり、このリニューアルは妥当であるし、何より6巻分の描き下ろしが一気に楽しめる。…なのだけれども、前の表紙がなくなってしまうのは寂しいな、とそんな心の隙間を埋めてくれるのがカバー裏。

ハイスコア6

表紙とは別の描き下ろしイラストと共に、旧版のフォーマットでデザインされた別バージョンのカバーが裏面に印刷されている。新装版のカバー下、本体表紙に旧版の表紙を収録している作品もあるが、今回の場合は単純にカバーを2パターン収録していることになる。踏んだり蹴ったりの押切先生にさらにお手数をおかけしてしまっている気もするが、「旧版も一緒に連れて行く」という気持ちは勝手に受け取った。


出版:スクウェア・エニックス
装丁:メチクロ[SF/MHz] []

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【表面加工賞】 包丁さんのうわさ 2巻
                / ささかまたろう、 神波 裕太


包丁さんのうわさ

「たぶんおそらくきっと」で公開されているフリーホラーゲームのコミカライズ作品。
真っ赤な背景と、包丁を持った少女。少女には血がべったりとついているが、この血の部分にクリアPPが使われている。同じタイプのアイディアで涙部分をPPにしたものは何度か紹介しており、美しいアクセントを生むことを確認しているが、これが血になると、引くような生々しさが生まれる。

包丁さんPP

こちらはPP部分に光を反射させたアップ画像。このタイプの加工で、クリアPP以外の部分はマットPP(ツヤのないフィルム)になっていることが多いが、こちらの場合はクリアPP以外の部分にPP加工が施されていないため、加工された部分がより鮮明に浮き出る。もちろん1巻にも同様の加工が施されているが、2巻ではさらに先に挙げた王道の「涙+クリアPP」を盛り込んでパワーアップさせている。サクっとやってしまったあの時の、指先のするどい痛みを思い出させるような装丁。


出版:KADOKAWA / エンターブレイン
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【合体賞】 無限島 全2巻 / 中川 悠京

無限島
砂漠化した本土から自然豊かな島、"無限島"に引っ越してきた少女の不思議な体験を描いた作品。
少女、海辺、意味深なからくり人形。A5のワイド版2冊で気合いの入った2冊を繋げると強いな、という表紙。中華系の印鑑の書体にありそうな不思議な曲線の美しいロゴは、最後の文字の一部をあえてはみ出すように配置。「限」の文字の右下に伸びた部分には英字タイトルが入っていて、この無国籍感も面白い。

無限島
裏はコードデザインスタジオさん色全開。また、背表紙ではロゴが合体する。
こちらの作品は講談社Webコミックサイト「モアイ」発で出版は一迅社。一迅社はWEB漫画を引っ張ってきて面白い装丁で刊行する、ということを何度もやっていてお世話になっているが、此度の講談社の完全子会社化によってその辺の活動に影響が出るか出ないのか、気になるところではある。

出版:一迅社
装丁:コードデザインスタジオ [/]

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【帯賞】 平成生まれ3 / ハトポポコ

平成生まれ3
帯なし
シリーズ実質の5冊目であり、最終巻。
表紙の完全横使いに合わせた縦型帯。右端の2キャラを消し、タイトルの3の右、本来作者名が来るところから文章を継ぎ足すことで、タイトルを吸収した予告的・あおり的な文章を構成している。やっていることはシンプルながら遊び心が感じられてとても楽しい帯。


出版:芳文社
装丁:里見英樹

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【帯大賞】 まがりひろあきのじゆうちょう / まがりひろあき

まがりひろあきのじゆうちょう帯なし
短編集。背表紙のレーベルマーク、裏表紙のISBNコード、この二つの必須要素を除き、カバーの上から4/5程度のエリアが真っ白。帯は普通のサイズなので、真ん中らへんに何かを隠している様子はない。帯は表側がタイトル、小さなキャライラスト、キャッチコピーで、裏側が作者の別作品紹介。帯ありの状態で、外した時も同じようにシンプルな構成のものを想像させるが、帯を外してみると実際には表から裏にキャラが列をなした真の姿が現れ、「シンプル」が特徴ではなく、「偏り」が特徴になっているデザインということがわかる。
ページの上の方で紹介して帯なしをデフォルトとして構成の面白さを強調するか、このように特別枠で帯ありをデフォルトにして紹介するか非常に迷ったが、どちらにせよ、作品の好き勝手感が出た大胆なアイディアがお気に入りの1冊。

出版:講談社
装丁:VOLARE 関善之 []

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【優良誤認賞】 ポプテピピック 1巻 / 大川 ぶくぶ

ポプテピピック帯なし
以前、竹書房さんの雑誌に装丁記事を寄稿したとき、記事を読んだ担当さんから「是非この作品も見て欲しい」とお送りいただいたのが大川ぶくぶ先生の『ミッソン インパッセボーゥ』で、里見さんの工数をこんなところに使いやがってすばらしい作品を知ることが出来た、という出来事があり、今回竹書房さんと大川先生に感謝の意をこめてここに紹介する。
この作品で注目してほしいのは帯。表紙の下で「とりっびきのクソ4コマ!」「大人気打ち切りコミック!」とアグレッシブなコピーが目立つが、問題は裏表紙。

ポプテピピック帯

「重要!数多くの名誉ある賞!」という見出しで「このマンガがすごい!2016」や「マンガ大賞2016」など各種の賞を羅列しており、見た人にこの作品は多くの賞を受賞したすばらしい作品という印象を植え付けることができる。しかし、実際この作品は帯で挙げた賞と一切の関係はなく、だからこそ帯のどこにも「ランクイン」「受賞」等の情報はなく、実際には何にも言っていない文章によって巧妙に作品を大きく見せていると言える。

これは明らかに優良誤認案件であり、これがスマホゲーだったら50個程度の詫び石は必死、リアルマネー換算で3000円。つまり、この帯には3000円の価値があると結論付けることができる。

ポプテピピック中扉

カラーページには竹書房ビルと、どんより曇り空。

出版:竹書房
装丁:小石川ふに

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【変り種装丁賞】 よっちの本 1巻 / 夕タン

よっちの本カバー下
年齢不詳のちんちくりんな社会人「よっち」と猫のニャーニャーの楽しい毎日を描いた4コマ作品。
青年コミックと比較して、幅は同じだが背の低い特殊なサイズの本体。本体表紙は小麦色で、巻かれているのは本体よりさらに背が低いため帯にも見えるがれっきとしたカバー。本体表紙と表紙には色の違う同じものが印刷されていて、質感が違う部分がはみ出て色を増やし、面白いアクセントを生んでいる。イラストは本編抜粋型で、2コマ目の一部、3コマ目(台詞を削りキャラ部分を拡大)、4コマ目の一部、と断片的に切り抜いて作品の雰囲気を抽出している。

よっち2

裏表紙。カバーにはバーコード、本編4コマ、内容紹介文など。本体には猫と表とは構成が異なる。

出版:トマソン社
装丁:コニコ カヤヒロヤ []

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【パロディ賞】 Romsen Saga 1~5巻 / ゴツボ☆マサル

Romsen Saga

剣と魔法の世界を舞台にしたファンタジー系コメディ作品。ご覧の通り、と言ったときにページを見てくれている方の層的にどの程度「ご覧の通り」で通用するかは少し気になるが、ご覧の通りの「ロマサガ」パロディ・デザイン。

ロマサガ1

こちらがネタ元のゲームソフトでロマサガシリーズ第1作目、『ロマンシング サ・ガ』。スーパーファミコンソフト。第1巻は、黒枠の構成、タイトルデザインなどをネタ元に近づけているが、パロディ度はまだ控えめ。

Romsen Saga 2

ロマサガ2

2巻、そして元ネタ2作目。元ネタの画像はアプリ版公式サイトのTOPページイラスト。(模様の散りばめ方からして、おそらくスーパーファミコンのソフトパッケージでなく、ソフトパッケージをベースにしたアプリ版公式サイトのTOPページイラストが元ネタ)
横に長い元ネタに合わせて表紙も横使いにして、一気に再現度を上げてきた。

4091893473

4091893473

3巻。元ネタはまだスーパーファミコン。
ゲームを知らなくても、R-1やヨシヒコが好きであれば、「井戸の中からじゃなくて~ 井戸自体が~…俺さ! 」という佐久間一行さんのネタでBGMだけ聴いたことになる方は結構存在すると思われる。

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4巻。元ネタはプレイステーションに移行。

40918934734091893473

そして完結巻。1巻のフォーマットを使った縦型に回帰しつつ、イラストにゲームパッケージあるあるでもある、元ネタの大地に刺さった剣を踏襲している。
表紙のそれっぽさを地味に底上げしていると思えるのがスクエニの「SE」マーク。スクエニの単行本において、「SE」マークは背表紙の下端に配置され、表紙に載せるというルールはないが、本作ではこれをあえてアイテムとして表紙に載せている。細かい話をすると、スクエニがスクウェアだった頃からソフトのパッケージに付いているロゴマークは文字が省略されておらず、「SE」マークがパッケージ使われているわけではないのだが、このゲームには使われていないマークが単行本の表紙のロマサガっぽいデザインに組み込まれることで、大きな「公式っぽさ」が生み出されているのは面白い。いっそのこと、このマークをソフトのパッケージに使用しても、ロゴの面積が小さくなりつつも一目でメーカーがわかって意外に強いのではないかと少し思ったりした。


出版:スクウェア・エニックス
装丁:アラスカ []

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【パロディ賞】 犬マユゲでいこう 犬まゆ~げコミックス / 石塚2祐子

犬マユゲでいこう 犬まゆ~げコミックスカバー全景
4度目の紹介となるゲームあれこれ作品。
前回の写真を使用したキャラ弁風と比べれば、漫画エリアの外に陳列される心配もないぶんやりすぎ度は抑えられた、少女漫画風。カバーは今だいぶ数が少なくなったフォーマット入れ込み風デザイン。全編フルカラーの単行本でありながら、中表紙と目次ページ(書影右)が白黒になっているのがポイント。

純情クレイジーフルーツ

タイトルに「(犬ま)ゆ~げコミックス」と入れているように、今はなき集英社の少女漫画レーベル『ぶ~けコミックス』を元ネタにしている(書影:純情クレイジーフルーツ / 松苗あけみ)。Vジャンプコミックス(←レーベル名)だけれども、犬まゆ~げコミックス(←作品名の一部)。

出版:集英社
装丁:L.S.D. 浅見ダイジュ,末久知佳 []

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【糸守賞】 あかいろ交差点 1巻 / ひのなつ海
       この靴しりませんか? 完全版 / 水谷フーカ


あかいろ交差点この靴しりませんか? 完全版

繋がった赤い糸に引っ掻き回されながら距離を縮める二人を描いた『あかいろ交差点』、女の子と女の子の初恋短編集『この靴しりませんか?完全版』。どちらも名和田さんデザインの作品で、二人を糸でつなげる、というアイディアで共通しており、どちらを紹介するか悩んでいたところで、アニメ映画『君の名は。』の空前絶後の大ヒットを眺めていて思いついた。糸と言うか、紐がキーアイテムとして出てくる『君の名は。』にかこつけて、2作品とも紹介してしまえばいいじゃないか、便乗だ便乗、そんな「糸守賞」。

あかいろ交差点

『あかいろ交差点』、こちらは表紙、裏表紙に描かれた2人を赤い糸が繋いでおり、赤い糸の部分は箔押し。

この靴しりませんか?

『この靴しりませんか?完全版』は、赤に限らない糸が、カバー全体に散らばった5組の百合ペアを繋げる。

どちらも、糸が伸びている先を意識させる、カバーの開きがいのあるデザイン。あまり便乗になっていない気がするので、次回は米をほおばっている表紙の作品を集めて、「口の中で太古のお酒を醸造しているで賞」をお送りしたいと思います。

出版 あかいろ交差点:一迅社/この靴しりませんか? 完全版 :白泉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【限定カバー賞】 こちら葛飾区亀有公園前派出所 200巻 / 秋本治

こちら葛飾区亀有公園前派出所

 2016年9月17日(土)、週刊少年ジャンプ42号で最終巻の同時発売と共に40年の超長期連載に幕を閉じた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、通称『こち亀』。こちらに紹介しているのは、その最終巻の発売を記念して開催された『こち亀展』配布の限定カバーとなる。
200巻達成と連載完結を祝う紅白幕を背にして並んだ麗子、部長、両津、中川の4名。紅白幕の白エリアには、金色の印刷で連載初期の4人のイラストを配置。絵柄の変化に40年の歴史を感じさせる構成になっている。タイトルデザインは100巻以前に使われていたフォーマットを使用。入手方法が限定されていたことが非常にもったいない、『こち亀』にしかできない最終巻カバーに仕上がっている。

出版:集英社
装丁:-

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【限定版賞】 甘々と稲妻 6巻 / 雨隠 ギド

甘々と稲妻

小学校のお祝いムード漂う7巻。こんなタイミングで限定版の方だけ全員集合系のイラストを使われたら、買わざるを得ないじゃないか、ずるい!と思いつつ結局買ってしまったが、実際に購入の決め手となったのは、付属のお弁当箱、の外箱。

甘々と稲妻7箱

外箱の表と裏。当たり前なのかもしれないが、これも「装丁」と言って良いのか、表は表紙のようにイラストと商品名(タイトル)、裏は裏表紙のように商品説明が配置され、作品同様にしっかりとしたデザインを感じさせる。この辺の丁寧さは、予告賞(予告ページの作りこみが素敵な作品)として紹介した1巻に感じられたものと多分繋がっている。

甘々と稲妻7箱2

お弁当箱は作中で少女が使っているものと同じ、つまり子供用サイズということで、外箱込みでサイズを単行本にぴったりと合わせているのがポイント。発売時には、こちらの限定版が書店の平台漫画エリアに普通に陳列されていた。

出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【限定版賞】 3月のライオン 12巻 / 羽海野チカ

3月のライオンコラボ小説全景
西尾維新コラボ小説付きの特装版。『3月のライオン』と<物語>シリーズとのコラボレーションということで、小説のデザインは<物語>シリーズ風であり、講談社BOX風。講談社BOXにおいてイラストに入った"KODANSHA BOOK"の部分は"HAKUSENSHA BOOK"に置き換わっている。

猫物語

こちらは<物語>シリーズの1作、『猫物語 (黒)』。帯の代わりにシールが貼られていて、西尾先生のお約束的な一言が載せられており、これもコラボ小説で再現していることがわかる。

月物語

コラボ小説の中表紙。今回の小説はハードカバー仕様なので、元の小説の真っ赤な本体を再現するように、中扉と最終ページを赤色にしている。裏側のあらすじ等を含めて再現度が高いが、それもそのはず、本家のデザインを手がけているVeiaさんがお仕事をしていた。


出版:白泉社
単行本装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]
小説装丁:Veia [/]


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【新装版賞】 パーマン 全7巻 / 藤子・F・不二雄

パーマン1パーマン2パーマン3パーマン4パーマン5パーマン6パーマン7


2016年中に順次刊行された、てんとう虫コミックス版全7巻。色の付いたコマを背景にした、アメコミを感じさせるような、かつコミカルなデザイン。
『パーマン』の単行本には、現在入手可能なもの、絶版のもの合わせて種類が多い。例えば下は文庫版、そして藤子・F・不二雄大全集版。

文庫版パーマン藤子・F・不二雄大全集パーマン

同じ作品でも、レーベルや版型が違えば読ませたいターゲットも変わってくるわけで、文庫版や大全集版は大人が読むことを意識しているのか、落ち着いていて、教科書的、資料的な雰囲気すら感じさせる。そういう見方で行くと、今回はてんとう虫コミックスのリニューアルということで、素直に今現在の少年コミックとして若返ったように思えた。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 田中陽介 []

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【出版社横断賞】 まどいのよそじ,これでおわりです。 / 小坂俊史

まどいのよそじ,これでおわりです。

様々な40歳が抱える悩み、夢、現実をコミカルに描く『まどいのよそじ』、「おわり」をテーマに描き出される『これでおわりです。』。どちらも非4コマのオムニバスショート。
1名を除く人物と背景が2色で描かれる構成と、茶色の縦書きタイトル。同じ作者・同時発売の2作品の装丁を同じデザイナーの手で揃えているというのがこちら。今回めずらしいのが、これが小学館、竹書房と異なる出版社から出された2作品であるという点。
作者のメモリアルシリーズとして異なった出版社で同デザインの物を刊行したり、今だと『クロエの流儀』今井大輔先生が異なる出版社から同じ作品を異なる視点で描く『古都こと』が2出版社合体表紙になったりと、そのようなコラボは存在するが、今回はもっと気楽なコラボと言うべきか、ちょっと面白いことができる選択肢が増えるというのはよい事だと思う。帯レベルでの出版社横断、横断あとがき漫画などもあり、「○○先生の漫画が読めるのはジャンプだけ!」のイメージがある週刊少年ジャンプですら他紙の大御所が掛け持ち連載する時代になっているので、機会とメリットと遊び心さえあればこういったものはどんどん増えていくか、もしかするとすでに沢山あるのかもしれない。

これで&まよい裏

ついでの裏表紙比較。バーコードの右の書籍情報エリアは、左(竹書房)の方が好み。

出版:小学館/竹書房
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【完結賞】 暗殺教室 全21巻 / 松井 優征

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ニコちゃんマークをイメージさせる、ジャンプ作品の中で異質な存在感を放っていたミニマルなデザインの1巻を紹介したのが本企画の2012年版。このデザインフォーマットでネタはもつのか疑問に思っていたが、2巻でいきなり2色構成を出してまずアレンジの可能性が見えた。さらに8巻で作中のエピソードを踏まえた特殊形態を採用、アニメ化と実写映画化が明らかになった10巻にに特別感のあるホログラムを採用するなど、ある程度必然性のある状態で変化球アイディアが登場して段階的に出しても受け入れられるアレンジの範囲が広がっていった。『絶望先生』単行本の色あわせ地獄を潜り抜けたhiveさんの腕か、松井先生の発想の賜物か、作品の大団円と共に奇妙なフォーマットの単行本デザインも見納め。おつかれさまでした。

出版:集英社
装丁:hive []

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【最終巻賞】 日常 10巻 / あらゐ けいいち

日常日常


10巻ぴったりで完結。最後の表紙は1巻と同じ構図。ラストに1巻と同じ構図を持ってくる場合には登場人物やアイテムがそのままのイコールタイプ、増えた仲間を追加するプラスタイプが多いが、この作品の場合はマイナス。1巻の表紙の中からシュールギャグ成分である鹿だけを消して普通の授業中の風景にする…なるほど、とても最終巻らしくなってしまった。

出版:KADOKAWA / 角川書店
装丁:里見英樹

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【コミカライズ賞】 旧約Marchen 1巻
              / ソガシイナ、 Sound Horizon


旧約Marchen

音楽グループSound Horizon(紅白で『紅蓮の弓矢』を歌っていたRevo氏主催)のCD『Marchen』のコミカライズ作品。箔押しのハードカバー上製本が箱に入った豪華な装丁は、原曲CDパッケージを再現したものになっている。

旧約2

こちらは原曲CDの限定版。漫画本体と限定版のハードカバー歌詞カードを並べると、サイズと綴じ方向に違いはあるものの、ぱっとみ見分けが付かないレベルで同じ。ちなみに外装のイラストは、通常版CDのジャケットがベース。

出だし

歌詞カードの導入部には、

此の物語は虚構である。
然し、
其の総てが虚偽であるとは限らない。


という一節。
この導入部も、単行本で以下のように黒い見返しと合わせてトレースしている。

旧約出だし

本の中身は、全ページフルカラー。パッケージの再現度の高さによって、原曲と地続きで繋がっているように感じられる、妥協の無いファンアイテムと呼べる1冊。

出版:講談社
ロゴデザイン:葛西恵 []
装丁:G×complex []

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【イヌカレー空間賞】 ポメロメコ / 劇団イヌカレー

ポメロメコ

『魔法少女まどか☆マギカ』で魔女が潜む空間を手がけたことでお馴染み、一度聴いたら忘れられない劇団イヌカレー先生のフルカラー漫画作品。

三つ編みで繋がった双子の少女ポメロとロメコが床下に存在する王国を冒険するお話が描かれており、本体はハードカバーで、小口は赤。書影右は展示会などで限定的に付属していた外箱で、真ん中に開いた窓から双子が顔を覗かせる仕様。

ポメロメコ2

本体には、紐の長さが異なる双子の栞つき。「フルカラー」、「特殊装丁」と何を推すか迷ったが、本全体が濃縮されたイヌカレー空間そのものだったので、そのまま「イヌカレー空間賞」とした。異質で独創的な1冊であることには間違いない。

出版:ワニマガジン社
装丁:ステュディオ・パラボリカ ミルキィ・イソベ []

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【アンソロジー賞】 きのこ漫画名作選 / 飯沢耕太郎(編者)

きのこ漫画名作選

キノコ文学研究家としても知られる写真評論家・飯沢耕太郎氏が編者として送る、古今東西の「きのこ漫画」を収録した名作選。『きのこ文学大全』に続く同編者の豪華装丁本。まず、「彫刻版やエンボス( 浮き出し )版を一切使用せず、ごく一般的な箔押し版のみで表現している」という『くしゃモコ箔押し』によって、文字もイラストもパターン背景も1枚の箔押しで構成されたその表紙に圧倒される。

きのこ漫画名作選2

カバー下裏側と裏表紙。

きのこ漫画名作選3

表紙をめくると見返し・遊び紙と、もこもこしたぺージが現れた後、黄色地にオレンジ文字というアグレッシブな色彩で編者のきのこ愛に溢れた前書きが始まる。

きのこ漫画名作選4

つげ義春から始まり、松本零士、萩尾望都など大御所の短編はもちろんのこと、林田球『ドロヘドロ』(長期連載作品)内できのこが登場する1話、青井秋 「爪先に光路図 前篇」(BL作品)など幅広くフォローし、計18人の作品を収録した、本体の厚みは実測3.3cm(白川まり奈の長編『侵略円盤キノコンガ』が丸々収録されていて単行本1冊分稼いでいる)。作品毎に紙色、印刷色、はたまた紙質までも変えている。

きのこ漫画名作選5

後書きの後に目次、作家紹介が来て、カバーの袖に被さる見返しの部分に奥付が来る。この記事の冒頭で「すごい!」という言葉の使い方には予防線を張っているけれども、この本は確実に「すごい装丁」と言い切ってしまえる。

出版:Pヴァイン
装丁:セプテンバーカウボーイ 吉岡秀典

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【良いコミック賞】 銃座のウルナ 1巻 / 伊図透

銃座のウルナ

辺境の豪雪地帯を舞台に、女兵士達と異形の蛮族との戦いを描いた架空戦記作品。

降雪の中、防寒具に身を包んだ女狙撃手横顔を捉えたイラスト。タイトルは上下の黒いラインに分割して配置。さらに下の黒いラインには作者名と作品のコピーが添えられている。本がシュリンクされた状態で上下のラインが若干浮いていたので、帯の2枚使いをしていると思っていたが、手にしてみると帯と思っていた部分とカバーがくっついていた。

ウルナ開いたカバー全景

カバーを外すとその構造は一目瞭然。、カバーの表面にはイラスト、裏面には黒い下地に文字が印刷されており、カバーを三つ折にして上下に帯のようなラインを作っていたというお話。エッセイ『歌舞伎町のミッドナイト・フットボール』(著:菊地成孔)でも使われていたというこちらの仕掛けは、イラストが強い意味を持つ漫画の装丁にも親和性が高いと言うか、カバーがポスターになるという体験にわくわくさせられた。大きなポスターが付いた単行本ということになるが、装丁で面白い体験ができる1冊、ということもできる。
ちなみに勘違いに終わった上下ダブル帯もそれはそれで面白いことができそうと思い、変なことに挑戦できるどこかのレーベルからそのうち登場しないかなと少し期待している。



出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:名和田耕平デザイン事務所 [/]

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【良いコミック大賞】 ハルはめぐりて / 森泉 岳土

ハルはめぐりてカバー全景

好奇心旺盛な中学生の少女ハル。ベトナム、台湾、モンゴル、そして日本と、少女の一人旅と出会いを綴った連作集。
ビニールコーティングの無い白い紙の軽いカバーに、グレーと黄緑の印刷。黄緑色の背景は、訪れた場所のイラストを交えた世界地図になっている。

ハルはめぐりて中表紙

画像右、チケットやレシート、商品のタグなど、海外の戦利品が散りばめられたページを経て、シンプルな水色の中表紙が登場する。

ハルはめぐりて目次

世界地図と絡めた目次、そして持ち物リスト。

ハルはめぐりて中扉1

台湾編とモンゴル編の区切り。章を区切る中扉には黄色の紙を使っている。

ハルはめぐりて中扉2

モンゴル編は薄茶の紙に黒の印刷、上の台湾編は白い紙に青の印刷と、章吾ごとにも紙や印刷を変えている。

ハルはめぐりてカバー下

カバー下。

ハルはめぐりて帯

帯付きカバー。

後書きの後に、無声の風景漫画が数ページを挟んで本が終わるなど、見所はほかにもたくさん。作者のこれまでの作品にも見られた装丁への拘りが、旅情というテーマに遺憾なく発揮され、すべてのページに無駄が無い、旅を濃縮した1冊となった。

出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:セプテンバーカウボーイ 吉岡秀典

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という感じでお送りしました、
良いコミックお気に入り装丁紹介企画『この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2016』。

2017年の特集でまた逢いましょう。


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良いコミックデザイン 【宣伝】 良いコミックデザイン / KT.

当ブログの管理人が著者をつとめる漫画装丁を特集したデザイン本です。

ブログの内容をまとめた本というわけではありませんが(たまに誤解される)、
管理人が紹介する作品を選び、コメントを付けているので、
アウトプットとしては二アリーイコールだったりします。
大きい書店にお立ち寄りの際には、デザイン本が充実している
ところではに1冊ほど置いてあることもございますので、見つけた時には是非お求めください。

出版:パイインターナショナル

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ほしいものリスト


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2017年05月15日 | この装丁がすごい! | コメント 0件 | トラックバック 0件 | TOP

この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2015 【ベスト100+α】

このエントリーをはてなブックマークに追加 カテゴリ:この装丁がすごい!  »2016年03月22日 更新

【2015|201420132012201120102009


「年に一度はがんばるぞい」の精神で良いコミックがお送りするいつもの企画、
『この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2015』の発表です。

良いコミックデザイン辺境ブログのお遊びで「すごい!」「大賞」等と大げさなタイトルを付けていますが、
中身はもちろんゆるいマンガ紹介ですよ…という具合にいつもはここのスペースに
予防線を張ることで前書きにボリューム感を出してるのですが、最近自著を
出しているのでここを宣伝スペースとして活用したいと思います。
管理人の好きな作品をエレガントな書影とさらっとしたコメントで紹介していく、
ニアリーイコール・良いコミックな漫画デザイン本、あるいは漫画装丁グラビア本。
『良いコミックデザイン』 [出版社: パイインターナショナル] 3132円(税込)
うまい棒換算284本分のお値段で絶賛発売中です⇒⇒⇒

それでは紹介数ベスト100+α、どうぞご覧ください。

●対象:2014年12月1日から2015年11月30日に発売された作品
●画像をクリックするとamazonに飛びます。
●画像下にマークが付いている作品は、
 画像の上にポインタを乗せると別画像に切り替わります。
●『良いコミックデザイン』で紹介している作品には()マークを付けています

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【第1位】黒博物館 ゴースト アンド レディ 上下巻 / 藤田和日郎

19世紀英国伝奇アクション『黒博物館 スプリンガルド』()に続く「黒博物館」シリーズ第2弾。フローレンス・ナイチンゲールの生涯に大胆なファンタジーを混ぜ込んで生み出された、幽霊(ゴースト)と淑女(レディのバディストーリー。

博物館 ゴースト アンド レディ 上

上巻。

博物館 ゴースト アンド レディ 下

そして下巻。

『スプリンガルド』から4年と10ヶ月後の刊行によって、「黒博物館」をシリーズものにした本作。その装丁は前作と同じく古びた洋書を模しており、デザインも同じく4年と10ヶ月ぶりに葛西恵さんが担当している。金の箔押しを踏襲して「Black museum」のマークを引き継ぎつつ、飾り枠を凹ませて隙間にイラストを置くという特徴的なレイアウトで今作ならではの個性も出している。さらにタイトルをなぞるように上巻を「ゴースト」、下巻を「レディ」として対応したキャラのイラストを配置すると共に、それぞれに作りこまれた箔押しの「G」と「L」という対のマークをあしらっており、上巻と下巻を美しくまとめ上げている。

出版:講談社
装丁:葛西恵 []

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【第2位】 八百万 [新装版] / みもり,畠中恵 ()

 八百万  [新装版]

駆け出しの神様とお供のお狐が織りなす大江戸捕物帳。江戸×ファンタジー×ミステリー。『しゃばげ』畠中恵による東京創元社『ミステリーズ!』掲載の未単行本化小説コミカライズ、その新装版。

人物、鳥居、狐の面、花など、数々のアイテムが列を成したイラストを右に、タイトルを左に。著者名、振り仮名、レーベルマーク、作品の一節、原作の情報、その他英語表記などを使って大きな三文字タイトルを飾り立てて、タワー状のイラストと負けないタイトルタワーとで美しくバランスを取っている。

使える文字は使えるだけ使う、にコードデザインスタジオ色を見間違えることが困難なくらい前面に出していると同時に、イラストの集合と文字の集合で対を成す、一味違った引き出しを見せてくれた。

出版:ほるぷ出版
装丁:コードデザインスタジオ []

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【第3位】 新装版 BLAME! 1巻 / 弐瓶勉

新装版 BLAME!

アフタヌーンに掲載されていたSF作品の新装版。2度にわたりTVアニメ化もされた『シドニアの騎士』の勢いに乗って出されたかと思いきや、こちらも劇場アニメ化が決定していることもあってか、気合いの入ったB5の大判(ナウシカサイズ)で刊行されている。

人物の肌にはやんわりと色を乗せつつ、色の構成はほぼ白、黒、赤。人物や文字の部分はツヤあり、ベースの白地にはツヤなし。作者名や「新装版」表記、背景装飾として直線的で記号性の高い、いわゆる「東亜重工」フォントを散りばめて、スタイリッシュで硬質な雰囲気を形成している。

三面図のように、裏表紙(画像右上)には後から、通常のコミックスより広く設けられた袖(画像右下)には左からと、表紙の人物イラストの足元のアイテムを含めた別視点バージョンを載せる構成も面白く、大判故の鑑賞性の高さとも見事にマッチ。ディテールの細かいものを前から後から眺めるのはとても楽しい。

出版:講談社
装丁:メチクロ[SF/MHz] []

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【第4位】 ダンジョン飯 1・2巻 / 九井諒子

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食料を現地調達しながら、ダンジョン奥深くに取り残された妹を助け出せ!というRPG×グルメ作品。

『竜の学校は山の上』()⇒NARTI;S、『竜のかわいい七つの子』()⇒コードデザインスタジオ、『ひきだしにテラリウム』()⇒名和田耕平デザイン事務所と、作品毎に担当が違い、どの作品も比較的に事務所のカラーが大きく出ているため、それが作者のカラーと掛け算させる形で、その作品のデザインも個性が強く出ている。そして初の長編作品となる今回。担当になったのは意外や意外、と言うかこの作品で個人的に初遭遇となったデザイナー・須田杏菜さん。検索してみると、小説方面で活躍されている方のようで、これは今後もハルタ作品で登場するフラグですよ(とフラグ回収を確認した後で言っている)。そんなわけで、もちろん装丁の雰囲気はこれまでと違っていて、今回は西欧ファンタジー的な世界観と合わせた洋書風。
飾り枠で覆われたイラストはダンジョンのどこかで、手前に料理道具を装備した1人、そして奥に仲間の構成。作者はリアルやディフォルメのタッチの切り替えが上手いが、この表紙ではメインをリアルに、奥のキャラを違和感を感じさせないレベルでディフォルメで描いてメリハリを付けている。
これまでの作品は全て短編集で、常に内容全部盛りのカバーであったため、本作の1巻時点では若干の物足りなさを感じたが、それもそのはずというか2巻時点で、そろえて楽しくなるカバーだと感じた。とは言っても出てきたものをしっかりカバーに盛り込むスタイルは長編においても健在で、今回は裏表紙、袖を使って登場した魔物を図鑑のようにコレクションし続けている()。メンバーの加入がなければパーティーは後二人、竜のお腹にいる妹もカバーを飾るのかもしれないということで、最低後3巻は続いて欲しい。

出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:須田杏菜

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【第5位】 鬼さん、どちら / 有永イネ

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「先天性頭部突起症」という名前を持って、三千人にひとり「鬼」のいる日常。特別視される「鬼」という存在が浮き彫りにする人間の弱さと強さの物語、5篇を収録。

着衣なし、鬼の少女が髪をたくし上げるポーズのイラスト。瞳には緑色が使われているが、目立つ色はリボンと作者名の赤鬼を連想させる赤のみ。憂いを帯びた表情にはっとさせられる、静かに印象深い表紙。

画像右上のカバー下は一面紅色。画像右下は目次で、各話には「手の鳴る方へ」をアレンジしたタイトルが付けられているが、
この目次の文字組みが特に取り上げてどうというものでもないけれども好きだったりする。

他にも、文字を傾けて行く道の迷いを表したようなタイトルが1話毎に開始ページのコマの隙間に傾く方向を変えながら挿入されていて、本編終了後におわりを記したページで初めて正しい方向を向いているなど、主張をしていないけれども作品に寄り添っているな~というところが見られる細かいところも好きな1冊。

出版:小学館
装丁:chutte

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【第6位】 宝石の国 4巻 / 市川春子 ()

宝石の国 4巻

野原に寝そべって輪を描くアレ。4巻にして既刊中一番の王道とでも言うべき構図が来たが、中心固定のタイトル配置フォーマットとの合性は良く、キャラの上半身が集まって色とりどりの髪が大きく描かれているため、草の緑色も合わさって宝石状のホログラムがいつにも増して煌びやかなものに感じられる。安定の作者自装。

出版:講談社
装丁:市川春子

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【第7位】 欲鬼 1巻 / 色原みたび

欲鬼 1巻

自身の欲望を満たすため、暴虐の限りを尽くす異能の者たち、「欲鬼」。そんな欲鬼たちを「正義欲」が求めるままに裁きの鉄槌を打ち下ろす主人公もまた欲鬼。欲望と欲望がぶつかり合う異能バトルマンガ。

自ら顕現化させた巨大なハンマーを携えた欲望の主人公。背景には交差点をわたる人の群れ。主人公と背景は別のレイヤーで描かれているのか、主人公と背景の隙間に割れた鏡のようなヒビが入れられ、空いた黒い空間に巻数や作者名ローマ字、レーベルのクレジット等が入れられている。目次(画像右上)は黒+紫の構成で表紙の主人公をシルエットとして使用。カバー下(画像右下)は、表紙イラストの人達が欲鬼化しているというおまけ。扉のカラーイラストを含め、紹介した部分には紫色を強調色として盛り込み、全体の統一感を出している。

レーベルは月刊少年マガジンコミックスながら、デザインが少年漫画らしくないというかカラーページを含めてダークな内容に合った細かい調節がなされていて見所が多かった1冊。

出版:講談社
装丁:アフターグロウ []

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【第8位】 三代目薬屋久兵衛 1巻 / ねむようこ

三代目薬屋久兵衛 1巻

漢方薬局「薬屋久兵衛」を継ぐべく修行中の漢方娘と植物好きの超人見知り青年。
漢方薬局を舞台に展開される恋愛物語。

壷を抱えたヒロイン。背景には、イラスト入りで中に入っているものが伺える壷と引き出しが並ぶ。作者イラストは草、花、きのこやヤモリなど漢方薬関連のアイテムが模様で入った枠で囲まれ、タイトルや作者名、巻数などの文字情報も、何らかの枠に入った状態で配置されている。イラスト周りの枠はピンクとゴールドで、ヒロインのそれに近い色をとっており、タイトル枠内もピンク色。また皮膚の色と枠の外の色味も近く、各要素の色使いを合わせることで要素が結びつき、種々のアイテムがイラストと一体感を出して、その色合いでアジアンな雰囲気をかもし出している。

出版:祥伝社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 []

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【第9位】 秋津 2巻 / 室井大資

秋津 2巻


「家族と友と漫画への愛の物語」、というすばらしい内容がわかりやすい、中身抜粋型のマンガ風デザイン。2巻完結で、本企画での紹介はこれで3回目。何故なんだろう。とにかく、「それでもこない漫画大賞1位」的な作品なので、うちとしては隙あらばダイレクトマーケティングを行っていきたい。

そんな室井先生の次の連載は岩明均先生とのタッグで、別冊少年チャンピオン掲載。この企画で紹介しやすい感じだとうれしい。

出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:Pri graphics 川名潤 []

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【第10位】 白暮のクロニクル 6巻 / ゆうきまさみ

白暮のクロニクル 6巻

「悲しき不老不死――オキナガ」が存在する世界。オキナガに起こる怪死事件の謎に新米公務員と見た目18歳中身88歳のオキナガが迫る、日常系×非日常ミステリー作品。

フォーマットが固定で色などが巻で変わっていくとき、色の好みは大きいというか、ちょうど好みにスポッとはまると魅力に気づいて遡って好きになることとかあるよね、という経緯で色と服でスポッとはまりました的な6巻。ちなみに続く7巻もかなり好き。

出版:小学館
装丁:VOLARE 関善之 []

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【第11位】 アイアムアヒーロー 18巻 / 花沢健吾

アイアムアヒーロー 18巻


『アイアムアヒーロー』はどこまで『アイアムアヒーロー』なのか、その限界に挑戦するかのような大胆なデザイン。並んだボンベに印字された数字の中、18の数字だけを濃い白色で目立たせ、巻数が18であることを理解させる、と、こちらはまだわかりやすい。挑戦しすぎなのはタイトルの方で、同じくボンベ1本につきタイトルの文字が1つずつ順番に入っているが、『ア』『ア』『ア』『イ』『イ』『イ』という形で同じ文字を2、3個増やして並べていて、なんとなくレベルでタイトルを構成。加えて『ロー』部分は裏表紙に配置されている。

例えば導入賞(かなり下のほう)の作品のように、面白くレイアウトされたタイトルロゴの一部が欠けているような場合は、読ませるためのタイトルが別に配置されていることが多く、「読みづらいタイトルロゴには読ませるためのタイトルを付ける」的なルールがありそうに思っていたが、少なくともスピリッツレーベルではこれでいけるらしい。本巻の帯には映画化の告知があってタイトルがきちんと出ていたため、帯があれば何の作品かとはっきりわかるが、それを考慮してもイラストの特徴となんとなくのタイトル配置で作品を認識させるというアグレッシブな表紙であることに間違いはない。人気作品ゆえのOKなのか、このようなアイディアはすんなり通せるものなのか気になるところである。

出版:小学館
装丁:井上則人デザイン事務所 井上則人 []

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【第12位】 無尽 1巻 / 岡田屋鉄蔵

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幕末を生きた実在の人物であり、隻腕の剣客として知られる伊庭八郎の生涯を描く本格時代劇。

『極楽長屋』に続き、こちらもコードデザインスタジオさん。例のごとく「少年画報社」「YOUNG KING COMICS」「日本製」等など必須のもの必須でないものを混ぜ込んでバランスを取っているが、見所はタイトルで、和の趣を崩さずも斬新なデザインのタイトルが型押しと共に光沢を持ってその存在感を高めている。

ちなみにイラストは月岡芳年「名誉新談 伊庭八郎」を元に浮世絵風に描かれている。

参考:太田記念美術館ツイート

出版:少年画報社
装丁:コードデザインスタジオ []

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【第13位】 僕らはみんな河合荘 7巻 / 宮原るり ()

僕らはみんな河合荘 7巻

毎回並べているし本でも推したので、言うことを被らないように気を使うと後は可愛いしか残らないというか、そもそも今までも可愛いしか言っていなかったかもしれないが、薄いパープルの色選びと泣き顔がとても可愛い7巻。今までタイトルと合わせて一直線になっていたローマ字表記のタイトルが斜めになって「河」「合」の隙間に収まっているなど、相変わらず調節が臨機応変で細かい。

ヤンキンで川谷さんにデザインしてもらった谷川先生様々というか、現在本作品を筆頭としたポップ系から『リュウマのガゴウ』のようなシリアス系、『うなぎ鬼』のようなホラー系など、ヤンキンは青年誌における安定した川谷さんウォッチポイントとなっていて、さらに上の作品のようにコードデザインスタジオさんも登場。ヤンキンレーベルが結構熱い。

出版:少年画報社
装丁:川谷デザイン []

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【第14位】 かむろば村へ 新装版 上下巻 / いがらしみきお

かむろば村へ

お金を見るだけで失神する金アレルギーになってしまった銀行マンが過疎村に移り住んだことによる騒動を描いた作品。2007年から2008年にかけて刊行された全4巻作品の、映画化に伴って発売された新装版上下巻。

上下巻で、水田の多い過疎村を見下ろす景色を繋げた装丁。タイトルは作者名とともにロゴのように円に収めつつ、上下巻でひとつになる大きなタイトルを用意している。ザリガニ、お金と作品を象徴する2つのアイテムを上下巻別々で降らせているのが印象的。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 []

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【第15位】 いぬやしき 4巻 / 奥浩哉 ()

いぬやしき 4巻

空からの謎の飛来物によって人ならざるモノに変えられてしまった老人と青年。1巻ごとに老人+白、青年+黒の繰り返し、何漫画かをぼかしていたかのようなミステリアスな1・2巻から、人物の機械化した頭の中を開けてSF色を全面に出してきた3・4巻。4巻が特にお気に入り。

出版:講談社
装丁:hive 久持正士,金子歩未 []

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【第16位】 やがて君になる 1巻 / 仲谷鳰

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好きを知らない少女が出会う、一筋縄ではいかない――女の子同士の恋愛。
もちろん百合。

「キマ(略」の一行で済ませるのは確か2年連続でやっているので控えるとして、そりゃあ見逃さないよねという表紙。でも、この多くは語らずとも耳に残る印象的なタイトルとイラストが狙い撃ちしたいところを正しく狙い打ちしていることを考えれば、その一言で済ますのもあながち間違っていない気もする。
カバー全体の構成は、表紙のイラストが裏表紙に続きシチューションを明確にしつつ、背表紙は独立してシルバーで輝いており、棚で目立つ工夫あり。また、背表紙の主人公イラストは表紙や扉イラスト(画像右上)の流用なく、目線を前に向けた笑顔のものを別途用意しているのは何気に気が利いているかもしれない。ちなみに帯がまた秀逸で、これはまた別の機会に紹介したい。

出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
装丁:BALCOLONY. []

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【第17位】 岡崎に捧ぐ 1巻 / 山本さほ

 岡崎に捧ぐ 1巻

結婚する岡崎さんに捧げるために描き始めたことがきっかけとなった、雑に例えるなら「たまちゃん家の闇が深いちびまる子」的な、1990年代思い出振り返り作品。

駅のホーム手を繋いで駆け抜ける小学生時代の山本さんと岡崎さん。イラストは大まかな線画と水彩塗りで、どこか懐かしいにおいと共にやさしくまとまっている。対して、タイトルは白抜きではっきり大きく読みやすく組まれており、枠と共にアナログなイラストにメリハリを与えて、感傷成分ほどほどに丁度良い距離感を持った表紙に仕上げているように思える。カバー下は、ボール紙のような紙に背景の線画(画像右上)。本編は2色刷りで、奥付にも手入れ感あり(画像右下)。

出版:小学館
装丁:Pri graphics 川名潤 []

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【第18位】 赤瀬川原平漫画大全 / 赤瀬川原平

赤瀬川原平漫画大全

前衛美術家、漫画家・イラストレーター、小説家・エッセイスト、写真家といった複数の顔を持つ芸術家赤瀬川原平の一周忌企画で刊行された、幻の漫画作品群「お座敷」、「おざ式」、「日本お伽月報」等を収録した作品集。

カバーは黄色ですぐ見てわかる黒の印刷部分のほかに隠し文字のように白インクで印刷された箇所が多数ある。面白いのが、本に散りばめられた文字指定で、奥付の注意書きを引用すると、

※カバー、巻頭ページ、扉、扉対向ページ、奥付における文字指定は、
 本書収録作品発表当時の入稿原稿に記載されていたものです。


とあるように、カバーをはじめとしてところどころに写植や色の指定が散りばめられているが、ベタ指定でベタになっていない、手書き文字にゴチ(文字の書体をゴシック体にする)の指示があるというように、ことごとく校正前の状態、もしくは間違った状態になっている。指向性の狭すぎるギャグというか、ひょっとしてギャグじゃなくて前衛芸術なのかもしれない、という仕掛けを込めた3000円を超える漫画も世の中にはありますよというお話。

出版:河出書房新社
装丁:佐々木暁 []

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【第19位】 一杯の珈琲から シリーズ小さな喫茶店 / 山川直人

一杯の珈琲から シリーズ小さな喫茶店

甘くホロ苦いコーヒーを巡る物語集。
『シリーズ小さな喫茶店』として発売され、大きな帯をカバーのように使用していた『コーヒーもう一杯』()とは別作品ということでデザインを一新。ミニチュア感のある珈琲屋のある町並みのイラスト。日本語のタイトルを縦に、英語のタイトルを横に、互いに一部分で重なり合いながら全体に広がって雑多な印象を出している。ベースはオレンジ~茶色あたりで、人物は薄茶、日本語のタイトルは白、線画は黒、後は屋根や看板などところどころに大まかな色分け。この感覚は何と言うか、例えばラーメン博物館のようなセットの中の商店街の夜の雰囲気を感じるというか、カバーの色合いがとても気に入った1冊。画像右はカバー下で、こちらは作中に登場するお琴が描いたもの。

出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:セキネシンイチ制作室 []

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【第20位】 塩田先生と雨井ちゃん / なかとかくみこ

塩田先生と雨井ちゃん

女子高生の雨井ちゃんと、担任の塩田先生。内緒のバカップルの微笑ましい毎日を綴った日常ラブコメ作品。

初出はpixivで、もちろん今生まれている作品だが、「レトロな筆致」などと紹介されるようにとにかく絵柄にレトロな個性を持った作品。絵柄で懐かしさを感じさせつつも、構図やタイトルの見栄えは今のもの。また、本の厚みを利用して、背表紙のタイトルを二行にしつつ横書きの英字エリアを入れてアクセントを付けたり、背表紙には正面を向いて生徒を抱きかかえて体格の違いをわかりやすく示した広い背表紙映えする別イラストを使ったり、昔そういうのがなかっただろうというわけではなく、レトロな雰囲気を崩さない範囲で見栄えを整えているという印象。そんな感じで装丁を見た感想は、80年代with川谷デザイン。

出版:イースト・プレス
装丁:川谷デザイン []

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【第21位】 累 7巻 / 松浦だるま ()

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1巻から継続してきた二人の顔アップ構図から一転、本巻では正面を見据える人物一人。本作の表紙の吸引力は、唇づけを意識させる独特の構図にあるという印象があったが、ここで人物一人の表紙が登場して、イラストの地力の高さをこれまで以上に意識できた。また、本巻では口紅を汚すというもう一つの「転」が入りつつ、カバー全体で見れば二人構成は続いており、大きく動く物語と共にデザインがどう進んでいくのか、楽しみにしている。

出版:講談社
装丁:hive 久持正士 []

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【第22位】もっと! がんばれ! 消えるな! ! 色素薄子さん / 水月とーこ

もっと! がんばれ! 消えるな! ! 色素薄子さん

色素も存在感も薄い大学生・色素薄子さんの日常を描いた『がんばれ!消えるな!!色素薄子さん』、その後の物語。

カバーの色使いは全体で白黒。イラストはシルエット状になっていて、シルット部分はUV加工でツルツル、それ以外の部分は粒状の凹凸が広がっていてざらざら。さらにシルエットの周囲を薄い灰色でぼんやりと浮かび上がらせていて、主人公の存在感の薄さを表現している。扉には、本来の着色バージョンがあり、それでも薄い。

目次や奥付は手描きで構成されていて、全体的にほんわか感が出ている(画像右)。

出版:一迅社
装丁:WANNABIES 星野いづみ

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【第23位】 阿部洋一短編集 オニクジョ / 阿部 洋一

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悪い鬼があらわれるところ、鬼を駆除する女子高生オニクジョがあらわる。
ウルトラジャンプに掲載されたオニクジョシリーズ+1短編の単行本。

水路に降り立った吹き矢持ち女子高生と、水路にたむろす鬼たち。イラストはほぼグレースケールながら、提灯と水面に写り揺らめく提灯を黄色く染め、提灯の周りには光で照らされるように薄く黄色を載せている。背表紙のレーベルマークや袖、裏表紙にははシルバーを使っているが、表紙には使用箇所なし。扉ページ(画像右上)もカラーながら、林檎のみ着色。徹底した色の縛りの中に、怪しさと風情を感じられた1冊。

出版:集英社
装丁:POCKET 森田彩美

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【第24位】 まどろみちゃんが行く。 1巻 / namo

まどろみちゃんが行く。

頭にツノの生えた少女・まどろみちゃんのキュートで無邪気な日常を描くショートコミック。

雲、空、山という感じで抽象的に白、水色、白で分割された背景の上で、上部の白エリアには色とりどりのタイトルが入り、その下には主人公が自分をお絵かきするかのようなイラスト。表面はマットPPで、ポップなイラストと柔らかな色合いとマッチしている。扉+目次の1枚(画像右)はには薄茶色の紙を使用。すごろくのように作りこまれた目次が見ていて楽しい。

出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
装丁:SELFISH GENE セキケイコ []
ロゴデザイン:松尾由佳 []


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【第25位】 ベルリンは鐘 1・2巻 / ニャロメロン

ベルリンは鐘

最後にタイトル明らかにする4コマでお馴染みニャロメロンによる、ゆるくてサイケなキャラ達のパルプンテ系無秩序4コマ。ベルの姉と鈴の弟が主人公で、「ベル」「リン」は鐘。

表紙でフキダシを使ってギャグをやることで安っぽくなることは多々あって、そもそもギャグには好き嫌いがあるので、表紙にギャグを持ってくるのはかなりリスキーで見た目の担保がなおさら重要だよな…的なことをぼんやり考えたことがあって、そういうのを上手く処理しながらメタなネタでギャグをぶちこんできたな~という2冊。

出版:秋田書店
装丁:5GAS DESIGN STUDIO []

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【第26位】 へんてこバスと飴玉くるり 1巻 / 笛

へんてこバスと飴玉くるり 1巻

父親を探すため、少女が住まいつき4階建ての奇妙なバスの乗員となって日本各地を旅していく、ファンタジー4コマ作品。

キャラ、背景をまとめて世界を内包するように箱庭のようにまとまったイラスト。タイトルはイラストの鮮やかさに負けじと1字1字色を変えた虹色仕様で、背表紙にあっても目立つ。全面背景タイプの賑やかさを持ちながら白領域も多めで白背景タイプの爽やかさも備えているカバー。

後はデザインの話であると同時に4コマ構成の側面の方が強いかもしれないが、本作品は4コマのタイトル部分も手描き文字やイラストで飾られており、時には1コマ目のイラストがタイトルを付きぬけたり(画像右、または)、タイトル部分にフキダシがはいっていたりと、タイトル部分をマンガの一部として活用しているのも見所となっている。

出版:芳文社
装丁:里見英樹

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【第27位】 プリンセスメゾン 1巻 / 池辺葵

プリンセスメゾン

年収200万ちょっと。独身女性のお一人様理想の家さがしストーリー。

オシャレなインテリアで揃えたひとり暮らしをする女性のこだわりの部屋という感じのイラスト。白丸エリアにタイトルを入れると共に、上部にもオビをつけて英字でタイトルを入れて、表紙をより表紙らしく見せている。表紙のイラストは袖に続き、ボロい台所、冷蔵庫に積み重なった電子レンジ、床置きの炊飯器と、部屋の本当の姿が見えるという仕掛けになっている()。裏表紙と袖には部屋を上から見下ろした視点のイラストが描かれており、袖にちょとんと描かれた部屋を見上げる女性が本作の主人公。ちなみに裏表紙と袖の構成で、デザイナーさんは密かに『ワンパンマン』のカバーを意識している、とか。

出版:小学館
装丁:Pri graphics 川名潤 []

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【第28位】 私に見えない恋心 / 仙石寛子

私に見えない恋心

男の娘、百合、BL、人外にファンタジー。色とりどりな愛の形を綴った優しい読み味の13作オムニバス作品集。

エピソード毎のイラストを、角を丸めたゆるい四角にして不規則に配置。タイトルは少し大きめながら文字が細く軽やかなものをイラストに重ねつつ配置。本全体のデザインとしては、目次、各話タイトル、奥付にも角を取った四角を装飾要素に盛り込んでいる。
このカバーで自分が一番どこに惹かれたかというと、おそらく淡いイラストと文字の繊細な色あわせで、モニター越しに見ただけで印象が違うので、手に取ってもらったときに、「この色合いが好きなんだ」と確認して欲しいところ。

出版:竹書房
装丁:名和田耕平デザイン事務所 []

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【第29位】 きらぼしのはこ / 真昼てく

きらぼしのはこ

作者が同人誌で発表してきた作品に大幅加筆を加えて刊行された4編収録の百合短編集。

表紙イラストは表題作登場の、とある理由でブラをつけていない女性。イラストをはみ出させるほど大きく表紙にいれて、隙間にタイトルになるほしを少しだけ散りばめている。作者が、自分のものとサイズの違うものを表紙イラストで上手く描くためにがんばったという後書き込みで良い表紙。

出版:一迅社
装丁:伊佐ナガル[]

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【第30位】 死者の書 上巻 / 近藤ようこ,折口信夫

死者の書 上巻

古墳の闇から復活した大津皇子の魂と藤原の郎女との交感。古代への憧憬を啓示して近代日本文学に最高の金字塔を樹立した折口信夫「死者の書」の漫画化作品。

銀の背景と黒の枠。擦れが入った印鑑の書体のようなフォントのタイトル。人物の肌も白く、タイトルと合わさって強く死を意識させる装丁。カバーには指紋のような凹凸とともに光沢があり、これは『午前3時の危険地帯』でも使われてたOKミューズパールと思われ、 勝手にファンシーな作品に合う紙だと思い込んでいたが、本作品では荘厳な雰囲気を形成するのに一役買っており、使い方でこれほど効果が変わるものなのかとその認識を改めた。扉と目次(画像右)の黒紙、銀色の印刷も見所。

出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:井上則人デザイン事務所 井上則人 []
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甘々と稲妻(5) (アフタヌーンKC) 【第31位】 甘々と稲妻 5巻 / 雨隠ギド ()

背景はお馴染みのクリーム色。4巻・5巻は人物を大きめにレイアウトしていて、特に5巻は宮崎駿ばりの大粒の涙がクローズアップされていて目を引く(泣き度の高さは13位、20位と比較するとわかりやすい)。大泣きで感情を込めた表紙というカテゴリの中でも、泣く子と一緒にあやす大人を一緒に入れて、やさしく家族愛を感じられるところに作品らしさが出てている。。

次回は6巻を紹介する予定。

出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 []

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暗殺教室 16 (ジャンプコミックス)【第32位】 暗殺教室 16巻 / 松井優征 ()


赤のタータンチェックを先生に合わせた16巻。
8巻はの丸まった(完全防御形態)先生、10巻はアニメ化を祝うようなホログラムを使用、そして12巻からは柄物デザインと、奇数巻に変顔をはさみながら、偶数巻で何気なく選択肢を増やして、今巻のように初期に登場していたら浮きそうなデザインを自然に並べることができる環境を作っている。連載ではラストへのカウントダウンが始まっていて、最終巻でデザインをどうまとめるのかも非常に気になる。

出版:集英社
装丁:hive 久持正士,土橋聖子 []
17巻
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淡島百景 1 【第33位】 淡島百景 1巻 / 志村貴子

宝塚がモデルの歌劇学校を核に、オムニバス形式で関わる人間の様々な感情を切り出していく群像劇。
ネットの紹介文を参考にあらすじを参考に「少女達」とか「学園物」とか「寄宿舎物」とかわかりやすく説明しようとするとわりと例外が多くてしっくりこないような多面的な作品なのだけれど、自己の解釈でしかないけれどもそういった作品の多様な側面を全て内包できる白だと感じた表紙で、今回紹介した中で文字も最も小さく少ないが、過不足をまったく感じさせない。簡素な匙加減は中扉、目次、各話の扉でも一貫していて、1冊で静謐な雰囲気を形成している。
出版:太田出版
装丁:note 芥陽子 []
本体表紙
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俺物語!! 9 (マーガレットコミックス)【第34位】 俺物語!! 9巻 / アルコ,河原和音


『「俺より強い奴に会いに行く」、というコメントを付けたら負け感』のある表紙。

通常は斜めに傾けられているタイトルが9巻では水平に組まれ、どっしりと安定。炎と「俺」の文字を背負った主人公は、とても力強い。発売されると書店でものすごく詰まれる作品であるが、今回は何時に増して少女漫画にあるまじき濃い空気を形成していた。

出版:集英社
装丁:川谷デザイン []

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きみが心に棲みついたS 2 (フィールコミックスFCswing)きみが心に棲みついたS 3 (フィールコミックスFCswing) 【第35位】
きみが心に棲みついたS 2・3巻
/ 天堂きりん 


昨年既に紹介しているけれども、作者イラストとフォーマットの相性がピッタリで、巻数が揃ったときに並べ甲斐が出そうで期待している。

出版:祥伝社
装丁:コードデザインスタジオ []

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亜人(6) (アフタヌーンKC) 【第36位】 亜人 6巻 / 桜井画門 ()




「あ、今お腹蹴った!ほら、さわってみて」みたいなポーズの6巻。
6巻にして初めて全身が表紙に収まっている構図が新鮮。
背景の紫色がこれまでにないくらい明るいのに
いつもより禍々しいのが不思議。

出版:講談社
装丁:アルティザン 深海和宏 []

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箱入りドロップス (4) (まんがタイムKRコミックス) 【第37位】 箱入りドロップス 4巻 / 津留崎優


意外に自由度が高くてネタを考えるのが楽しそうな箱縛り。
ドロップの箱(1巻)、部屋(2巻)、チョコレート菓子の箱(3巻)ときて、
4巻は水槽で水中ふわふわ系。

水中アレンジとして、タイトルには泡が引っかかり、
作者名は英字表記を含めてゆらめくように崩して配置している。

出版:芳文社
装丁:コメワークス 木緒なち,苅籠由佳 []

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僕だけがいない街 (6) (カドカワコミックス・エース)【第38位】 僕だけがいない街 6巻 / 三部けい




背中合わせの現在の自分と過去の自分。
過去の自分のところにだけ雪を降らせている。
ありそうでなかった組み合わせ、かつストーリー的に最初で最後。
アニメ化発表のタイミングと重なって、とてもふさわしいと思った表紙。

出版:KADOKAWA/角川書店
装丁:VOLARE 星野ゆきお []

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ばくおん!! 6 (ヤングチャンピオン烈コミックス) 【第39位】 ばくおん!! 6巻 / おりもとみまな


こちらも6巻時点でアニメ化発表。このタイミングで来夢先輩(ヘルメットキャラ)が表紙を飾るのは中々アグレッシブと思えるが、黄緑色背景に合わせるレギュラーキャラは誰かと考えれば6巻がこうなるのは必然。そして3年を超える連載で、背景カラーは順当に『けいおん! 』単行本の赤、青、黄、紫、ピンク(雑誌付属の掛け替えカバー)、黄緑を消費し、レギュラー勢全員が表紙を飾った状態で残るは白一色。次は白!絶対白が来るよ!!!!!!(こなかった模様

出版:秋田書店
装丁:芦田デザイン事務所 芦田慎太郎 []

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ノー・ガンズ・ライフ 1 (ヤングジャンプコミックス)ノー・ガンズ・ライフ 2 (ヤングジャンプコミックス)【第40位】 ノー・ガンズ・ライフ
1・2巻 / カラスマタスク
SFハードボイルド作品。銃頭のインパクトある主人公に、人物イラストのシルエットに近い形で部分的に見える町並みを背負わせている。イラストはシックにまとめて、そこに1巻はピンク、2巻は黄色と鮮やかな色使いのタイトルを載せてアクセントを付けている。表紙の他、カバー下、目次、幕間、奥付などちょっとしたところに草野さん色が強く出ているのも見所。
出版:集英社
装丁: 草野剛 []
目次
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カフカの「城」他三篇 【第41位】 カフカの「城」他三篇 / 森泉岳土

カフカの「城」、漱石の「こころ」より“先生と私”、ポーの「盗まれた手紙」、ドストエフスキーの「鰐」。名作小説を各16ページで表現した作品。大判ハードカバー。荒々しくも緻密なタッチで描かれたカフカの「城」を想起させるイラスト、大まかで断片的な塗り、英字タイトル優先の文字配置。作品内容の紹介を読むと「アート」「文学」「文芸」のような文字が並ぶ作品なのでおおよそ「コミック」という言葉で連想される作品とは遠く、装丁も異質なのだけれども、読み味はきちんと漫画で、装丁も漫画が載っていそうと思えるので、漫画は広いな~と思いました(小並感)。
出版:河出書房新社
装丁:セキネシンイチ制作室 []

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はるみねーしょん 5巻【第42位】 はるみねーしょん 5巻 / 大沖 ()



定期観測作品。
「ハワイ」と「いつもよりタイトルが曲がっている」
という情報しか言うことがないし、そこを掘り下げる気もないけれども、
こう長い記事にいつもさらっと入れておきたい。

出版:芳文社
装丁:里見英樹

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BLUE GIANT 5 (ビッグコミックススペシャル)【第43位】 BLUE GIANT 5巻 / 石塚 真一

サックスを吹く高校生を主人公とした、ジャズの音楽作品。

この作品のカバーは、タイトルのデザインや彩色の仕方を毎回大きく変えてくる、いわゆるフォーマットばらばらタイプ。5巻はステージの上でライトを浴びるピアニストを多めの黒で描き、そこにピンクの文字を入れてアクセントを付けている。単巻で十二分に魅力的だが、1巻の表紙と対になって、主人公と対面しているという旨のAmazonコメントを見て、言われてみればとさらに痺れた。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 []
第1巻
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町田くんの世界 1 (マーガレットコミックス) 【第44位】 町田くんの世界 1巻 / 安藤 ゆき

人が好きで人に好かれる物静かなメガネ、町田君の日常を描いた作品。
イラスト、作者名、レーベルマーク、タイトルの振り仮名は横、タイトル、タイトルの英字、巻数は縦。箱に入った資料を運ぶという学生の地味なシチュエーションイラストを用いていながら、大胆な文字組みとイラスト配置が平衡感覚に訴えてきて、「一見普通な町田君、何か普通じゃない」を感じさせる。短編集『昏倒少女』()も白を基調としたイラスト+面白い文字組みの近しいエッセンスを持った同じ川谷さんのデザインで、こちらも面白い。

出版:集英社
装丁:川谷デザイン []
短編集『昏倒少女』
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サウダージ (ビームコミックス) 【第45位】 サウダージ / 田辺剛、カリブsong

古典的名作の翻案を中心とした、カリブsong(狩撫麻礼)原作の短編集。

カバーはほんのりと乳白色を帯び、女性と雪景色のイラストの印刷はグレー、文字は黒。物語は全て原作の場所に関わらず英語圏のどこかの国に移されていることもあって、小さい日本語エリアを右上に設けつつ、タイトル、原作者、作画のクレジットを別々に大きくレイアウトして表紙を飾り立て、日本離れした雰囲気を出している。

出版:KADOKAWA / エンターブレイン
装丁:セキネシンイチ制作室 []

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人間交差点ベストセレクション 上 (ビッグコミックススペシャル)人間交差点ベストセレクション 下 (ビッグコミックススペシャル) 【第46位】 人間交差点ベスト
セレクション 上下巻
/ 弘兼憲史, 矢島正雄

『人間交差点』全27巻中でも評価の高い作品で構成された厳選編集決定版。上巻は男性、下巻は女性。齢を重ねた人の手を黒で浮き出させた表紙で、27冊分の歴史の重みを2冊の中に感じさせる。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 []
写真:上田義彦 []


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鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン! 【第47位】 鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン! / 鴻池剛


傍若無人な猫に振り回される作者の毎日を面白おかしく描いた猫エッセイ。

障子破りのイラストを使用した表紙で、 擬音を入れたタイトル、真顔のキャラと破け、集中線と、少ない要素でぽんたのキャラを表したシンプルでコミカルなデザイン。裏表紙()にはお尻が描かれ、本を障子に見立てたような表裏でワンセットの構成も面白い。

出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:Pri graphics 吉田健人 []
裏表紙
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よつばと! (13) (電撃コミックス) 【第48位】 よつばと! 13巻 / あずまきよひこ


道路に現れた水溜りを元気よく飛び越える一瞬。そのタイミングでその位置だと
よつばは無事飛び越えられたのか?と思った人はカバー下のチェックをお忘れなく。

2年と9ヶ月ぶりの新刊。初登場にして(メタ的な意味でも)次に何年後に会えるか分からないばーちゃんを表紙に出してくれても良かった気がしないでもない。

出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
装丁:里見英樹

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弟の夫(1) (アクションコミックス(月刊アクション)) 【第49位】 弟の夫 1巻 / 田亀源五郎
父娘二人暮らしの家に、亡くなった双子の弟の夫(カナダ人)がやってきた…という、ゲイアートの巨匠、田亀源五郎、初の一般誌連載作品。体格が良い、もっと言えばガチムチ寄りの大人二人が並んでいて、濃い素材によるそっち系の趣が出そうでこれが意外と出ていないというか、人と空と景色のバランスがよくイラストの色合いが自然で、どこにでもありそうな平凡な景色が絵になっている…とガチムチが調和して、素材のインパクトが程よく抑えられている。
もちろんこの作品はBLではなく、表紙にもBLの雰囲気はなくて、この表紙を見ていて、BL作品の表紙からかもし出されるBLの気配はどのような要素によるものなのか何となくわかった気がする。
出版:双葉社
装丁:BodyDouble こじままさき

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宇宙兄弟(25) (モーニングコミックス) 【第50位】 宇宙兄弟 25巻 / 小山宙哉



ここ数巻、表紙の背景に色が挿されていてカラフルになっている本作品。
特に25巻は、紫色のバック、空を見上げる主人公に
いつもの細やかな星のホログラムがいつも以上にかみ合って、
まさに宇宙へ。
ちなみにカバーのホログラムPPは、「スターダスト」という名前らしい。

出版:講談社
装丁:セキネシンイチ制作室 []

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つまさきおとしと私 (KCx) 【第51位】 つまさきおとしと私 / ツナミノ ユウ


妖怪「つまさきおとし」の平穏を脅かすストーカー女の狂気を描いた、ハートフル病理2Pコメディ。

コミカルなイラストがよりポップになると同時に不安を煽るような、グレー、ピンク、イエローの組み合わせが個性的な表紙。とにかく発色がよい。カバー下にはおまけマンガ、さらにカバー裏にもちょっとしたアイデアが光るおまけあり。

出版:講談社
装丁:GENI A LOIDE 小林満 []

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カードキャプターさくら 【第52位】 なかよし60周年記念版
   カードキャプターさくら 1巻 / CLAMP ()


なかよし60周年を記念して刊行された豪華装丁版。
クロウカードを模した金の箔押しによる飾り枠が煌びやかで、
ピンクをふんだんに使いながらも大人びた仕上がりに。
『なかよし60周年記念版』という情報も箔押しで違和感なく
入っていて程よく特別感が出ているのも良い。
全9巻。

出版:講談社
装丁:arcoinc 楠目智宏,池田悠 []

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少年Y 7 (少年チャンピオン・コミックス)【第53位】 少年Y 7巻 / とうじたつや, ハジメ


「負けたらどうなる?」
「ゴリラに殴られる。力いっぱいね」

物理的に怖い表紙。
ヤンキー、幽霊、妖怪、ゾンビなどに比べて
ゴリラはそれほど学校を徘徊しないので、絵面としても珍しい。

出版:秋田書店
装丁:-

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山羊座の友人【第54位】 山羊座の友人 / 乙一, ミヨカワ将

ベランダに飛ばされてきたのは、イジメ加害者の殺害と被害者の自殺について書かれた未来の新聞の切れ端。乙一と「ST&RS-スターズ-」作者による1冊完結の青春ミステリー作品。
振り向きざまの主人公と後姿の友人を小さく捉えた住宅地の風景イラストに描き文字風のタイトル。文字の蛍光イエローが薄暗いイラストに浮き出て、日常から何かが外れるような異様な雰囲気を形成している。カバー下は黒と金。各話の扉、奥付など全体的にコードデザインスタジオ色強し。

出版:集英社
装丁:コードデザインスタジオ []
本体表紙
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恋は雨上がりのように 1 (ビッグコミックス)【第55位】恋は雨上がりのように 1巻 / 眉月じゅん

少女17歳⇒バイト先のおじさんファミレス店長。海辺の街を舞台に青春の交差点で立ち止まったままの彼女と人生の折り返し地点にさしかかった彼が織りなす小さな恋のものがたり。

「雨あがり」のワードと合わせてヒロインには傘。タイトルには英字と共に傘のマークを小さく添えている()。傘を着色することで、青空間を出さずに綺麗な青を組み入れた、白・青・ピンクのシンプルのすっきりした3色構成が目を引く。

出版:小学館
装丁:SALIDAS []
タイトル拡大
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となりの吸血鬼さん (1) (MFC キューンシリーズ) 【第56位】 となりの吸血鬼さん 1巻 / 甘党


上の作品で傘を使っていたので続けて紹介したい傘持ち表紙。こちらはイマドキの吸血鬼の日常を描いた作品ということで、傘を持つのは吸血鬼で手にしているのは日傘、そして傘を差す必要のないキャラを隣に配置。巻数マークは血の雫で、タイトルロゴも所々が赤く染まってこちらも血がしたたり有り。背景に散らばっているのは銀の丸とピンクの十字架。デザイン込みでわかりやすく可愛く吸血鬼アピールしている。

出版:KADOKAWA/メディアファクトリー
装丁:名和田耕平デザイン事務所 []

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孤独のグルメ2【第57位】 孤独のグルメ 2巻
/ 久住 昌之,谷口 ジロー 

井之頭五郎のぶらり一人飯再び。
第1巻は1997年発売で、おそらく第2巻の予定もなかったであろうこのときのロゴは、丸みを帯びたフォントのタイトルと作者名を看板の枠の中に入れたものだったが、2008年に新装版を発売し、新規イラストと共にロゴも現在の白抜きタイプに一新。ドラマから入った人にも訴求力ありそうな、ダンディ感を押し出したイラストにもマッチしている。

出版:扶桑社
装丁:日下潤一,赤波江春菜

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水色の部屋 (上)水色の部屋<下>【第58位】 水色の部屋
上下巻 / ゴトウユキコ 
「歪んだ愛が描きたかった。暗い映画を観てるような漫画が描きたかった。」と言う通りの母と息子の性と愛の物語。「水色」を下巻に持ってくる構成に虚を突かれた表紙。可読性は添える文字に任せたと言わんばかりに大胆に崩しの入ったタイトル文字は、あのアラーキーによるもの。
出版:太田出版
装丁:セキネシンイチ制作室 森敬太 []
題字:荒木経惟 []


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グッドナイト、アイラブユー (1) (it COMICS) 【第59位】 グッドナイト、アイラブユー 
1巻 / たらちねジョン 
「私の死を、ロンドンの友人に伝えて」。大学生の主人公が、母の遺言で訪れた異国の地で家族のルーツに出会っていく旅の物語。
帯で挟まれた(カバー全体で見ると枠)、とてもリアルな海外の駅のホームイラスト、そして主人公だけは帯の部分まではみ出して配置。文字はタイプライターで打たれたようなものににじみが入っていて、巻数マークは海外の手紙の消印を模している。下の方には地図も重ねられていて、海外風というより、日本を基点として国外に赴く「旅」という感覚が感情の要素込みでデザインされているように感じた。ノート風の目次、カバー下()など拘りが見れる箇所多し。
出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
装丁:円と球[]
カバー下
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本が好き子さん 【第60位】 本が好き子さん / なるあすく


エクストリーム読書ガール「本が好き子さん」の、ほのぼのブックライフを描いた4コマ作品。

立ち泳ぎを駆使して、サメがいる海でも本を読む好き子さん。二色分割で水と空気の背景を作って1枚絵でエクストリーム読書を表現。内容が一目で分かるかつシンプルな色使いですっきり整っている。

出版:太田出版
装丁:hive 金子歩未 []

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エリア51 11巻【第61位】 エリア51 11巻 / 久正人 ()


本作品もだいぶ長期連載になってきて、久先生初の2桁突入。

タイプ的には雑踏に紛れる主人公をピックアップ、という感じの表紙になるが、紛れ先が濃すぎて百鬼夜行と例えた方が良いのかもしれない。ちなみに本巻は先生がネメシスで連載中の『ジャバウォッキー1914』(講談社)と同時発売。そしてさりげなく紛れ込んでいる。

出版:新潮社
装丁:crazy force 竹内亮輔 []
裏表紙
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怪獣の飼育委員 1巻 (まんがタイムKRコミックス) 【第62位】 怪獣の飼育委員 1巻 / 島崎無印

学校裏の森に住み着いた巨大な怪獣のお世話をする
飼育委員の日々を描いた作品。
怪獣は表表紙から裏表紙にかかり配置され、表紙に出ているのは顔のみ、そこに怪獣と対面させる形で人物を配置。サイズ感が分かり、見えない怪獣の体の部分が頭の中で大きく広がる構図も面白い。背景は破線のグリッドで分割されており、タイトルの1文字ずつ、作者名、英語の文字情報などが綺麗に収められていている。

出版:芳文社
装丁:コメワークス 木緒なち []

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百万畳ラビリンス 上巻 (ヤングキングコミックス)百万畳ラビリンス 下巻 (ヤングキングコミックス)【第63位】 百万畳ラビリンス
上下巻 / たかみち 

たかみち×宮村和生。謎めく異次元迷宮の出口を求め彷徨うSF長編。上巻が青で下巻が赤。『LO』の表紙を幼女と日本の旅行宣伝ポスターとするならば、こちらは電脳の雰囲気が漂う映画のポスター。

出版:少年画報社
装丁:5GAS DESIGN STUDIO
宮村和生[] 

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竹取オーバーナイトセンセーション 1巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)竹取オーバーナイトセンセーション 2 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス) 【第64位】 竹取オーバー
ナイトセンセーション 1・2巻  
/ モゲラッタ 
クリエイターユニットHoneyWorksによるVOCALOID楽曲、そのコミカライズ作品。
はっちゃけ竹取物語。着物の柄にとどまらず目が痛くなるくらいに鮮やかな色を盛り込みまくったイラストが黒いタイトルでびしっと引き締まって、正しくコミックの表紙に見える、このバランス。
出版:一迅社
装丁:川谷デザイン []

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ごはんのおとも 【第65位】 ごはんのおとも / たな

路地裏の料理店「ひとくちや」に集まる人達の食とドラマを描いた、全編フルカラーのグルメ漫画。
お腹がぽっこりでた男性が、「黄身のしょうゆ漬け」をごはんに乗せて食べる、そのひと時をイラストに用いた表紙。タイトルは小さく、キャラも小さく。肝心の黄身のしょうゆ漬けごはんもそのままは見せず、大きなフキダシに入れてしまうことで、おいしいものを口にしたときに「おいしい」と言っても全部伝えきれないくらいの最大限の幸福感が伝わってくるように思えた。

出版:実業之日本社
装丁:コードデザインスタジオ []

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君死ニタマフ事ナカレ1君死ニタマフ事ナカレ2 【第66位】 君死ニタマフ事ナカレ 1・2巻 / ヨコオタロウ, 森山大輔, 倉花千夏
超能力を開花させられた少年少女が使い棄てられていくダーク戦場ロマン。白、シルバー、黒、+一色。何故か解説スペースが圧迫されているけれども、「この作品はフィクションです」をデザインに組み入れた奥付()のちょっとしたかっこよさは伝えておきたい。
出版:スクウェア・エニックス
装丁:5GAS DESIGN STUDIO
宮村和生, 小島翔太 [] 
奥付
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世界鬼(9) (少年サンデーコミックス)【第67位】 世界鬼 9巻 / 岡部閏


11巻で完結ということで、色々変わる装丁を楽しむのもこれでラスト。

9巻は、10巻の月をバックにしたものを除けば最初で最後の風景描き込み型。
世界は銅色で人物部分はグレー。文字や人物部分にはUVあり。
敵の住む異世界という背景はあるんだけれども、
それがなくても異世界感が出ている。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 石沢将人 []

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鹿娘清美婚姻譚 (ビームコミックス)【第68位】 鹿娘清美婚姻譚 / 緒方波子

人間の男性と鹿の娘。
奈良の鹿の未来を賭けた奇妙な異類婚の騒動を描いた作品。

花婿と花嫁、鹿、二足歩行鹿。鶴や亀、熨斗に紅白のしめ縄と、タイトル通りに日本の婚姻といった表紙。文字やイラストの要所の金箔が、豪勢なムードを効果的に高めており、祝儀袋のようでもある。見返し()には着物を着たコミカルな鹿パターンあり。

出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:林健一
見返し(拡大)
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海とドリトル(2) (Kissコミックス)海とドリトル(3) (Kissコミックス) 【第69位】 海とドリトル 2・3巻 
/ 磯谷友紀 

大学の研究室を舞台にした海洋動物と恋の物語。
昨年紹介している1巻は白背景で表現した水中。
2巻はペンギン祭り、3巻はファンタジーな水中。
←こうシリーズで並べたくなる綺麗な表紙で、
さようならむつきちゃん』(やはりarcoincさん)と
どちらを紹介するか迷った。

出版:講談社
装丁:arcoinc 楠目智宏 []

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ランド【第70位】 ランド 1巻 / 山下和美
その村では、人は必ず50歳で死を迎える。因習に縛られた村を舞台に…(ネタバレ注意)という作品。
目を見開いた少女。背後には獣の皮を被った大人たち。下地が黄色で印刷が黒、緑、オレンジ。明るい色合いと物々しいイラストの組み合わせで凄みのあるカバーに仕上がっている。カバーには蛍光色のような明るさを持った黄色の紙が使われているが、公開講義の時の新上さんの話では、裏表紙のバーコードエリアが無くなり、白いインクを使わなくていいので黄色い紙でもコストを抑えられているとのこと。なるほど、バーコードエリアが無くなったことによる意外な選択肢の増加を知った。
出版:講談社
NARTI;S 新上ヒロシ []

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セトウツミ 4 (少年チャンピオン・コミックス) 【第71位】 セトウツミ 4巻 / 此元和津也


男子高校生2人が、川べりでひたすらダベるマンガ。

入道雲、海、自転車。
いい構図だな~というのと同じくらい、
いい空気感。
映画は7月2日(土)全国ロードショー。

出版:秋田書店
装丁:芦田デザイン事務所 芦田慎太郎 []

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アフターアワーズ(1) (ビッグコミックス) 【第72位】 アフターアワーズ 1巻 / 西尾雄太

クラブから始まるガールミーツガール青春譜。

文字小さめでじっくり見せる、
上方向×下方向頭寄せ合いの構図。
床や小道具をきっちり描きこんでいるため、
オシャレ構図の割りに芝生上や謎空間で同じポーズをするよりも
キャラクターの存在が感じられる。

出版:小学館
装丁:セキネシンイチ制作室 森敬太 []

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A子さんの恋人 1巻 (ビームコミックス) 【第73位】 A子さんの恋人 1巻 / 近藤 聡乃

先延ばしと思考停止が招いたA子さんの奇妙な三角関係を軸に展開する、
面倒くさい人間模様をコミカルに描いた作品。

野暮ったい人物説明感が面白い表紙。主人公の英子=A子を始めに、A太郎、A君(アメリカ人)とAで呼ばれる三角関係の3人を配置。各々に辞書のような人となりの説明が添えられている。裏表紙にはU子、K子、I子友人達の人物紹介あり。

出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:芦田デザイン事務所 芦田慎太郎 []

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ライプニッツ (ヤングキングコミックス) 【第74位】 ライプニッツ / 大石まさる


宇宙と猫と人の心が交差する、近未来肉球SF。

中身は、表紙の女性が猫とエウロパに向かうばりばりの宇宙SFで満たされいるが、この通りイラストは油絵のような塗りで、写実的な女性と猫と海。タイトルだけ「i」の部分に衛星が回っているようなデザインを組み込んで、宇宙要素を隠し味程度に盛り込んでいる。中々に大胆。

出版:少年画報社
装丁:big body 萩原栄一 []

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葛城姫子と下着の午後<葛城姫子と下着の午後> (ビームコミックス(ハルタ)) 【第75位】 葛城姫子と下着の午後 / 畑田知里

女生徒たちが下着姿で集い、情報交換やコミュニケーションを行う「ランジェリー同好会」が舞台の学園コメディ。

大きく開けた引き出しの中には、色とりどりのランジェリーと下着姿でくつろぐ同好会のメンバーたち。引き出しを見下ろした構図によってイラストが段組でエリア分割されているように目に映り、枠や帯を配置したときのような整った印象を与える。見返し、遊び紙にはレースのように細かく蔦の模様が入っている。

出版:KADOKAWA / エンターブレイン
装丁:須田杏菜

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ねーちゃんとオレと、ときどき先生。 1 (バンブーコミックス) 【第76位】 ねーちゃんとオレと、ときどき先生。
1巻 / TOもえ 

マセガキ弟×天然姉×変態JK家庭教師、トライアングルコメディ4コマ。3人のメインキャラの肩書きを特大の文字で配置。これがタイトルより目立って個性になっている。肩書きにはキャラに合った見った緑、ピンク、黄色の3色を使い、「マセガキ」「天然」「変態」と属性を入れたフキダシを添えて、装飾と説明を同時に行っている。背表紙、裏表紙にも、3人に関連する文字に対応するカラーを充て、必然のある形でアクセントを付加。さらに袖の作者コメントのエリアには「漫画家」の文字を大きく配置し、表紙との統一感を出している()。
出版:竹書房
装丁:CHProduction 内古閑智之 []

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マキーナ (ビッグコミックス) 【第77位】 マキーナ / ムライ ()

少女とロボットのハートフルワンダーストーリー。

ハグルマの上を元気に駆け回る少女と奇妙な形のロボット。背景にはハグルマがびっしり。用紙はクリーム色で、ベージュや薄いグレーで色づけされ、下の文字の部分だけが緑。手描き感が溢れる高密度のイラストが低彩度の色味で構成されて、レトロで懐かしい雰囲気を出している。構図が2Dアクションゲーム的と言うか、足場のハグルマ良い記号になっているように見える。

出版:小学館
装丁:葛西恵 []

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お酒は夫婦になってから 1 (ビッグコミックススペシャル)【第78位】 お酒は夫婦になってから 1巻
/ クリスタルな洋介 
「ぷしゅー先輩」に続け!寡黙なキャリアウーマンが、家では漏れ出る「しふく」の声と共に可愛くお酒に飲まれてしまう、夫婦酔いデレコメディー。イラストエリアと文字エリアをぎざぎざしたラインで分割。イラストには飲んだ瞬間に発せられる「しふく」発動シーンの中で、基本形となるものをピックアップしている。文字エリアは紺色と暗め、イラストエリアは明るめの彩色、タイトルは1文字1文字ネオンのように色を変えてカラフルにと、お酒の入った楽しい夜のひと時を連想させる。扉と演出をそろえた、手が加わった奥付()が地味にうれしい。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ
   志村泰央(カバー) 本橋真規子(本文) []

奥付
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椿町ロンリープラネット 1 (マーガレットコミックスDIGITAL) 【第79位】 椿町ロンリープラネット 1巻 / やまもり三香


ビンボー育ちな高校2年生・大野ふみは父親の借金返済のため、ぶっきらぼうな小説家の家に住み込み家政婦をすることに。心が触れ合っていく共同生活を描いた少女漫画。

バストアップの人物絵、ディフォルメされた椿のパターン背景、枠でまとまったタイトル+巻数+作者名。枠の中の文字組みがさりげなく凝っていて華やか。

出版:集英社
装丁:川谷デザイン []
タイトル拡大
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World 4u_ 1World 4u_ 2 (ジャンプコミックス)【第80位】 World 4u_ 1・2巻
             / 江尻立真


おなじみの怪談や都市伝説をひねりをきかせた形で紹介していく、オムニバス形式のホラー作品。
洋書のような背景を背に怪談に誘う案内役。真ん中には、「何か」が写りこんだ不穏な町並み。整っていて程よく不気味な少年コミックにぴったりのデザイン。

出版:集英社
装丁:バナナグローブスタジオ
     阿部亮爾 []


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俺とヒーローと魔法少女(3) (ポラリスCOMICS) 【第81位】 俺とヒーローと魔法少女 3巻 / 九段そごう

変身すると魔法少女になってしまう男の活躍を描いたWEB連載のヒーローコメディ。

2巻までは全体に2行で特大配置していた「魔法少女」の文字を左に1行配置。主人公が躍動感を感じさせるポージングでパンチを繰り出したその拳の先には、表紙をはみ出す形でピントのずれた怪人を置かれ、擬似的に立体感が出た構図が面白い(片目で見ると脳の錯覚で怪人が浮き出て見える)。

出版:ほるぷ出版
装丁:川谷デザイン []

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機動戦士ガンダム アグレッサー 2 (少年サンデーコミックススペシャル) 【第82位】 機動戦士ガンダム アグレッサー 2巻
/ 万乗大智,矢立肇,富野由悠季 

ジオン公国からの亡命兵で構成された地球連邦軍アグレッサー部隊を
主役とした、『機動戦士ガンダム』スピンオフ作品。

小学館のスピンオフ仲間『サンダーボルト』と歩調の揃った、パッケージ感のある白枠デザイン。「この後敵機が爆発します」的な決めの踏み込みポーズを縦長の1枚絵に収めた地面斜めの構図がかっちりとはまっていて気持ちいい。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 志村泰央 []

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心が叫びたがってるんだ。 1 (裏少年サンデーコミックス)【第83位】 心が叫びたがってるんだ。 1巻
/ 阿久井真,超平和バスターズ 

『あの花』スタッフのメインスタッフが再集結して制作されたアニメーション映画、そのコミカライズ作品。
──手書き風、もしくは素朴な感じのロゴにしたいとのご依頼でした。(ベイブリッジ・スタジオブログ)と『あの花』同様、まず映像作品のロゴデザインを黒木さんが担当していて、コミカライズもそのまま担当。漢字が黄緑色で木の葉を添えたタイトルロゴに合わせて、木の葉を少し散らした白背景+白制服+黄緑色のすっきり爽やかな表紙。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香 []

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まほろばきっさ(1) (バンブーコミックス MOMOセレクション) 【第84位】 まほろばきっさ 1巻 / tugeneko

アホ属性の英国メイドが他人の空き喫茶店を勝手に再開して変な店員が集まっていく、仕事しない系ゆる喫茶4コマ。
文字は全て黄色。イラストは全体的に低彩度で、空、空が映った建物の窓、ティーカップの水面、店長の瞳、アクセサリーなど部分的に差し込まれた水色が澄んだ空気感を出している。ポップな絵柄の4コマ枠のなかでも色使いが個性的で目を引く表紙。扉()では店員が背の順に並んで「前へならえ」をして、こちらは白背景。

出版:竹書房
装丁:VOLARE 関善之 []

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シンメトリーズ (1) (電撃コミックスNEXT) 【第85位】 シンメトリーズ 1巻 / シバユウスケ


人格入れ替わり能力を持った双子を主人公とした、
女子学園新聞部ドタバタコメディ。

このタイトルならこれしかないでしょ、と思える
双子のシンメトリーデザイン。
一人だと風変わりすぎるくらいのポーズが二人で対称になるとピタッと収まる。

出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
装丁:LIGHTNING

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銀狼ブラッドボーン 1 (裏少年サンデーコミックス)銀狼ブラッドボーン 2 (裏少年サンデーコミックス)【第86位】 銀狼ブラッドボーン
1・2巻 / 雪山 しめじ, 艮田竜和

吸血鬼退治の英雄(70歳)が”骨食い”の化け物に挑む、ダークファンタジー作品。背景はシルバーでイラスト部分はグレー。1巻は赤、2巻は青と、アクセントの1色をタイトルに使うと共に、キャラをカラーライトで照らすように部分的に着色。限定した色使いの中でもイラスト部分が力強く、デザインに負けていない。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ
        石沢将人 []


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ヤスミーン 1 (ヤングジャンプコミックス)【第87位】 ヤスミーン 1巻 / 畑優以


この表紙を見て、二足歩行で歩くライオンが絶対王政を敷き、虐げられている動物が反撃の狼煙をあげるストーリーは想像しないだろう…という作品。

フサフサのたてがみと共に表紙を埋め尽くす猛々しいライオンのアップには間近にせまるような迫力あり。「ス」と「ミ」の字の上に動物達のシルエットを載せた、タイトルの一工夫が洒落ている。

出版:集英社
装丁:五十嵐卓也
タイトル拡大
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駄目な石【第88位】 駄目な石 / 平方イコルスン

作者2冊目、1話4,5ページのショートショートな作品集。日本語タイトルの下に石のようなエリアを作ってタイトルフランス語表記と作者名、そして石を抱えてうつ伏せになったキャラ。大胆な余白使いが面白い表紙。一応表題作はあるが、友達の妊娠と結婚発覚から取りとめのない話がはじまり、最後に「花でも贈ろう」「いや石だ」と川辺で石探しを始めて終わる…というお話になっていて、そこからこの表紙、そして裏表紙()、なるほど意味がわからない。カバー下は表紙と間逆のハイテンションカラーイラスト、見返しには『楽園』作家による「駄目な石」習字コレクション。妙な力の入れどころがロックかもしれない1冊。
出版:白泉社
装丁:30A 柴田昌房 []
裏表紙
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忘却のサチコ 1 (ビッグコミックス)忘却のサチコ(2) (ビッグコミックス) 【第89位】 忘却のサチコ
1・2巻 / 阿部潤 

結婚式で相手に逃げられた主人公が美味しいものを食べた時に得られる”忘却の瞬間”を求めて美食を追いかける、美食探求コメディ。
通巻でタイトル固定、構図固定。タイトルの隙間を通すように料理を手に持ち、真顔でよだれをたらしながら正面を見据える。「食べる」気合いを全面に押し出したデザイン。
出版:小学館
装丁:川谷デザイン []

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戦闘破壊学園ダンゲロス(8)<完> (ヤンマガKCスペシャル)【第90位】 戦闘破壊学園ダンゲロス 8巻
/ 横田卓馬,架神恭介 

毎回、この企画には少年ジャンプ作品が不足しがちということもあり、今年は期待の『背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~』を並べて爽やかメジャー成分を強化しようと思ったものの、手元になかったので代わりに 横田先生の別作品を並べてみた。
大体の人物が物語から退場してしまっている状態の、死屍累々の大集合イラストで飾られた最終巻。お疲れ様でした。

出版:講談社
装丁:banjo 坂上和也

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現代魔女の就職事情【第91位】 現代魔女の就職事情 1巻
/ はま,相沢沙呼 

現代社会における半人前魔女のお仕事探し奮闘記、
いわば「黒髪魔女子さんによろしく」。
慌てて箒で飛び立つ魔女、持ち忘れた弁当を手に呼び止める友人達。メインを大きく、サブを小さく配置した表紙は多いと同時にバランスを取るのが意外に難しい気がしているけれども、こちらはシチュエーション的にも構図的も必然を持たせて、それを上手く実現しているように感じられた。

出版:KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
装丁:BALCOLONY. 嶋美弥 []

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妹ができました。 (ウィングス・コミックス)【第92位】 妹ができました。 / 芥文絵


8話構成の百合短編集。

表紙には、親の再婚で義理の姉妹となった表題作「妹ができました。 」の二人が縁側で佇む趣きのある朗らかなイラスト。タイトルは「。」で閉じられている通り文章になっていて、装飾的な加工のない文字として整然と大きく並べられており、澄んだ声でナレーションが聞こえてくるようにも感じられた。

出版:新書館
装丁:arcoinc 楠目智宏 []

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IT’S MY LIFE 1 (裏少年サンデーコミックス) 【第93位】 IT’S MY LIFE 1巻 / 成田芋虫

お家大好き元騎士隊長×魔法少女の日常ファンタジー。「剣と魔法のファンタジー」の世界観が浸透している現在増えてきた変化球ジャンルで、マイホームで平穏に暮らしたい騎士が主人公。厳つい悪者の雰囲気さえ感じさせる騎士と耳長の少女の完全なファンタジーイラストに、勇ましさもギャグっぽさもない等幅文字のプレーンなタイトルを載せて作品らしさを出していて、最近アンテナにひっかかる「幼い子+ギャップの大きいキャラ」の組み合わせを用いた表紙の中でも特に目を引いた。

出版:小学館
装丁:Beeworks 近藤雅己 []
目次
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ホクサイと飯さえあれば(1) (ヤングマガジンコミックス)ホクサイと飯さえあれば(2) (ヤングマガジンコミックス)【第94位】
  ホクサイと飯さえあれば
1・2巻 / 鈴木小波 
売れない漫画家が縫いぐるみの相方と共に、日々の飯と全力で取り組む、グルメ漫画というか飯作り漫画『ホクサイと飯』の前日譚で、大学生時代のお話。出版社は変わりつつデザインは川名さん続投で、ロゴデザインのエッセンスを引き継ぎつつ今回はさっぱりとした白。塗りの個性が際立っている。
出版:講談社
装丁:Pri graphics 川名潤 []
『ホクサイと飯』
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同居人はひざ、時々、頭のうえ。(1) (ポラリスCOMICS) 【第95位】 同居人はひざ、時々、頭のうえ。1巻
/ みなつき,二ツ家あす 

人間嫌いな小説家と世話焼きな広い猫。一つのエピソードを人と猫二つの視点で見せる猫暮らし漫画。

「時々、頭のうえ」を再現した、猫、人の頭、本という縦3段の構図が面白い表紙。背景や中の装飾アイテムに猫の足跡を多用していて、見返し()にもさりげなく散りばめるなど、細かいところで可愛く猫感を上げている。

出版:ほるぷ出版
装丁:名和田耕平デザイン事務所 []
見返し
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ヴぁるばいと! 1巻 (まんがタイムKRコミックス) 【第96位】 ヴぁるばいと!1巻 / あまー
女子高生コンビにバイト4コマ。セブンイレブンはオレンジ、赤、緑。ファミリーマートは水色と緑。ローソンは青と白。このコンビニにはこれ、という色使いがあるが本作品のコンビニ「ヴァルハラ」のそれは青とオレンジ。タイトルや作者名、キャラの制服はもちろんのこと、棚に陳列されたタバコにも沢山の青とオレンジ。上端の青+オレンジライン配置も合わせて、これでもかというほどコンビニ感を醸し出している。作者名は張り紙風。タイトルや裏表紙のバーコードは吊り下げパネル風。奥付はノートに貼り付けたレシート風()。装丁とは少しズレるけれども、「本日のシフト表」として各話毎に誰が登場するか掲示しているところも面白い。
出版:芳文社
装丁:装丁:コメワークス 高橋忠彦 []
奥付
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ムシヌユン 2 (ビッグコミックス) 【第97位】 ムシヌユン 2巻 / 都留泰作

亜熱帯のエロバカ昆虫ハードSFホラーミステリー(推定)。

一応説明すると、表紙のイラストは未知生命体が進入した沖縄の島を消滅させるべく沢山の核ミサイルが打ち込まれたシーンで、左端には誰かを犯すべく森を彷徨う主人公が描かれている、と言ってもなんのこっちゃという感じかもしれないが、「よくわからないけれどもスペクタクル」な感じが好みな表紙。文字部分や手間の主人公周辺の植物にエンボスあり。

出版:小学館
装丁:河野未彩 []

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ポイズンガール 2 (バンブーコミックス) 【第98位】 ポイズンガール 2巻 / 瀬野反人



「煽っていくスタイル」、というコメントを一回使ってみたいと思っていたところに、それは私にこそ相応しいと言わんばかりに現れたのがこちらの2巻。「脳に食べるほうのミソ入ってるの?」と毒を全方向に向けていた1巻、対して2巻は矛先を手に取った読者にだけ向けるというメタなやり方でアイディアの切れ味を増したように思う。

出版:竹書房
装丁:hive 久持正士 []

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溶解教室 (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ もっと!) 【第99位】 溶解教室 / 伊藤潤二

奇怪な妹と謝る兄、二人が現れるところ人間が溶けだす。どろどろぐちゃぐちゃのホラー作品。
教室、主人公兄妹、床を埋め尽くす仲良くゲル状に成り果てたクラスメイト達。タイトル、作者名はもちろん、レーベル名、出版社名等の文字は全てチョークで描かれたように黒板に配置。イラストは裏表紙まで繋がっていて、背表紙のタイトル、裏表紙のあらすじ等も黒板に描かれた体裁を取っている。グロテスクな光景が広がっているが、全体的に色が明るく手に取りやすいコミカルさを感じられる。
出版:秋田書店
装丁:Pri graphics 川名潤 []
裏表紙
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透明人間↑↓協定 2 (ビッグコミックス) 【第100位】 透明人間↑↓協定 2巻 / 克・ 亜樹

安心してください、穿いてませんよ。
(↑まだまだ元ネタ込みで通じるはすの2016年3月)
毎回100位は裸を扱ったデザインを紹介していますよと言わないと多分わからない、というか自分でも何故100位に裸ネタを持ってきているのか忘れかけている状態なのだけれども、例えば本作では「透明人間をテーマに扱っている⇒裸でも認識されない」といいたように何らかの理由でコンスタントに1冊以上裸を使ったアイディアが出てくるので毎年ネタには困らない。

出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ []

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ここまでがランキング発表。

最後に、カバー下や特殊加工など別なところに注目した作品を別枠で24作品紹介していきます。


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【見返し賞】 ジゼル・アラン 5巻 / 笠井スイ ()

ジゼル・アラン 5巻

昨年はお休みだったので、2年ぶりとなる年刊ジゼル・アラン見返し通信。

何気に表紙のジゼルのスカートと色おそろいとなっている花柄のパターンで、4巻の見返しには小鳥が仕込まれていたが、今回は飼い猫のアルセーヌが紛れ込んでいる。袖に隠れる部分も含めて計3箇所。ポーズは別々で、それぞれ蝶々を追いかけたイラストになっている。裏側の見返しのにも3箇所アルセーヌと蝶々がいて、こちらも全て別ポーズ。最後はうずくまったアルセーヌに蝶々が止まって少しほっこりする。

ちなみに5巻の見返しに関する芥さんのツイートで本作の見返しが2色印刷であることを意識した。

出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:note 芥陽子 []

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【カバー下賞】 つるまき町 夏時間 / コマツシンヤ

つるまき町 夏時間

少しヘンテコなつるまき町で暮らす、少年みつるのひと夏の物語。

作品には植物にまつわる不思議な出来事や冒険が描かれており、カバーには植物の異常発生で緑色に埋め尽くされたファンタジーな町並みが広がっている。この緑豊かなカバーの下には同じ構図のイラストが収録されているが、そちらは植物の異常発生前の
イラストになっており、空の青と建物の白のコントラストが映える。

つるまき町 夏時間

イラストは1枚目がカバー全体を覆っており、裏表紙のエリアも同様に2パターンを楽しめ、カバーと本体でキャラを変えるなど細かい演出も見られる。

こういう仕掛けが遊びとして成立するのは本がカバーと本体と言う2重構造を持っているからであり、これを電子書籍でやるとして、ただカバー下を収録しても同じ効果はでないと思われ、隠し操作で表紙イラストが入れク替わる…的な仕掛けを忍ばせれば再現できるだろうか、などと考えてみたりもしたけれど、やはり紙は良い。

出版:新潮社
装丁:アーテン 福躍惠 []

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【カバー下大賞】 枕魚 / panpanya ()

枕魚

『楽園』本誌、ウェブ増刊に掲載された作品を中心に、同人作品を加えた計22篇収録の作品集。カバーを外すと、そこには一面のタイル。タイルはUV加工ツヤでツルツル、凹んだタイルの継ぎ目はマットPPでサラサラ。まずタイルの印刷がリアルで光を反射するのもタイル部分のみ、触っても形状を感じられて、気分はとてもタイル。

枕魚2

裏側に排水口。
ちなみにカバーにはキャラの服とタイトル部分と背表紙の楽園マークにだけ赤が挿されており、あとは黒のみで、こちらのデザインももちろん面白い。カバーはさらさら(ブンペル ナチュラル)で本体はツルツル。この変化の大きさも大事なとこと言える。

出版:白泉社
装丁:panpanya []

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【グラビア賞】 とんかつDJアゲ太郎 1巻 / イーピャオ、小山ゆうじろう

とんかつDJアゲ太郎  1巻

「とんかつもフロアもアゲられる男になりたい!」異色のとんかつ × DJ 青春作品。表紙はマットPPで、とんかつの表面は衣のようにデコボコ、レコードの表面はレコードUV加工はツルツルして指でなぞりたくなる質感。レコードを使う作品の内容にも、イラストの持ち味味にも合ったレトロでアナログな味を持ったカバーデザインが目を引くが、今回紹介したいのはページの最初に挟まれているとんかつグラビア。

とんかつグラビア

目次よりも扉よりも先に、読者が目にすることになるのがこの二つ折りとんかつグラビア。1巻の写真は東京都台東区の名店「すぎ田」で撮影。表にはとんかつの写真、裏には店構えや店内、調理の風景写真をレイアウトしている。もちろん作品ととんかつは切っても切れない関係にあるが、貴重なフルカラーを使って純粋グルメ漫画でもわざわざ付けなそうな飯テロを引き起こすレベルの美麗とんかつ写真を単行本のおまけにしてとんかつの名店をリスペクトしているのは最高に意味不明で、クールとしか言いようが無い。

出版:集英社
装丁:宮崎希沙 []
撮影:行竹亮太

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【帯賞】 ポム・プリゾニエール / 鶴田謙二 ()

ポム・プリゾニエール

イタリアの古都ヴェネチアを舞台に、廃墟、猫、裸をふんだんに盛り込んで自堕落な女性の日常を描いた漫画であり、以前、2巻は出ないだろうと全1巻のオススメ作品として適当に紹介してしまった『Forget-me-not』の1.25巻とでも言ってもいいかもしれない作品。

裸の王様と言わんばかりに、裸体のまま王冠を身につけ王座に持たれかかる女性。女性の下半身には赤色と金色の上品な帯が巻かれ、あらぬ妄想がかきたてられるが、帯を外すと「にゃ~ん(笑)」と鉄壁のガードをした猫が現れる。少しエッチなイラストを帯で隠すという王道の仕掛けが、カバーや帯の紙質、美しいデザインによって上品に仕上がっている。

出版:白泉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所 []

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【表裏賞】 彼女はろくろ首 1巻 / 二駅ずい

彼女はろくろ首 1巻

妖怪マンガというわけでもなく、首をニョキニョキと伸ばしがちな高校一年生の日々を追った青春コメディ。


裏表紙はどうなっているでしょう、ともったいぶって隠しているわけではなく、もちろん表紙から裏にかけて首が"にょろ~ん"と伸びているわけではあるが、やはり最初は表紙だけ見て欲しい。表紙では少女の不自然な首の写り方と首を隠すポーズで「ろくろ首」を匂わせつつ、裏表紙を確認させる雰囲気を作って、カバー全体で見てみるとわかってはいても印象が変わる、というカバーを楽しむ流れを自然に構成できているように思う。











ろくろ首全2jpg

カバー全体。「ろくろ首」のイメージにあわせた英字の文字レイアウトも洒落ている。

装丁:川谷デザイン []

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【表裏賞】 たびしカワラん!! 1巻 / 江野スミ

地上と地獄を行き来する呪術師と大学非常勤講師。
“呪い”という縁に導かれた、歪な愛の物語。

たびしカワラん!!

呪術師である主人公は作中で自らの意思で地獄にもぐり、呪術のために魔物に喰われる。
表紙にはそういった主人公が落ちていく地獄の景色が、描かれている。それで、裏には何があるかというと、左右対称の地獄。

たびしカワラん!!全

そして対称が続き、面白いレイアウトだと思ったカバー全体。
R-TYPEの時機が飛んでいても違和感なし。
画像には上手く出ていないのだけれども、実物は赤系の蛍光色が綺麗に出ていて、
地獄の細かい書き込みが際立って見えて広げたときのインパクトも大きかったので是非。

出版:小学館
装丁:名和田耕平デザイン事務所 []

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【表裏大賞】 orange 5巻 / 高野苺

orange 5巻

完結。
同じ空を眺める「今の私達」と「10年後の私達」。
カバーを外すのもお忘れなく。

出版:双葉社
装丁:-

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【導入賞】 銀河ロケットにお葉書ください 1巻 /
                太田垣康男 スタジオ・トア,太田優姫


銀河ロケットにお葉書ください

『10か月後、人類滅亡は決定的となりました』。隕石の衝突による地球消滅へのカウントダウンの中、日本政府は遠い銀河へ人々の生きた証を届けるべく、国民一人一人からの最期のメッセージとなる葉書を集め始めた。終りを知った一人一人の最後のドラマを描くオムニバス作品。

銀河ロケット表紙

縦置きの英字とハガキを手にした手を載せたすっきりした扉。

銀河ロケット目次

ポストを置いたシンプルな目次、そしてプロローグが始まる。

銀河ロケット導入

作品の世界観を説明するのに20ページ弱、そして
文字だけの見開き。

銀河ロケット文字

『最後の落書に皆さんは何を書き…何を残しますか?』

銀河ロケットカラー1

「銀河ロケット事業団」宛の落書、そしてカラーページが挟まれる。

銀河ロケットカラー2

人類滅亡のニュースを目にした、とある家庭の1シーン。

銀河ロケットタイトル


そしてプロローグの終り。ここで作者名を添えたタイトルページが登場する。タイトルコールをためてためて最後にドーン…というタイプの演出をカラーページを組み合わせて行ったとても凝ったプロローグが物語を盛り上げる。

散らばった文字の表紙、整った文字のタイトルページと、同じフォントを使いつつ目的の違いで大きく見せ方の違う二つのタイトルもポイント。

出版:スクウェア・エニックス
装丁:川谷デザイン []

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【完結賞】 せっかち伯爵と時間どろぼう 6巻 / 久米田 康治 ()

せっかち伯爵と時間どろぼう(1) (講談社コミックス)せっかち伯爵と時間どろぼう(2) (週刊少年マガジンコミックス)せっかち伯爵と時間どろぼう(3) (週刊少年マガジンコミックス)
せっかち伯爵と時間どろぼう(4) (週刊少年マガジンコミックス)せっかち伯爵と時間どろぼう(5) (週刊少年マガジンコミックス)せっかち伯爵と時間どろぼう(6) (週刊少年マガジンコミックス)


時を越えて現れた長帽子の伯爵と、稀代の面倒くさがり屋の少年。せっかち×ゆっくり、時間をテーマにしたギャグ作品。
前回も大きく取り上げているけれど、完結して綺麗にデザインの揃ったものを並べておきたかった全6冊。こうしてみると、白黒+1色、影絵、文字盤の他、人物が全員行儀よく左に向かってるのも美しく整って見える要因になっているかもしれない。

ちなみに巻数表記は1巻から3巻までがローマ数字で4巻から6巻までは普通の数字(アラビア数字)。ローマ数字はかっこいいけれども巻数が多くなると認識がワンテンポ遅れたり使いどころが意外と難しい気がする。

出版:講談社
装丁:hive 久持正士,金子歩未 []

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【完結賞】 聲の形 7巻 / 大今良時 ()

聲の形 7巻聲の形(1) (週刊少年マガジンコミックス)聲の形(2) (週刊少年マガジンコミックス)聲の形(3) (週刊少年マガジンコミックス)聲の形(4) (週刊少年マガジンコミックス)聲の形(5) (講談社コミックス)聲の形(6) (講談社コミックス)

こちらも完結で、やはり最後に並べておきたかった全7巻。写真に収めたような景色のなか、二人の体の向きが、その心の距離を知縮めるように少しずつ外向きから内向きになって、最後は向かい合わせに。また、7巻の、ロゴの縁の部分に2色のグラデーションを持たせたほんのりと鮮やかなアレンジが実に最終巻の雰囲気を出している。ちなみに本作品の映画公開は2016年秋とのとで、こちらも作品的に文字周りを凝っていそうで期待している。

出版:講談社
装丁:RedRooster 高木紗耶 []

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【最終巻賞】 天体戦士サンレッド 20巻 / くぼたまこと

天体戦士サンレッド 20巻
悪の組織(悪い人とは言っていない)VS正義の味方(良い人とは言っていない)、川崎市ヒーローコメディもついに完結。最終巻となる20巻には、これまでの歴史が積み重なって、というかこれまでの19冊分の表紙が直接的に並べられている。ロゴやイラストの雰囲気を大胆に変えてきた、自由奔放なデザインの継続があってこそ成立している最終巻のデザインと言える。本企画ではデザインが好きな作品を紹介しているというのは当たり前の話だが、本作品についてはデザイン自体の良し悪しよりむしろ、この作品にしかでいないようなアイディアを通して最後を締めくくれたこと自体が良い作品であったことを象徴しているようですばらしい。そして、19冊の帳尻をピッタリ合わせられて、20巻完結で本当に良かった。

出版:スクウェア・エニックス
装丁:2725 渡辺宏一 []

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【合体賞】 闇に恋したひつじちゃん 上下巻 / 長蔵ヒロコ

闇に恋したひつじちゃん 上巻<闇に恋したひつじちゃん> (ビームコミックス(ハルタ))闇に恋したひつじちゃん 下巻<闇に恋したひつじちゃん> (ビームコミックス(ハルタ))

魔女の少女と転校生としてやってきたウィッチハンターの少年の出会いから始まる恋とバトルの物語。『ルドルフ・ターキー』作者のデビュー作で、富士見書房版では未完の第3巻分も収録した上下巻。

完全版の2冊同時発売ということでやりやすい表紙合体。イラストは主人公の住まいをミニチュアハウスのように描いて、ちんまりとディフォルメの効いた登場人物達を散りばめている。8年近く前の作品ということで、現在の絵柄で当時のキャラを描くとギャップが発生していたかもと思ったりしたけれども、そういった面でもディフォルメキャラ描き下ろしの表紙は上手いやり方かもしれない。(といいつつも、下巻ラストに収録された今の絵柄による追加エピソードがすごく良い)

ひつじ裏

裏表紙も合体。イラストの部分だけ光沢あり。

ひつじ1ひつじ2


カバー下は、上下巻で色使い反転。おしゃれな上下巻。

出版:KADOKAWA / エンターブレイン
装丁:林健一

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【裏合体賞】 かたくり 上中下巻 / マイカタ

かたくり 上巻かたくり 中巻かたくり 下巻

IT企業に勤めた経験を持つ作者が笑えることも笑えないことも面白おかしく描いた、IT系会社日常あるある漫画。掲載はWebコミックサイトモアイで、出版は一迅社。上中下巻同時発売で、さてどこが合体するのかというと…。

すごろく

カバー裏、上中下巻3枚を合わせると50cm×62cmの世知辛いWEBすごろくが完成する。カバー下にはコマやサイコロあり。カバー下やカバー裏のおまけ好きとして、おまけが隠れていたら普通は「おまけがあった、ラッキー!」程度しか思わないが、これぐらい作りこんでいるのを見ると、こういう仕掛けは誰がどのくらいの手間をかけて作りこんでいるのか気になってしまう。

ちなみに裏で縦合体があるなら表でも縦合体があるんじゃない?ということでピンときた方はよろしくお願い致します。

出版:一迅社
装丁:井上則人デザイン事務所 安藤公美 []

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【合体大賞】 中村明日美子コレクション / 中村明日美子

中村明日美子コレクションI コペルニクスの呼吸 1中村明日美子コレクションII コペルニクスの呼吸 2中村明日美子コレクションIII 鶏肉倶楽部 (中村明日美子コレクション 3)中村明日美子コレクションIV Jの総て 1 (中村明日美子コレクション 4)

中村明日美子コレクションV Jの総て 2 (中村明日美子コレクション 5)中村明日美子コレクションVI中村明日美子コレクションVII ばら色の頬のころ (中村明日美子コレクション 7)中村明日美子コレクションVIII

中村明日美子デビュー15周年として、太田出版でA5判で発売された初期作品、『コペルニクスの呼吸』『鶏肉倶楽部』『Jの総て』『ばら色の頬のころ』『2週間のアバンチュール』をB6判の新装版で刊行。なので計5作品、8冊の合体。別作品をコレクションとして同一シリーズとして発売。上部に個別タイトルとコレクションとしての巻数エリアを設けつつ、下は存分に合体するのみで、違う作品が繋がっていくから構図が大胆に変化していく。当たり前だけれども違う作品がこれだけの物量で繋がる、これが実現できるにはものすごい好条件が揃っていなければないというか、15周年おめでとうございます。

出版:太田出版
装丁:内川たくや []

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【オレサマ オマエ マルカブリ賞】
 中原くんの過保護な妹 1巻 / ほっぺげ 2015/6/5
   お前ら全員めんどくさい!3巻 / TOBI 2015/6/12


中原くんの過保護な妹 1 (バンブーコミックス WINセレクション)お前ら全員めんどくさい!(3) (メテオCOMICS)


片や妹がベタベタと兄の世話をする4コマの1巻、片やめんどくさい生徒達がが先生に群がるハーレムコメディの3巻、そしてこのかぶり具合。

桜でんぶのハートをご飯に載せた弁当を片手に、卵焼きを箸でつまんで「はい、あーん」のポーズ。加えて学生服に白背景、縦型のタイトルレイアウト、丸で囲まれた巻数マークと、他の幾つかの要素にも共通項があるため、綺麗に揃った印象を受ける。『中原くんの過保護な妹』は同じ学校の妹が、毎日弁当を持って兄の教室に押しかけていて、この表紙。『お前ら全員めんどくさい!』は1巻につき表紙1ヒロインで、先生という属性が好きで弁当を差し入れにくるヒロインに順番が回ってきてこの表紙。発売日が6/5⇒6/12と非常に近く、「かぶり」としか言えない状況が逆に紹介しやすいし、むしろ天然物のコラボレーションとして推してみたい。

中原くんの過保護な妹 出版:竹書房 装丁:5GAS DESIGN STUDIO []
お前ら全員めんどくさい! 出版:ほるぷ出版 装丁:BALCOLONY. []

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【新装版賞】 ゆるゆり 1巻 / なもり

ゆるゆり (1) 新装版 (IDコミックス 百合姫コミックス)ゆるゆり (1)

百合姫コミックスが普通のコミックスよりひと回り大きいA5サイズから、青年コミックスでお馴染みのB6サイズへシフトを始めた2015年。単行本がA5サイズで13巻まで出ていた『ゆるゆり』も、1巻からB6新装版として刊行された。紹介する1巻を新旧並べてわかるように、背景色を白のままに、ロゴデザインやイラストの構図が旧版の流れを汲む新装版になっている。旧1巻発売から新1巻発売まで約2年8ヶ月、この期間を長いとみるか短いとみるか、比べて思ったのは「強くてニューゲーム」。新装版では、作者の自画像キャラであるクラゲがお茶目にロゴに組み込まれている。

俺の嫁なんていねぇ!: 1 (百合姫コミックス)百合

百合男子も新装版をゲットした模様。ちなみに旧版11巻時点でロゴやデザインはリニューアルされてるが、11巻以降の新装版についても当然のように描き下ろしイラストを使用。相変わらず仕事量が恐ろしい。

出版:一迅社
装丁:BALCOLONY. []

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【アンソロジー賞】 大斬―オオギリ― 西尾維新原作読切集
            / 暁月あきら,小畑健,池田晃久,福島鉄平,山川あいじ,
              中山敦支,中村光,河下水希,金田一蓮十郎


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西尾維新が9本の御題を元に創造した原作を9名の漫画家が各々の個性をもって描き切る、短編漫画集。大斬、つまり大喜利。『週刊少年ジャンプ』『ジャンプSQ』『週刊ヤングジャンプ』『別冊マーガレット』四誌合同企画。

特大タイトルでエリア分けして文字の隙間に嵌める形で漫画家9名のイラストを競演させた表紙。金の箔押しも多く、お祭り感覚でとても豪華。

アンソロジーの単行本は代表作家の一人がカバーイラストを担当することが多く、表紙としてまとまるのは当然として、イラストを描いた漫画家のイメージが本について、中身全体としてギャップが出ることも(超主観)。一方、収録されている作家のイラストを全部組み合わせるというのはおそらく面倒だし難しい。そういうのをやってしまったのがこの単行本で、エリア分けが結構強引な気がしないでも無いけど、そこにも勢いがあって西尾先生らしさも出ているように思える(小説など読んだことがない状態でとりあえず言ってみる)。

出版:集英社
装丁:L.S.D. シマダヒデアキ []

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【実写化賞】 俺物語!! 10巻 / アルコ,河原和音

俺物語!! 10 (マーガレットコミックス)俺物語!!

毛色が違う、紹介したい方法も違う9巻と10巻。どちらを紹介しようと迷った結果、ランキングと別枠とで2回紹介してしまうことにした『俺物語!!』。10巻と並べて紹介するのは映画ノベライズで、10巻と構図、デザインをあわせている。30キロの増量で、コスプレの域を超えてリアル猛男を誕生させた主演・鈴木亮平。10巻とノベライズがコラボするようにここまで寄せられたのは役作りに定評のある主演の役者魂あってのものと言えるかもしれない。

ちなみに5月14日に公開される「変態仮面」第2弾、こちらも主演・鈴木亮平。新装版と映画ノベライズをこんな感じで出してください。

出版:集英社
装丁:川谷デザイン []
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【HO★MO★SHOW!】 手巻き寿司課長と覆面男 / 山口ツトム

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作品内容は裏表紙参照↑な「エロス狂気の痛快コメディ」。この企画では基本的にBLを紹介していないため、「バイキンマンが天丼マンの中身を貪り尽くすのをBLとは言わない」という詭弁を考えていたものの、前回「ホモ賞」を作っていたのでその枠に入れればいいか的な作品。
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」に映画泥棒の写真集が真っ先に表示されるのもさもありなんと思える手巻き寿司頭の課長。頭に盛られた大粒のいくら、潰れて滴り落ちたいくらの雫はUV厚盛りで、艶めかしい光沢を放っている。

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見返しには突っ込みどころの多い作中の台詞を袖に、ぎりぎり重ならない範囲で大きく配置。
隣にはカラーイラスト。

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次のページには見返しの続きの台詞を、見返しとは逆に小さく配置。
次にタイトルページ。

手巻き目次

目次はあえて区切りよく改行しないことで斜めに中黒丸が並んで目立つ。
そして本編。印刷は紫色。

手巻き袖左


奥付。見返しには、袖で隠すようにオマケイラストを仕込んでいる。

手巻き本体

カバー下本体。
「カバー下なんて誰も覗かない」系のおまけネタの仕込みとデザインを両立。

手巻き帯

帯付き表紙。
表紙のインパクトもさることながら、本編開始まで1ページ1ページのデザインを大きく変えた遊びの多い構成、紙選び、印刷など豪華で見所の多い1冊。ばかばかしくて勢いがあって楽しめて課長がちょっと好きになってしまったけれども、中身のオススメは特にしない。

出版:ふゅーじょんぷろだくと
装丁:コードデザインスタジオ []

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【装丁まんが賞】 まんがの装丁屋さん 1巻 / 小石川ふに

まんがの装丁屋さん

ついに登場した、マンガ装丁にスポットをあてた4コマ作品。
頬杖をつき、赤ペンを上唇に挟んで憂鬱な表情を浮かべるデザイナー。カバー全体には赤紫で辞書のように、マンガ装丁に関係のある用語とその説明を、小ネタを挟みつつ散りばめている。

装丁屋さん2

袖に入るデザイナーの名前には「カバーデザイン:」「装丁:」と添えられるのが一般的だが、この作品では中身にちなんで「このまんがの装丁屋=」と少しお茶目な表記を取っている。扉には自分で作品の表紙別パターンを眺めるメタなイラスト。背景色違い、タイトルのフォント違い、ペンの角度の違いなど、このページだけでもまんが装丁にちなんだネタが楽しめる。

装丁屋さん3

人物紹介のページは赤ペンで修正の入った原稿の体裁を取っている。

まんがの装丁屋さんカバー下

カバー下には、実際のデザイン事務所の風景とネタの多い解説。他にもカバーデザインの打ち合わせの様子やラフ案がわかるおまけ漫画など、マンガ装丁に着目した作品として期待してしまうネタが盛りだくさんな1冊。

作者は漫画家であると同時に、前回の記事では『パレードはどこへ行くの?』でも紹介しているようにデザイナーでもあるが、本作品では漫画家に専念しており、装丁を担当しているのはBALCOLONY.さん。デザイナーがデザインに関する漫画を描いて他のデザイナーがデザインを担当する構図がコラボ的というか、なんとなく豪華で良い。

出版:芳文社
装丁:BALCOLONY. []

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【良いコミック賞】 櫻井大エネルギー / 櫻井エネルギー

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エロマンガ雑誌にある「一般マンガ枠」の作品、その1。徹夜明けのハイテンションでひたすら狂気を突きすすむようなギャグ短編集。作者の名前を取り入れたタイトルは人物イラストと絡ませつつ特大に配置。「エネルギー」の勢い良く伸びた横線、白、ピンク、黄色のとにかく明るい色選びと不純物の混じった胡散臭い装飾アイテムの日本らしさが合わさり、作中の異様なテンションが上手く表現されている。

▲<


見返しと扉は水色。
「エネルギー」の横線は2ページをまたがって通常よりも広い袖まで続いており、
袖を取るとさらに長く伸びていく。

▲<


終りの見返しも同様の水色+タイトル。

大エネルギー本体

カバー下には黄色ベースの濃い登場人物。

大エネルギー帯

帯付き表紙。
ピンク、水色、黄色と全体的にビビッドな色使いで明るく、
文字通り大きなエネルギーを感じられる1冊。

出版:ワニマガジン社
装丁:VOLARE 星野ゆきお []

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【良いコミック賞】 だいたいめる子 / 縁山

める子

エロマンガ雑誌にある「一般マンガ枠」の作品、その2。『櫻井大エネルギー』を買っていてこのブログをよく見る方は大体こちらも買っている気がしているワニマガジン社仲間のCOMIC X-EROS巻末・ショートコメディ。
ピンクと黄緑のペンキのような何かで満たされた空間の中に、キャラや本編ネタが乱雑に放り込まれたカオスな表紙イラスト。黒い大きな円の中にはタイトル作者名、また小さい円を作ってキャラ名を入れている。

める子


見返し+扉。見返しは、カバーイラストと交じり合うようなピンクと黄緑のマーブル模様の空間、そして扉はキャラが空間から抜け出てきたような演出。

める子目次
目次も黄緑、ピンクそして黒い円を使った構成で人物紹介を兼ねており、レギュラー3人の伸長差を強調している。

める子本編
そして1Pマンガ、本編の繰り返し。区切りのように使われる1Pマンガには、これまでと同じ感じのマーブル模様。

める子

ラストの見返しも同様にピンクと黄緑のマーブル。
こんな感じでどろっとしたマーブルによる一連のデザインが印象に残った1冊。
ちなみにカバー下にもこの空間を「カオスの海」「この漫画の全てを生み出した混沌」として
メタなネタを扱ったオマケ漫画が収録されており、kindle版での扱いはわからないが、
デザインの流れでカバーの下に隠れていてこそのおまけだよな~と思ったりもした。

出版:ワニマガジン社
装丁:arcoinc 楠目智宏 []

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【良いコミック大賞】 ビーンク&ロサ / 模造クリスタル ()

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放棄されたキャンピングカーに住み、怪人の一味の手伝いをする少年・ビーンクと 少女・ロサの日常を
シュールな脱線多めで描いた作品。

最後は装丁の良さと内容の良さが自分の中でごちゃっとしているので
全体をさらっと見てもらって終わります。

ビーンク袖

見返しには肉。第2話が焼肉回。

ビーンク目次

目次。

ビーンク中身

お話の開始ページ。ページのコマの外左下に話数、コマの外右にタイトル。

ビーンク袖2

奥付には作中登場のぬいぐるみ。文字情報は、ぬいぐるみにあっぱくされるように狭いところに敷き詰められている。
袖の下には、本体価格が税別822円なので税込み888円という主張。

ビーンク本体
カバー下は黒地に蛍光色のイエローでタイトルと三角が描かれている。


ビーンク表紙帯

そして帯付き表紙。おしまい。

出版:イースト・プレス
装丁:コードデザインスタジオ []

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という感じでお送りしました、
良いコミックお気に入り装丁紹介企画『この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2015』。

2016年の特集でまた逢いましょう。


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2016年03月22日 | この装丁がすごい! | コメント 2件 | トラックバック 0件 | TOP